ナイアド 〜その決意は海を越える〜(2023)

 

”Tell me, what is it you plan to do with your one wild and precious life?”

「一度きりの貴重な人生、あなたはなにをする?」

原題は「Nyad」

64歳でフロリダ海峡約180キロを泳いで横断する偉業を成し遂げた

長距離水泳選手ダイアナ・ナイアドの実話を映画化

2010年、ロサンゼルス

ナイアド(アネット・ベニング)60歳の誕生日

親友(恋人ではないが実質的なパートナー)の

ボニー(ジョディ・フォスター)はサプライズパーティを開き

白パン」の素敵な女性まで紹介しますが

ナイアドは「60を過ぎると年寄り扱い」「恋愛にときめかない

それより人より秀でていたいと打ち明けます

そんなとき、母の遺品の中から見つけたメアリー・オリバーの「夏の日」

折られていたページには「一度きりの貴重な人生、あなたはなにをする?」の一節

その言葉に運命を感じたナイアドは30年ぶりに泳いでみることにします

さらには28歳の時に叶えられなかった

キューバからフロリダまで泳いで渡るという壮大な夢への

挑戦心が再燃します

ナイアド本人の映像も写し出されますが

どっちがどっちかわからないくらい、アネット・ベニングが似せています(笑)

ビックマウスで周りの人間を振り回し

何でも自分の思うようにしなければ気がすまない困った人なのですが

実際のナイアドは映画以上に曲者だったそうです(笑)

さらにアネット・ベニングは息子がトランスジェンダーであること

ジョディ・フォスターレズビアンを公表しており

ふたりともLGBTQコミュニティを支えていることで有名だということ

さらにふたりとも今年度のゴールデングローブ賞でも、アカデミー賞でも

主演女優賞、助演女優賞の最優秀候補と言われていますが

こうなってくると、男優賞と女優賞の他にLGBTQ賞も作ったほうがいいですね

それとも「高崎映画祭」のように男優女優関係なく「俳優賞」にするのが

今の時代にあっていると思います

ボニーはナイアドに、スポーツ医学の権威でも

その年でかつ女性なら無理だと言っていたと説明しても

「周囲が課した限界など信じない」

「私ならできる あんたがいなきゃ無理」とボニーにコーチを頼み

本格的なトレーニングが始まります

しかし60歳を超えた元水泳選手に50万ドルも払うスポンサーはなく

腕のいい航海士ナビゲーター必要サメ対策も考えないといけない

専門家のチームが必要なのです

ボニーはメキシコ湾に詳しいキューバ航海士

ジョン・バートレットリス・エヴァンス)を見つけますが

そこでもナイアドは人の意見を聞かず文句ばかりでお手上げ状態

なんとかバートレットを説得

船長はベテランのディー・ブレイディ

しかしいざメキシコの海を泳いでみると、寒さに耐えきれず中止

30年のブランクは長く、終われば吐き気が止まりません

それでも「私が世界一」「人類初の偉業を成し遂げる」

彼女が決して負けない、諦めないというという気持ちを

辛いときに思い出し、突き上げているものは

14歳の時から尊敬していたコーチ、ジャック・ネルソンに

性的な関係を強要されていたこと

しかもこの男は複数の少女から告発されていたにもかかわらず

1994 年に「名誉コーチ」として国際水泳の殿堂入りを果たしたのです

こんな悔しいことはない

2011年8月7日、61歳で33年ぶり2度目の挑戦

海に入ってすぐに肩の痛みに悩まされたうえ

強い流れと風に遭遇しコースを何マイルも東に押し流された

喘息の発作により開始から29時間後に中止

2011年9月23日、623回目の挑戦

またもや海流が彼女をコースから外しハコクラゲされて呼吸困難

41時間後(180km)124km通過したところで中止

2012 年 8 月 18 日、634度目の挑戦

2回の嵐と9回クラゲに刺されたうえ

激しい幻覚に襲われ中止

ボニーとバートレットはついにナイアドのサポーターを辞める決意をします

それでも威勢よくチャレンジを続けるつもりのナイアドでしたが

自分の力だけで雇えるたのは使いものにならない素人だけ

やっとチームの協力があってこそ挑戦出来ていたことに気付くのです

2013年8月31日 645度目の挑戦

出発する日時はバートレットが決めることに同意し

ハコクラゲ専門家エンジェル・Yの指導による

シリコンマスク、フルボディスーツ、手袋を身に着け

サメダイバーが同行

さらに天気と潮の流れがナイアドに味方します

約53時間後、ついにキーウェストのビーチに到着します

待ち受ける人々の歓声、レインボーの旗

最初からボニーやバートレットらチームの話を聞いていたら

もっと早く成功していたかも知れないのにね (笑)

 

夢を叶えたナイアドは自らの三か条をこう語ります

1.”Nver ever give up” 「絶対に諦めるな」
2. ”Never too old to chase your dreams” 「夢を追うのに年齢なんて関係ない」
3. ”It looks like a solitary sports, it takes a team”

 「個人競技に見えるけど、チーム競技」

その後もボニーと共に、テレビ出演や講演をしたり

ダンサーに挑戦する姿がエンドロールで流れます




【解説】映画.COMより

64歳でフロリダ海峡を泳いで渡るという偉業を成し遂げたスイマー、ダイアナ・ナイアドの実話を映画化。アカデミー長編ドキュメンタリー賞を受賞した「フリーソロ」をはじめ、「MERU メルー」「THE RESCUE 奇跡を起こした者たち」など困難に挑戦する人々のドキュメンタリーを多く手がけてきたエリザベス・チャイ・バサルヘリィ&ジミー・チンの夫婦監督が、初めて劇映画でメガホンをとった。
ラソンスイマーを引退して約30年が経ったダイアナ・ナイアド。60歳を迎えた彼女は、ずっと思い続けていたひとつの挑戦が頭から離れなかった。それは「水泳界のエベレスト」と呼ばれるフロリダ海峡を横断するというものだった。フロリダ海峡にはサメや毒クラゲの恐怖や、激しい湾流などもあってオーシャンスイムの最難関とされ、そこを泳ぎ切るには想像を絶する困難を乗り越えなければならない。それでも世界初の称号をかけ、サメよけのケージも使わずに生身で泳ぎ切ることを決意したダイアナは、親友でありコーチでもあるボニーらとともに4年に及ぶ波乱に満ちた挑戦に乗り出す。
キッズ・オールライト」「アメリカン・ビューティー」などでアカデミー賞に4度ノミネートされている名優アネット・ベニングがダイアナを演じ、ボニー役は「羊たちの沈黙」「告白のゆくえ」でアカデミー主演女優賞を2度受賞しているジョディ・フォスターが担当。Netflixで2023年11月3日から配信。それに先立ち10月20日から一部劇場で公開。

2023年製作/121分/G/アメリ
原題:Nyad
配信開始日:2023年11月3日