いつも2人で(1967)

 
男と女の人生という旅のロードムービー
邦題はロマンチックですが、原作のタイトルは「愛の限界」だそうです。
 
フランスを車で旅する倦怠期の夫婦。
遠ざかる車に乗っていたふたりは若い頃の自分たち。
通り過ぎたヒッチハイカーも過去の自分たち。
車種やファッションや髪形を変えながら
出会いから現在までを、時間を交差させながら展開します。
 
「結婚とは?結婚とは、女が男に服を脱いでって言うのが
ただ単に洗濯したいから・・っていう理由になった時」

 
この作品には、夫が妻を愛していると感じるシーンはひとつもありません。
夫のマーク(アルバート・フィニー)は妻のジョアンナ(オードリー)に
惚れられ仕方なく結婚し、仕方なく子どもも作ったのです。
そして妻の妊娠をきっかけに簡単に浮気もします。
 
長年一緒に暮らしてきた夫婦。
だけど本当に愛し合っているのかどうかわからない。
そんな夫婦の心情がリアリティを生み出しているのでしょう。
 
それでも長い間の結婚生活の中には楽しい事もあった。
幸せを実感したこともあったのです。
パスポートが随所で二人を結ぶアイテムとなっていましたね。
 
哀切感あふれるテーマソングがなんといってもお見事。
「ひまわり」「ティファニーで朝食を」「シャレード」・・
ヘンリー・マンシーニの音楽抜きでは語れない作品のひとつでしょう。
 
 

 
 
【解説】allcinemaより
倦怠期を迎えた夫婦が馴れ初めの地フランスを自動車旅行する。夫はフィニー、妻は容姿衰えたと言え可憐なオードリー。夫は明らかに浮気をしており、妻にもやましい所がないではない。思い出すのは出会いの新鮮な瞬間の数々。そのフラッシュバックを実に自在に現在と交錯させ、H・マンシーニのノスタルジックなメロデイに乗せ、ドーネン監督が洗練の極みを見せる傑作ロード・ムービー。旅の途中で出会う人々の描写も可笑しく、旅が進むにつれ恋に落ちた当初の気持ちを次第に取り戻して行く中年男女の微妙な心理の綾を、フィニーとオードリーがさらりと好演する。何度でも見たくなる愛らしいハリウッド版「男と女」。