ギャングものと言っても「ゴッド・ファザー」(1972)や
「アンタッチャブル」(1987)のようなマフィアものではなく
1846年と1863年のニューヨークにあるファイブ・ポインツ
アイルランド系移民デッド・ラビッツと
彼らより先に住み着いた英国集団ネイティブスとの
対立抗争から物語は始まります
ネイティブスの殺人鬼、ビル(ダニエル・デイ=ルイス)に
殺されるのを目の当たりにした息子の
ここでの”ネイティブス”は”ネイティブ・アメリカン”(アメリカ先住民)
のことではなく、独立戦争を勝ち抜いた英国系のことで
アメリカを作ったのは先住民ではなく、「俺たち」という
意味が含まれているようです
中国人だけはいつの時代でもすごい
国や言葉が変わっても、決して自分たちの文明スタイルは崩さず
見事に居場所を見つけていくのです
アムステルダムはビルへの復讐に燃えますが
一方では、裏切りも汚い手もおかまいなしの悪の根源に対する
憧れも隠せませんでした
それにしても、英国系とアイルランド系がここまで仲が悪いのは
しかも侵略に、差別に、容赦ない殺人、選挙違反
同じ土地で、隣人として暮らすのには相当の覚悟が必要なのです
やがてアムステルダムは成長し
天才スリ師で、生きるためビルの女になった
ジェニー(キャメロン・ディアス)と出会います
そしてジェニーは若いアムステルダムに恋してしまう
(正直こういう映画にそんなラブはいらない 笑)
ラストはニューヨークの徴兵暴動政府軍が介入し
ファイブ・ポインツはめちゃくちゃ
そのどさくさに紛れ、アムステルダムは父親の仇をとります
やはり死に際までカリスマ・オーラを放っていたのは
やはりダニエル・デイ=ルイス(笑)
ちなみにこの当時のダニエルは俳優を休業し
靴屋になるためにイタリアで修行してたそうですが
そこを何とかスコセッシが説得したそうです
ストーリーの面白さは正直イマイチでしたが(笑)
スコセッシのニューヨーク愛が感じれる作品
世の中は発展し、大昔のような抗争はなくなったはずなのに
ワールドトレード(世界貿易)センタービルは
今はもうありません
エンディングに流れるU2の「TheHands That Built America」
”アメリカを作り上げたのはそういう人々”
これからも続くかも知れないと思うと怖いですね
19世紀半ばの激動のニューヨークに生きる人々の壮絶な生きざまを描いた一大叙事詩。監督は「救命士」のマーティン・スコセッシ。脚本は「ストレンジ・デイズ」のジェイ・コックス、「ブラック・ホーク・ダウン」のスティーヴン・ザイリアン、「アナライズ・ミー」のケネス・ロナガン。撮影は「バガー・ヴァンスの伝説」のミヒャエル・バルハウス。美術は「救命士」のダンテ・フェレッティ。編集はスコセッシ作品常連のセルマ・スクーンメイカー。衣裳は「ことの終わり」のサンディ・パウエル。出演は「ザ・ビーチ」のレオナルド・ディカプリオ、「バニラ・スカイ」のキャメロン・ディアス、「ボクサー」のダニエル・デイ=ルイス、「スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス」のリーアム・ニーソン、「すべての美しい馬」のヘンリー・トーマス、「A.I.」のブレンダン・グリーソン、「ブリジット・ジョーンズの日記」のジム・ブロードベント、「パーフェクト・ストーム」のジョン・C・ライリー、「リトル・ダンサー」のゲイリー・ルイスほか。
864年、ニューヨークのファイヴ・ポイント地区の支配権をめぐる戦いの中で、アイルランド移民集団デッド・ラビッツのリーダー、ヴァロン神父(リーアム・ニーソン)は、アメリカ生まれの集団ネイティヴズのリーダー、肉屋のビル・ザ・ブッチャー(ダニエル・デイ・ルイス)に殺される。ヴァロンの幼い息子アムステルダムはそれを目撃。15年後、少年院から出所してきたアムステルダム(レオナルド・ディカプリオ)は、復讐のため、街のボスとして君臨するビルの組織に素性を隠して入り込む。だがそこで、ビルと浅からぬ過去を持っていた美しい女スリ、ジェニー(キャメロン・ディアス)と許されない恋におちる。まもなくアムステルダムは、ビルに正体がバレてしまい、拷問にかけられる。ジェニーに介抱されたアムステルダムは、陰で復讐の機会をねらう。やがて南北戦争徴兵暴動が勃発。その混乱の中で、アムステルダムはビルを刺殺。そして暴動後、廃墟と化した街の中で、アムステルダムとジェニーは互いに肩を抱き寄せるのだった。