男はつらいよ 寅次郎相合い傘(1975)


 
 
「幸せにしてやる?大きなお世話だ。
 女が幸せになるには男の力を借りなきゃいけないとでも思ってるのかい?
 もし、あんたがたがそんなふうに思ってるんだとしたら
 それは男の思い上がりってもんだよ」
 
シリーズ15作目
マドンナは浅丘ルリ子さん。
シリーズ最高傑作と言われていますよね、この作品。
 
今回の旅先は北海道。
初恋の女性に逢おうと家出したエリート会社員(船越英二)と
偶然再会した歌手のリリーと寅さんの3人道中。
函館のベイエリアも小樽の運河沿いも
当時はこんなに錆びれていたというか
異国情緒漂い、お洒落な店が並ぶ現在の雰囲気とは
ずいぶん違っていたのですね。
 
渥美清さんと浅丘ルリ子さんの息が本当にぴったりで
普段からこのふたりは親友なんじゃないかしら?と思うくらい。
リリーの前ではカッコつけずに本当の自分でいれる
だけど本音で話せる分つい喧嘩にもなってしまう
そんな寅さん。
 
「とらや」でいただきもののメロンを切り分けて
寅さんの分がなくって大騒動。
寅さんと言い争って「とらや」を飛び出したリリーを
柴又駅まで迎えに行く寅さん。
 
「迎えに来てくれたの?」
「馬鹿野郎、散歩だよ」
「雨の中を散歩?」
「悪いかよ」
「濡れるじゃない?」
「濡れて悪いかよ」
「風邪ひくじゃない?」
「風邪ひいて悪いかよ」
 
寄り添って相合傘・・いいシーンですねえ。
もう寅さんにはリリーしかいないよ。
リリーに旅先から帰る場所を作ってあげなよ!
と切実に願ってしまいます。
 
だけどまたすれ違い、再びリリーが飛び出したとき
今度は寅さんは追いかけていきませんでした。
リリーはきっと追いかけてきてほしかったはずなのに。
雨に濡れて駅で待っていたかもしれないのに。
 
そしてリリーにやさしい言葉をかけてほしかった。
(以下妄想突入)
 
「今じゃないけど、いつになるかわからないけれど
お金が溜まったら、部屋を借りよう。
冬はストーブで、こたつで
リリーが旅先から帰る日には、うんと暖めておくよ。
いつになるかわからないけれど、その時になっても俺を好きだったら
一緒になってくれるかい?」
 
と寅さんが言うと
涙か雨で濡れたのかわからない笑顔でリリーが
 
「いつまでも待ってるさ、寅さんのことが大好きだもん
 おばあちゃんになった私でもいいの?」
 
「もちろんさあ。俺だってじいちゃんになるんだ。
 年金もらえるから今よりいい暮らしができるかもなあ・・ははは」
 
列車に乗って手を振りながら、どこかに旅立つリリー。
「また旅先で逢おうなあ~」と叫ぶ寅さん。
遠くでふたりの姿を見つめて泣くさくらちゃん。
 
・・・
 
山田組に入れよ。笑
 
(妄想終わり)
 
有名なメロン騒動はさすがの面白さで見ごたえがありました。
「これで買って頭から丸ごとガリガリ食いやがれえ~~!」
とお札を投げつけるおいちゃんが最高っ。笑
 

 
【解説】allcinemaより
人気シリーズの第15作。今回のマドンナには「寅次郎忘れな草」(第11作)に続いて再び浅丘ルリ子が登場。寅次郎とリリーの結婚話で“とらや”の面々が振り回されるさまを描く。相変わらず全国を旅して回るフーテンの寅。東北のとある田舎町で会社も家族も捨て、蒸発した変わった中年男と出会う。心配した寅は男の家族と連絡をとりつつ、二人旅へ。と、そんなある日、函館で寅は偶然リリーと2年ぶりの再会をする。ドサ回りの歌手に戻ったリリーを加えた3人は楽しい旅を続けるが……。シリーズ中でも1、2を争う人気作。