男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花(1980)


 
 
シリーズ25作目
マドンナは浅丘ルリ子さん
夢は鼠小僧の寅さん。
騒動はとらやの慰安旅行。
 
沖縄の基地のクラブで唄っていた時に
急病で倒れ入院したリリー。
とやらのみんなに説得され飛行機嫌いを克服して
寅さんはリリーのお見舞いに行きます。
 
再会した寅さんとリリー、キラキラしていますね。
これでもかと病気のリリーに尽くします。
甲斐性はないけれど、優柔不断だけれど
好きな女性に尽くすのが寅さんの愛の形なのでしょう。
 
「リリー、オレと所帯持つか?」
 
退院したリリーと寅さんは下宿で同棲をはじめます。
だけれどつまらない喧嘩であっという間に
ふたりでの生活は終わってしまいます。
男女のプラトニックな愛の成就は
難しいものかも知れません。
 
「私たち夢を見てたのよ、あんまり暑いからさ」
 
この作品、とにかく台詞が素敵なんですね、心に響いて。
甘く、そして切ない。
山田監督の脚本が素晴らしく冴えわたっています。
寅さんが、リリーが、家庭をもって一か所に落ち着くことは
所詮夢でしかないのです。
 
だけれどラストシーンはいつものように哀しくはなく
リリーと偶然再会し歓びに溢れた終わり方でした。
ふたりはまた別れ旅をし、また再会しては心をトキメかし
そういう繰り返しをするのでしょう。
 
「オレはおめえ…リリーの夢を見てたのよ」
 
好きなのに結ばれない・・・そんな恋もまた
男性のロマンなのかもしれませんね。
 

 
【あらすじ】ウィキペディアより
博が街でリリーを見かける。リリーは寅次郎に逢いたいと博に告げる。とらやで、寅次郎の噂をしていると、偶然寅次郎から電話があり、リリーが逢いたがっていると伝えると、寅次郎は興味を見せない素振り。しばらくして、寅次郎は柴又に帰ってくる。しかし間の悪いことに、とらや一行はピクニックへ出掛ける所であった。慌てて、荷物を隠し体裁を取ろうとするさくら達。その事で機嫌を損ねた寅次郎は、さくら達と大喧嘩をする。
出て行こうとする寅次郎の下へ、手紙が届く。手紙の内容は、リリーが沖縄で病気で倒れたとの事で、寅次郎はあわてて沖縄に向かおうとする。皆で相談しあった結果、飛行機で行く事に決まるが、寅次郎は断固拒否する。博に説得されしぶしぶ了解するが、翌日飛行場で柱にしがみつき駄々をこねる。そこへ通りかかったスチュワーデスに連れられ搭乗し、なんとか沖縄へと飛び立つ。
寅次郎と再会したリリーは涙を流し喜ぶ。次第に、彼女の病気はよくなり、漁師町で一緒に生活を始める。しかし、その一方で地元の娘と浮かれる寅次郎。ある日、ちょっとしたことで二人は大喧嘩。翌日リリーは沖縄を去ってしまう。寅次郎は慌てて身支度を整え、手近な船に乗り、東京へ戻ろうとする。
島伝いに、時に行き倒れになりながらも、なんとか柴又にたどり着いた寅次郎。そこで、偶然リリーに再会し、おおいに喜び合うのであった。さくらは、リリーに寅次郎と結婚して欲しいと漏らし、寅次郎も「俺と所帯を持つか」と発言するが、リリーは冗談として聞き流す。そうして、柴又駅で二人は悲しく別れるのであった。好き合いながらも、お互いのプライドや体裁で一緒になれないリリーと寅次郎であった。