原題は「我的父親母親」
英語のタイトルは「THEROAD HOME」
それにしてもこの邦題は素晴らしい
配給会社にも映画を知ってる人間がちゃんといるんじゃない(笑)
チャン・ツィイーのデビュー作で、ファンも多いこの作品
そのほとんどは男性ファンばかりだと思います(笑)
とはいえ現在がモノトーンで、過去が色鮮やかなカラーという映像は
過去だけが生きている時間のようで、老母の心情を
より効果的に見せることに成功しているでしょう
中国の華北にある三合屯という寒村
「私」ルオ(スン・ホンレイ)は父親の訃報を受け
葬式をするために町から帰ってきます
村長は”昔のしきたり”通り
死んだ父親を担いで連れ戻したいという母親を
今ではやっている者は誰もいないのだから
トラクターで運ぶよう説得してくれと言います
しかし頑なにそれを拒む母親
おまけに棺桶にかける布も自分で織ると言い張ります
我がままで困ったババアだ・・と誰もが思うわけですが
ルオは父親の書斎で両親が結婚した頃の写真を見つけます
ふたりの結婚は当時、村中の話題になったそうです
町からやってきたチャンユー先生に恋してしまうチャオディ
村から出たことのない文盲の少女にとって
都会からやってきたエリート先生は憧れだったのでしょう
先生のためにお弁当を作り
学校の前を通るために遠くの井戸まで水を汲みに行き
学校が終わる時間には先生を待ち伏せします
もうこれは完璧なストーカーなのですが(笑)
チャオディはただ遠くから先生を見つめるだけ
先生もチャオディの気持ちに気が付き
会話はほとんどないものの、ふたりは両想いに
そして先生がチャオディの家に
きのこの餃子を食べにくると約束した日
(右派だった)先生は町に連れ戻されてしまいます
その日から先生を待ち続けるチャオディ
イーモウ監督は、文化大革命のとき
下放(地方の農村に若者が徴農されること)された経験があるそうで
これはもう100%イーモウ監督の
妄想の世界ではないかと思うのですが(笑)
それでも後半は引き込まれました
チャオディが先生に餃子を届けようと転んで、砕けた高価でもない器を
「買ったほうが安いのに」母親は修理屋に直してもらいます
娘を案じる母親の気持ち
そして先生が帰ってくると約束した日
チャオディは吹雪の中待ち続け大熱を出してしまいます
母親はついに「先生を町から連れてきてくれ」と村長に頼むのです
そこで私たちは、老母がどうしてそんなにも
父親を担いで運ぶことにこだわるのか
どうしてそんなにも布を織りたいのか
理解することになります
ルオは村長に担ぎ手を雇いたいと報告し
(中国人はまず必ずお金の話を先にする)
だけど葬儀の日にやってきたのは100人以上の先生の教え子たちでした
村へと向かう棺桶を担いだ長い長い行列
町に帰る前、建て替えの決まった古い校舎に子どもたちを集め
一度だけ授業を開くルオ
そこだけが再びカラーになります
息子が教壇に立つ姿に亡き夫をだぶらせる老母
女性は自分の意思を決して曲げない(笑)
私も自分の頑固になってきた母親を理解して
もっと親孝行してあげよう思いました
都会からやってきた若い教師ルオ・チャンユーに恋して、その想いを伝えようとする18歳の少女チャオ・ディ。文盲のディは手作りの料理の数々にその想いを込めて彼の弁当を作った。やがてその気持ちに彼も気づき、いつしか二人の心は通じ合う。しかし、時代の波「文革」が押し寄せ二人は離れ離れに。少女は町へと続く一本道で愛する人を待ち続けるが……。「紅いコーリャン」のチャン・イーモウ監督、「グリーン・デスティニー」のチャン・ツィイー主演のラブ・ストーリー。