男はつらいよ 寅次郎純情詩集(1976)


 
マドンナは京マチ子さん。
 
家庭訪問にやってきた満男の担任(檀ふみ)にのぼせてしまった寅さん。
先生は若すぎる
先生のお母さんをお兄ちゃんが好きになったら私たちも文句はないわと
さくらちゃんに言われ、ああそうか!と本当に先生の母親である
綾(京マチ子)を好きになってしまう寅さん。
 
18作目にしてついに国際的大女優の登場です。
京マチ子さんといえば「羅生門」か「雨月物語」か・・
もう私的には人間の枠を超えた妖しい女性で。笑
浮世離れぶりはこの作品でもしっかり出ていましたね。
 
病気の綾にやさしく、やさしく、気をつかう寅さん。
結婚しているならともかく、いくら好きな相手でも余命がわずかと知ったら
介護から逃げ出す男性も多いのではないかと思います。
いつもデタラメで軽薄で、とらやのみんなに迷惑をかけてばかりの寅さん。
だけど好きな女性には、困っている人には、とことん親切な寅さん。
 
お嬢様育ちで世間知らずのまま大人になったような
そんな純粋な綾のため寅さんはあれもこれもと尽くし奮闘します。
 
だけど世間の人々は寅さんが好きになったのは母親か娘かと噂します。
そこでさくらちゃんが寅さんに言うセリフがいい。
「人の噂なんかどうだっていいじゃない!
 大威張りで綾さんのところに行ってらっしゃい!!」
 
綾の最期まで見届ける寅さん・・
必死な寅さんが滑稽でありながら泣ける。
 
「人はなぜ死ぬのでしょう」
 
死があり、別の場所では新たな誕生があり
そんな命の循環を描いた「男はつらいよ」だったのではないでしょうか。
 

 
【あらすじ】ウィキペディアより
旅先からふらりと帰ってきた寅次郎は、さくらの一人息子である満男の小学校の担任教師、雅子先生(檀ふみ)と知り合う。だが家庭訪問のはずなのに雅子を相手に勝手にでしゃばる寅次郎に対して博は激怒し、皆が同調したため寅次郎はとらやを飛び出ていく。そして寅次郎は旅先の上田・別所温泉でかつて知り合った旅芸人一座と再会し大いに盛り上がるも、金が無いのに見えを張って気前よく振る舞ったため再びとらやの面々に迷惑をかけ、さすがのさくらも呆れ果てるのだった。
だがとらやに戻った寅次郎は、店先で雅子先生と、長い病院生活を終えて退院した彼女の母親・綾(京マチ子)と出会う。綾は寅次郎やさくらの幼少時代を知っており再会を大いに喜ぶ。そして周囲の心配通り寅次郎は綾にゾッコンになってしまうのであった。かくして綾の家に通い詰める寅次郎を、とらやの面々や御前様が心配する日々が続くが、「自分の手で一銭も稼いだことがない」というどこか世間知らずな綾は、寅次郎の奔放さに惹かれていく。だがある日、さくらは雅子から母は余命僅かであると知らされ愕然とする