フォレスト・ガンプ/一期一会(1994)



「神がお前に与えたもので、ベストを尽くすのよ」


アカデミー6部門を受賞した名作

20世紀後半アメリの歴史を肯定も否定もせず

アメリカの生きてきた記録を楽しめます


そして人を疑わず、くよくよ悩まず

後ろ向きなことには時間を使わない

約束は守る、実行に移す

こういう人生を歩めば誰もが成功に近づける教えてくれます


しかし、実際には非常にシビアな内容

その荒唐無稽な部分を、あざとさを一切見せず

遊び心で爽やかなファンタジーに仕上げた

ゼメキス監督の手腕は相当なもの




時は1950年代ガンプは発育障害が疑われる少年

知能指数75、公立の学校の入学を拒否され、養護施設を勧められた母親は

「たった5足りないだけ」と校長先生と寝て、ガンプを入学させるのです


スクールバスで学校に通いはじめたガンプ

しかし誰もが意地悪で、ガンプに席を譲ってくれません

たったひとり、ジェシーという女の子が座らせてくれました

その日からふたりは親友になります


父親から性的虐待を受けていたジェシー

夜になるとガンプの部屋に逃げてくる時もありました

大人になっても風俗店で働いたり

悪い男とばかり付き合ってしまう




一方のガンプは高校に入ってもいじめはなくならず

しかしそのいじめっ子から逃げる足の速さを認められ

やがてフットボールの花形選手に


ベトナム戦争では英雄に

卓球では世界大会に出場

大統領にも会います




両足を失って生きるくらいなら、名誉の戦死の方が良かった

なんで命を救ったとなじるダン隊長にも


都合のいいときだけやって来て

何度もだまって去ってしまうジェニーにも

ガンプの愛は変わらない


戦死したババとの約束で、エビの仕事をすることを

両足を失ったダン隊長と果たし

「果物の会社」(アップル)の投資にも成功

そしてどんなに成功しても

自分で考えていないから自慢にならない()



最愛のジェニーと、余命わずか(エイズと思われる)

でしたが結婚もします

子どもが本当にガンプの子かわかりませんが

ジェニーはガンプの子として育てたかったのでしょう


だけど素直に笑えて、素直に感動できる

見る者までも、純真でやさしい気持ちにさせてくれます




勇気をもらえる言葉がたくさんあって、曲もいい

とくにスコット・マッケンジー「花のサンフランシスコ」

ボブ・ディランの「風にふかれて」が

作品のテーマとよくあっていた気がします


ささやかな幸せを感じたい、そんなときにおすすめ

ババ・ガンプ・シュリンプ」も食べたくなりました(笑)




【解説】allcinemaより 

知能指数は人より劣るが、足の速さとその誠実さは天下一品という一風変わった主人公フォレスト・ガンプの半生を、時代を象徴する“事件”とヒット・ナンバーで綴った心暖まるヒューマン・ファンタジー。映像化は困難と思われていた原作を映画的に奔放に脚色したシナリオも素晴らしいが、やはりこれは、多くのSFX映画の中できっちりとロマンを描き続けて来たR・ゼメキスの手腕と、まるでガンプそのもののようなT・ハンクスの存在があって初めて実現し得た作品であろう。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズでもゼメキスと組んでいたA・シルヴェストリが、数々の懐かしい名曲と並んで、まったく引けをとらない美しいスコアを書き上げている。スペンサー・トレイシーに次いで、ハンクスが2年連続主演男優賞を取った他、アカデミー賞では当然のごとく、作品・監督・脚本といった主要部門を総嘗めにした。