男はつらいよ 寅次郎頑張れ!(1977)


 
シリーズ20作目
マドンナは藤村志保さん。
夢はみんなが成功して大金持ち。
 
とらやに下宿しているワット君(中村雅俊)と
中華料理店で働く幸子(大竹しのぶ)の仲を取り持とうとする寅さん。
幸子ちゃんに自分の気持ちを伝えられない
ワット君に恋の指南をする寅さんがいい。
 
寅さんの恋愛に対する想像とか妄想って、本当に共感できますよね。笑
自分の恋は上手くいかないにもかかわらず
言うことだけは的を得ていて、実にいいのです。
 
幸子ちゃんをなんとかデートに誘いだしたワット君。
映画館で、食事で、不忍池で、失敗ばかりのワット君が痛々しい。
ついには幸子ちゃんにフラてしまったと勘違いし自殺未遂。
とらやの2階を爆発で吹っ飛ばしたのにはビックリしました。
オバカすぎます・・
 
傷心で生まれ故郷に帰ってしまったワット君。
彼を追ってきた寅さんはそこでワット君のお姉さんに一目ぼれします。
甲斐甲斐しくお姉さんの店を手伝う寅さん。
 
藤村志保さんって、私のイメージでは軍人や武士の妻など
上品でおとなしくて控えめな役柄が似合う女優さん。
この作品でもやはりおしとやかでした。
 
あまりにも純粋で、寅さんのやさしさを、人柄を、とても尊敬しています。
しかしそれは恋愛対象ではないということも現わしています。
彼女にとって寅さんは、大切な恩人なのです。
そのことをワット君と幸子ちゃんの婚約の日
ワット君にお姉さんは責められてしまいます。
 
「俺が寅さんやったらな、絶対にお姉ちゃんを許さん。
 好きでもないのに好いとる顔されて、上手く利用されとるじゃなかか」
 
「寅さんはね、あんたが考えちょるより
 もっともっと心の綺麗か人よ。わたしにはそれがようわかっとよ」
 
「いくら綺麗かでん、寅さん男たい」
 
泣いてしまうお姉さん。
うたた寝から覚め、ふたりの会話を聞いてしまった寅さん。
何事もなかったように幸子ちゃんと会話をし
庭に出て、ひとり失恋の味を噛みしめる姿が辛い。
 
当時、人気青春スターの中村雅俊さんと
若き演技派と評価されていた大竹しのぶさんが
ゲストとして共演したのは、とても話題になったようですね。
今はビッグになったふたりの初々しい演技は
現在となっては貴重なお宝映像でしょう。
 
旅先で旅芸人の一座と再会する寅さん。
温かく迎えてくれた彼らに、失恋の痛手も癒されます。
やっぱり寅さんには旅が一番似合う・・
そう思ってしまうラストでした。
 


 
【ストーリー】MovieWalkerより
紅葉の便りを聞くころ寅は柴又へ帰って来た。すると、身知らぬ青年・良介におし売りに間違えられ、口論となるところへ、さくらが帰ってくる。寅はさくらから事情を聞くが、自分の部屋を良介に占拠されているのを知る。良介は、平戸島から上京し、近所の柴又電工の作業員をやっていた。彼はとらやの近くにある大衆食堂の幸子に恋していた。寅はそんな良介の胸中をすぐ見破る。数日後、寅に励まされた良介は、いきなり幸子にプロポーズする。秋田の母の容体が悪く、気がかりだった幸子は良介の言葉が耳にはいらない。それを良介は失恋と思いこみ故郷へ帰ると言い出した。結局、寅が彼に同情し、一緒に平戸島に行くことになった。平戸島にやって来た寅は良介の姉・藤子に紹介された。一目見た寅は、美しい藤子の恋の虜になってしまう。その頃柴又では、秋田から戻った幸子がとらやを訪ね、自分のことで自殺未遂まで起こしてしまった良介の一件を知り、愕然とする。幸子も良介が好きだったのである。幸子が良介を好きだという電話をうけ、早速姉と一緒にとらやにやって来た。一方、平戸島で藤子の家の留守番をしていた寅も、彼女を追って再びとらやに帰ってくる。良介と幸子の結婚話は急激に進展した。そんなある夜、藤子が、平戸島に恋人がいるので寅に来られてはこまると、良介に話しているのを寅は聞いてしまう。翌日、さくらに見送られ、寅は柴又の町を後にした。お正月、良介に連れられて晴れ晴れとした顔で幸子は平戸島を訪れた。その頃、寅は別の土地で旅回りの一座と再会していた。失恋の淋しさなどみじんも感じさせない寅の姿が、初春の日差しの中でなんともいえずさわやかだった。