男はつらいよ 寅次郎春の夢(1979)


 
シリーズ24作目
マドンナは香川京子さん。
 
夢はサンフランシスコのバー&宿の銃撃戦。
騒動はぶどう。
 
脚本にレナード・シュレイダーというアメリカ人の脚本家が参加しており
(蜘蛛女のキスなど有名作も書いています)
当時の日米のお互いの国民に対する偏見などが垣間見ることができますね。
 
マイコ(マイケル)に宛てた手紙の中で
カミカゼとハラキリの国」で働く息子をとても案じている母親。
一方、アメリカ人というだけで、何もかも許せない寅さん。
1979年でもまだこういう風潮があったことには驚きです。
 
泊まる場所がなくとやらに下宿することになった
アメリカからビタミン剤を売りに来た行商のマイコ。
この作品では寅さんというよりはマイコが主役で
マドンナ役はさくらちゃんというところでしょうか。
 
言葉が通じなくて困っているマイコに親切なとやらのみんな。
やさしいさくらちゃんに、マイコは恋してしまうのです。
 
日米の愛情表現や、日本語と英語の違いを
うまくストーリーに組み込んでいて
マイコとさくらちゃんの心の動きがわかりやすく良かったですね。
 
もし私も外国人に告白されたら、こうやって断ればいいのです。
(告白されることなんかないくせにな)
 
さくらちゃんに(マイコのことを)「勘弁してやれよ」という寅さん。
上野駅で自分のお守りをマイコに差し出す寅さん。
(これでマイコも永遠にモテないままだな・・笑)
いろいろ世話を焼きながらも、そっと圭子さんから身を引く寅さん。
この作品の寅さんは粋でかっこいい。(今回は脇役だけど)
 
アメリカに帰り、ガソリンスタンドでさくらちゃんの写真を眺めるマイコ。
爽やかでいいラストシーンでしたね・・
 
・・・でも
 
山田監督、このラストシーン「ターミネーター」と一緒ですよ?
ジェームズ・キャメロン監督に全く同じにパクられています。
(キャメロン監督、寅さんファンだったのね・・・笑)
 

 
【あらすじ】ウィキペディアより
帝釈天の境内で落ち込んでいる外国人を見かけた御前様(笠智衆)は英語がわからず、外国人セールスマンとして来日したものの日本の商習慣が分からず失敗続きのマイケル(ハーブ・エデルマン)を「とらや」に招いて日米親善のため親切に振舞った。「とらや」に舞い戻った寅次郎(渥美清)は、さくら(倍賞千恵子)に馴れ馴れしいマイケルのことが気に入らず、険悪な雰囲気となる。満男(中村はやと)が通う英語塾の先生・高井めぐみ(林寛子)と、その母・圭子(香川京子)が「とらや」を訪れ、圭子が未亡人と知ると例のごとく寅次郎は一目惚れ。文化の違いを乗り越え、次第に友情が芽生える寅次郎とマイケルであった。とらやに下宿し、さくらの優しさに惹かれていくマイケルは、さくらが人妻であるにもかかわらず思いつめてある日「アイラブユー」と告白してしまう。そのことをさくらから告白された寅次郎は、マイケルが自分と同じような恋に不器用な人間であると理解し、彼に対する倫理的批判は避けている。さくらが覚えたての拙い英語で"This is impossible."と応えたことを知らされた寅次郎は「それでいいんだ」と優しくさくらを諭し、ただし「博には黙っていろよ」と付け加えた。但しこのマイケルのさくらへの愛情の告白という倫理的課題を寅次郎は、欧米人には日本人のように許されぬ恋心を心に仕舞いこむ「粋」は持ち得ないとする日本人の文化的優位性でもって解している。もっともこれとは逆にマイケルが米国に帰国したとき母親が米国文化の優越感から日本人に対し偏見に満ちた手紙を出しており、監督は両国の文化的齟齬を両国民の無知と誤解という次元でユーモラスに相殺している。あたかもマイケルがアメリカ版寅さんのようなタッチで描かれている珍しい一作である。