原題は「LE CONCERT」(コンチェルト)
社会派音楽コメディということですが
こういう作品を見ると、フランス人と日本人の笑いのツボは
違うということがわかります
監督はルーマニアからフランスに亡命したという、ラデュ・ミエレアニュ
いかにもロシア人らしさ、ユダヤ人らしさという
違いが本作は面白いのだと思います
ユダヤ人奏者は演奏ぎりぎりまでグッズを売って
お金儲けをしています
日本人らしい観客は「ここではお金の話はなし、音楽を楽しもう」と
説教されていますし(笑)
フランス人はチャイコフスキーが嫌いなのだそうです
(ナポレオンを破ったロシアを讃える「序曲1812年」を作ったため)
何年も楽器に手を触れてないような楽団員を集め
しかもソロ・ヴァイオリニストはチャイコフスキーを弾いたことがない
そのうえリハーサルなしのぶっつけ本番でコンサート
漫画でもあるまいし、この筋立てはあんまりだと思いますが
ラストの15分で、その理由がわかりました
これは、神様が、音楽が、起こした奇跡を訴える作品なのです
ヒロインのアンヌ・マリー=ジャケ(メラニー・ロラン)が
ヴァイオリンを弾き始めた時、その音色が何か誰のものか
楽団員たちはすぐさま気が付きます
そしてタイムスリップしたかのように、過去の見事な演奏を奏でるのです
アンヌ・マリーも自分が何者であるかに気が付きます
チャイコフスキーの協奏曲を最後までしっかりと
聴かせてくれるのが素晴らしい
その演奏中にカットバックで映し出される
楽団員たちの悲痛な運命、赤ん坊だったアンヌ・マリー
そして楽団の未来までもが描かれる鮮やかな演出
ブレジネフ政権で突き落とされた楽団員たちが
30年ぶりに復活し、みごと成功を収めるのです
見事なクライマックスでした
メラニー・ロランの美貌に乾杯!
【解説】allcinemaより
名門オーケストラの元天才指揮者が、ひょんなことから昔の仲間を中心にオーケストラを再結成し、かつての栄光を取り戻そうと奮闘する姿をユーモラスに描いた感動音楽ドラマ。主演はロシアを拠点に活躍するアレクセイ・グシュコフ。共演に「イングロリアス・バスターズ」のメラニー・ロラン。監督は「約束の旅路」のラデュ・ミヘイレアニュ。
ロシアのボリショイ交響楽団で劇場清掃員として働く中年男アンドレイ。彼は30年前、この楽団で天才指揮者と持てはやされ活躍していた。しかし、共産主義の当時、国がユダヤ人排斥の政策を強行、ユダヤ系の演奏家たちも例外なく排斥されることにアンドレイらは反旗を翻したことから、解雇の憂き目に遭う。以来、再起の機会を窺いながら、冴えない現状に甘んじていた。そんなある日、パリの劇場から届いた出演依頼のファックスを目にしたアンドレイは、とんでもない考えを思いつく。それは、彼と同様に落ちぶれてしまったかつての仲間を集めて偽のオーケストラを結成し、ボリショイ代表として夢のパリ公演を実現させようという突拍子もない計画だった。こうして、タクシー運転手、蚤の市業者、ポルノ映画の効果音担当など、様々な職業で生計を立てていた仲間が集まり、いざパリへと乗り込む一行だが…。
ロシアのボリショイ交響楽団で劇場清掃員として働く中年男アンドレイ。彼は30年前、この楽団で天才指揮者と持てはやされ活躍していた。しかし、共産主義の当時、国がユダヤ人排斥の政策を強行、ユダヤ系の演奏家たちも例外なく排斥されることにアンドレイらは反旗を翻したことから、解雇の憂き目に遭う。以来、再起の機会を窺いながら、冴えない現状に甘んじていた。そんなある日、パリの劇場から届いた出演依頼のファックスを目にしたアンドレイは、とんでもない考えを思いつく。それは、彼と同様に落ちぶれてしまったかつての仲間を集めて偽のオーケストラを結成し、ボリショイ代表として夢のパリ公演を実現させようという突拍子もない計画だった。こうして、タクシー運転手、蚤の市業者、ポルノ映画の効果音担当など、様々な職業で生計を立てていた仲間が集まり、いざパリへと乗り込む一行だが…。