ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人(2008)



監督はなんと日本人女性。
NHK職員、教育番組用の取材で
ヴォーゲル・コレクションの存在を知ったそうです。

ヴォーゲル夫妻はアメリカでは有名な美術品コレクターということ。
しかも郵便局員と公立図書館の司書という元公務員同士。
私たちにも、収入はいかほどのものかは想像できますよね。

その月給の中で、気に入った美術品を
手に入れることができる価格のものを
アパートに入る大きさのものを
コツコツと収集していく・・・

これって、想像しただけでワクワクします。笑

そして、この映画がうまく描いているのは
数々の芸術作品以上に素晴らしいと言える
ハーバード(ハーブ)&ドロシー・ヴォーゲル夫妻の
存在なのです。

まさに理想のパートナー。
可愛くって、愛らしくって、愛情豊かで
お互いにも、アートにも、芸術家にも
(夫婦が好きな)動物にもやさしい。

私は年齢とともに生き方が
顔や姿に出るものだと思います。

年をとったら外見でごまかしはきかない。
不摂生は体系にでるし、性格は顔に出るのです。

ハーブとドロシーだって、決して美男美女なカップルではありません。
ハーブは寡黙でおちびさん、ハンサムとは言えないでしょう。
でもドロシーは彼の容姿も才能も褒めまくります。
ふたりには外見以上に尊敬しあうものがあるのです。

先見の明がある生き方が現れた
ふたりの顔はとてもチャーミング。
アート界のマスコットと、業界の人間が言うのも納得。
誰が見ても好きな顔なのです。

こんな素敵な夫妻を見たなら、才能あるアーティストが
思わず安価で作品を提供してしまうのも頷けるでしょう。
しかも美術に対する着眼点が
それを描くアーティストと一致してしまうのですから。

ハーブは天才。
それを支えるドロシーは女神。
ふたりは美しいものを世に伝えるために
天から派遣された伝道師なのでしょう。

お金だけではない、最高の幸せがここにあります。
悔いのない人生、私たちも送りたいですね。



【解説】allcinemaより
慎ましい生活を送りながら、30年間に渡ってお気に入りの現代アートをコツコツと買い集め、いつしか全米きってのコレクターとなってしまった一組の老夫婦の微笑ましくも感動的なアートへの愛が詰まった奇跡の人生を見つめたドキュメンタリー。監督はニューヨーク在住でこれが初監督作品となる日本人女性ジャーナリスト、佐々木芽生