遙かなる山の呼び声(1980)

 
再見、2度目のレビュー

やはりよかったですね

 

山田洋次監督は全作品見たわけではありませんが

今のところのマイベスト

もちろん「お気に入り」

 

高倉健さんは「昭和残侠伝」シリーズの

池部良さんとのツーショットがため息ものなのですが(笑)

いちばん良い演技をしているのは、この作品だと思います

 
 
牧場での肉体労働、乗馬、コーヒーを淹れる、喧嘩に強い

これはもう男の色気、逞しさが半端ない()

そんな強い男の手に(黄色い)ハンカチ

この泣き方は健さんにしかできません

 

そして倍賞千恵子さんはこの作品で

風見民子になりすぎてしまい

撮影後、自分が分からなくなり

女優を辞めようとまで思ったとか

 
 
当時9吉岡秀隆さん台本は与えられず()

監督の指示だけで演技させられ

おじさんとの別れのシーンでは入りすぎて

カットの後も、ずっと泣き続けていたそうです

 

酔っ払い獣医のムツゴロウさんや、渥美清さんもいい味を出していて

全ての登場人物が愛おしいのですが

 

その中でもベスト・オブ・助演男優賞

虻田太郎ことハナ肇さん

 

レストランを経営し、中標津の有力者なのでしょう

未亡人の民子に気があり、豪華な蟹を持参で口説き

犯す気まんまんのクズ男

 

だけど田島に男惚れしてしまい

民子のため、田島のために一役を買うことになるのです

ただ愛情表現があまりにもストレートな
彼もまた不器用な人間だったのです

これはもうありえない好感度爆上げ(笑)

 

私だったら、田島じゃなくて虻田を選ぶよ(珍味好き)

しかもお金持ちだし(オマエはそういう女だよな)

 

ただ、相変わらず武田鉄矢さんだけは超ウザい(笑)

出番が少なかったことだけが救いです

 

あらすじは

ある冬の嵐の夜、ひとりの男が

「ひと晩でいいから泊めてほしい」と民子の家に来きます

そして夏が来て、再びその男が「働かせてほしい」とやってくるのです

この「田島耕作」と名乗る不審な男を

民子は警戒しながらも雇うことにします

そして徐々に彼に惹かれていきます

 

一方の田島も、母子との暮らしの居心地の良さに

思わず長居してしまいます

ある日ばん馬(ばんえい競走)に出かたことが仇となり

警察に目をつけられてしまいました

田島は警察に追われる身だったのです

 
 
そんな罪を犯した男を、何年でも待つという

民子に代わって、虻田が言う

 

邦画でこんな感動的なシーンはそうありません

しかも山田監督の中でも特に作為を感じさせず

「幸せの黄色いハンカチ」より話の筋がしっかりしている

 

 

欲を言えば、なぜ田島が逃亡したのか

的確な理由が欲しかったことと

できれば虻田の力を借りてでも

民子には牧場を手放さないで欲しかったことでしょうか

 

映画の中で田島が兄と会う上武佐かみむさ

廃駅となり今はもうありません

健さんも、渥美清さんもお亡くなりになり

見終わったあとは、少し寂しい気持ちになりました

 

【解説】allcinemaより

 北海道を舞台に、誤って人を殺して警察に追われる男と、牧場を経営する母子の出会いと別れを描いた人情ドラマ。監督は“男はつらいよ”シリーズの山田洋次。北海道東部の酪農の町・中標津。風見民子は一人息子の武志を育てながら亡夫の残した牧場をひとりで切り盛りしていた。そんなある日、激しい雨の降る夜、一人の男が民子の家を訪れ、民子は納屋を提供する。その晩、牛のお産があり、男はそれを手伝うと、翌朝、去っていった。その夏、男が再びやってきて、働かせてくれと願い出た……。