フラガール(2006)

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「いつまでも時代のせいにしてればいい」
「時代の方が変わったんだ、何故オレたちまで変わらなければならない」


 プロットは矢口史靖監督のウォーターボーイズ(2001)

スウィングガールズ(2004)と同じ

最初はあまりやる気のない素人集団が、努力で困難を乗り越え

ステージを成功させるサクセス・ストーリー

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でも時代背景は実話ベースだけに興味深い

昭和40(1965)年、福島県いわき市ある本州最大の常磐炭鉱

しかし日本の産業エネルギーは石炭から石油と移行し

炭鉱は閉山されようとしていました

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そこで経営会社は、観光業で生き残りを図ろうと

豊富な温泉資源を活用して日本で始めてのテーマパーク

常磐ハワイアンセンター」(現、スパリゾートハワイアンズ)の設立を決定

ダンサーとして働く地元の若い女性を募集します

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「温泉センター」だ「保養所」だ、という発想なら誰でも思いつくでしょう

そうではなく、東北にハワイを作るという奇想天外な付加価値を思いついた

これはすごい

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しかし当然、親子3代続いた炭鉱で働く労働者たちや

地元の住民は、炭鉱が”娯楽施設”になることなど受け入れられません


しかも当時の田舎の人間にとってダンサー=ストリッパー(笑)

若い女性が肌も露わに人前で踊るなど、家族の恥なのです

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そんな時、高校生の紀美子蒼井優)は、親友の早苗徳永えり)から

フラダンスチーム募集のチラシを見せされ、どうしてもと一緒にと

家族に内緒でフラダンスのレッスンを受けることにします

講師は(東京のSKD松竹歌劇団)からやってきたという

アル中で借金を抱えているという曰く付きの平山まどか(松雪泰子

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最初は腰フリダンスに逃げ出した女性たちも

いよいよ2000人という大量人員削減、炭鉱の閉山が見えてきて

家のために稼がなきゃと戻ってきます

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それでもまだまだハワイアンセンター開業への理解は厳しい

ハワイアンセンターに転職した者に対する村八分

ダンサーになろうとして母親に縁を切られる紀美子

リストラされた父親からDVを受ける早苗

営業先では「脱げ」の野次

実際にこんな嫌がらせは多々あったのでしょう

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でも”若い”エネルギーは古い男たちの慣習に負けなかった

少女たちは奇跡を起こし「ハワイアンセンター」のショーは

多くの観客を魅了し、見事成功するのです

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クライマックスはもう蒼井優ちゃん、ただひとりの見せ場(笑)

ダンスはかなり本格的に見えました

影ながら応援しているつもりの母親(富司純子の姿は

バレバレすぎ(笑)

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当時の炭鉱夫やフラガールたちを史実として描いたというより

誰でも見やすく楽しめる娯楽作品として、うまくまとめた佳作でしょう

 

 

【解説】allcinema より

炭坑の閉山で活気を失った町の再生を期して計画されたレジャー施設“常磐ハワイアンセンター”(現・スパリゾートハワイアンズ)誕生にまつわる感動秘話を映画化したハートフル・ストーリー。施設の目玉となるフラダンスを教えるため東京から呼び寄せられたダンス教師と地元の炭坑娘たちとの葛藤と心の成長を描く。主演は「子ぎつねヘレン」の松雪泰子、共演に蒼井優山崎静代。監督は「69 sixty nine」の李相日。3ヵ月の猛特訓を積んだという出演者たち自らが披露する迫真のフラダンス・シーンも見どころ。
 昭和40年、福島県いわき市の炭鉱町。時代は石炭から石油へと変わり、閉山が相次ぎ、町は先細りの一途をたどっていた。そこで、起死回生のプロジェクトとして豊富な温泉を利用したレジャー施設“常磐ハワイアンセンター”が計画された。そして、目玉となるフラダンスショーのダンサー募集が地元の少女たちに対して行われた。この町から抜け出すチャンスだと考えた早苗は紀美子を誘って説明会へと向かう。説明会では、セクシーな衣装で踊る姿に、大半の応募者が逃げ出し、残ったのは紀美子と早苗の他には初子と小百合のわずか4人だけだった。そんな中、元SKD(松竹歌劇団)のダンサー平山まどかがフラダンスの教師として東京から招かれる。しかし、とある事情で渋々やって来たまどかは、教える相手がズブの素人と分かり、完全にやる気を失ってしまう…。