「サポート役は音を響かせない」
原題は「The Only Girl in the Orchestra」(オーケストラで唯一の少女)
オーケストラに参加した最初の女性で、コントラバス奏者の
オリン・ブライエン(1935年生)が
55年間在籍したN.Y.フィルを2021年に87歳で退団するところから
始まる35分のドキュメンタリー
第97回アカデミー賞短編ドキュメンタリー賞作品
監督はオリン・ブライエンの姪であるモリー・オブライエン
謙虚で知性があってタフな女性
とても87歳とは思えません
1966年、30歳のときにレナード・バーンスタインに認められ
ニューヨーク・フィルハーモニー管弦楽団に初の女性奏者として参加
今でもこれだけ綺麗なのだから、若いときは本当に美人さんで
マスコミからは実績や実力よりも「コントラバスの様な曲線美」だとか
女性であることばかり取り上げられ
ほかの奏者より目立つことが嫌で仕方がなかったと言います
両親はジョージ・オブライエンとマルグリット・チャーチルという
「バビロン」世代の大スター
両親は注目されるのが大好きだったといいます
しかし年を取り、父親には脇役の仕事しかこなくなり
寂しい晩年を過ごすようになる
そんな父親の姿を見てオリンは「脇役を楽しむ」という教訓を得たのです
だから楽器も「脇役」のコントラバスを選び
両親が離婚し辛い想いをしたときは
コントラバスを練習することで寂しさを忘れたと言います
オリンは教え子たちにも「目立ってはいけないと」
「他の楽器をしっかり支えるのがコントラバスの仕事」だと
アドバイスしています
今では最も著名な音楽家のひとりになりましたが
彼女の素晴らしいキャリアを振り返ってみても
彼女は自分の人生(が男性主体の中で成功したの)は「偶然の連続」と言い切る
本当はがむしゃらに努力しただろうに
結婚はせず、浮いた話も(あったのかも知れないけど)見当たらない
コントラバスと生徒たちのことを子どもだと思っている
生きている親戚は姪っ子だけ
だから撮影も許可したのでしょう
映画的にはアカデミー賞を取るほどではなかったような気がしますが(笑)
これまでのオリン・ブライエンの功績を称えたものだと思いました
【解説】映画.COMより
アメリカ5大オーケストラのひとつに数えられる「ニューヨーク・フィルハーモニック」で女性として初めて正式団員になった、コントラバス奏者オリン・ブライエンの功績を描いた短編ドキュメンタリー。
コントラバス奏者の草分け的存在でもあるオリン・オブライエンは1966年、レナード・バーンスタインによってニューヨーク・フィルハーモニック初の女性団員として採用される。彼女自身は自らスポットライトを求めるような人物ではなかったが、このことで必然的にメディアの注目を集めるようになり、やがて彼女は同世代で最も著名な音楽家のひとりとなっていく。
第97回アカデミー賞で短編ドキュメンタリー賞を受賞。Netflixで2024年12月4日から配信。
2024年製作/35分/アメリカ
原題または英題:The Only Girl in the Orchestra
配信:Netflix