ジュリアス・シーザー(1953)



ブルータス、お前もか


シーザー暗殺の前日から始まり

ブルータスが死ぬまでの短い期間を描いている。

シーザーの物語と言うより、ブルータスとアントニウスの物語




シェクスピアの文体そのままの映画化ということで
ほぼ会話だけで進行します

文学や古代ローマ史が好きな人なら感動するのかも知れませんが

そうでないとかなり退屈(笑)


でもこの難しくて膨大なセリフの量は俳優としてやりがいがあるし

それゆえに映画としての評価も高くなるのでしょう




紀元前44年ローマ

ジュリアス・シーザールイス・カルハーン)が

終世独裁官になるにあたって

市民から圧倒的な支持を集めていました


シーザー打倒を企むカシアス(ジョン・ギールグッド)は

公正と誠実さで人気のブルータス(ジェームズ・メイスン)を利用しようと

カスカ(エドモンド・オブライエン)ら謀反一味とともに

シーザー暗殺の計画を打ち明けにブルータスの家に集まります




不吉な夢を見たと、元老院へ行かぬよう切願する

妻カルプルニア(グリア・ガースン)を振り切り出かけてしまうシーザー

謀反者たちは計画どおりシーザーを殺害するのです


見どころは、シーザーに忠誠を誓っていた

アントニウスマーロン・ブランド)が

ブルータスたち謀反者をだまして




ローマ市民の前で演説をし

復讐のため市民を巧妙に煽動するところ


ジョン・ギールグッドのカシアスもかなり嫌らしい奴でしたが


マーロン・ブランドの美しかった顔が

だんだんと、どこか異常に感じる怪しい表情に変わっていくのには

何をしでかすかわからない恐怖感を覚えるのです




ブルータスら謀反者はローマを離れ

(シーザーの養子)オクタビアスアントニウスが政治の実権を握り

アントニウスは謀反者たちに軍勢をさしむけます


そしてフィリッピの戦いで敗れたブルータスは

従者に命じて自分を刺殺させるのです




シェイクスピア悲劇は、なぜ死ななければならなかったのか

どのように死が訪れるのかという、死の意味を問いただすことで

自分の生きる意味を見つけ、感銘を受ける(そうです)


嫉妬、裏切り、復讐という人間の本性がむき出しにされるからこそ

今でもシェイクスピアの史劇は映画やドラマや小説の

基本となっているのでしょう




【解説】allcinemaより

シェイクスピアの戯曲を忠実に映画化。紀元前44年のローマ、シーザー(カルホーン)は帝位に就こうとして、反シーザー派カシウス(ギールグッド)、カスカ(オブイエン)たちの反対にあい、親友ブルータス(メイスン)にも裏切られて殺された。共和制を守るという大義を持っていたブルータスは、シーザーの信奉者アントニー(ブランド)の追悼演説によって謀反者の烙印を押され、反シーザー派と共にローマを追われる。結局、彼らはハイリボの決戦でアントニーに敗れ、カシウス、ブルータスは自決した。女優陣は、シーザーの妻にガースン、ブルータスの妻にカー。アカデミー賞の〈白黒〉美術監督賞、ナショナル・ボード・オブ・レヴュー賞の作品賞・男優賞(メイスン)、英アカデミー賞の英国男優賞(ギールグッド)・外国男優賞(ブランド)を受賞。前記の演技賞受賞3者はキャスティングの妙もあって秀逸、マンキウィッツもキャリアの絶頂期にあたり演出は手堅く、とくにアントニーの演説シーンのローマ市民の次第に興奮するカット・バックあたりは映画ならではの演出。オーソドックス故、非常に野心的足りえた作品。