階段、扉、仕事場を行き来するパタンナーやお針子
主人公がが運転する車(ブリストル40)
スリリングで強烈な圧倒的な画面の面白さ
美しい映像、音楽(レディオヘッドのジョニー・グリーンウッド)
主演者たちの声まで美しい
この映画を称賛するというならば
こういう感じですが
はっきり言って、変態映画
この演出のねちっこさ(笑)
自分にしか見せてくれない姿を愛する欲求というものは
誰しもが持っているだろうもので
数々の変態映画を語ってきた私ですが
「毒キノコプレイ」というのはさすがにお初(笑)
うまく語れるでしょうか
1950年代ロンドン
完璧でエゴイストな天才仕立屋
レイノルズ・ウッドコック(ダニエル・デイ=ルイス)は
ある日、田舎のウェイトレスで働くアルマ(ビッキー・クリープス)と
美人でもないし、スタイルもよくない
しかしここで「衣装というのはすごいもの」ということを
私たちは見せつけられます
華やかな衣装を着せられ、レイノルズのミューズとなるアルマ
しかし厳格で変化を嫌うレイノルズは
アルマの望む愛し方をしてくれない
そこでアルマがとった行動は「毒キノコ」をレイノルズに盛り
瀕死の状態になった彼を介抱し、愛を得るという方法です
レイノルズもその瞬間は仕事から解放されるのか
アルマに結婚を申し込み、やがて骨抜きにされていきます
このままではいけない、アルマを家から追い出そうと
姉のシリル(レスリー・マンヴィル)に相談するレイノルズ
だけどそれとわかっていながら、アルマの作るオムレツを食べる
それはどんな幻覚を見せるのか
レイノルズはアルマの「毒キノコプレイ」から
逃れられない身体になってしまったのです
問題は、そこに至るまでの過程で
これまでレイノルズが選んできた大勢のミューズと比べて
アルマの何が特別だったかが描かれていないので
まったく共感できない
最初は「母親とそっくりさん」が理由なのかと思ったけれど
そうでもなく(笑)
ヒロインが、ただの自己愛強と承認欲求が強い
メンハラ女にしか見えなかったのは残念
禁断への入口への、魔力も甘美さも感じられないただのブス
姉役のレスリー・マンヴィルは存在感があってよかったですね
冷たさと厳しさ、内面から滲み出る聡明さがかっこいい
P・T・アンダーソン監督、映像センスはすごいものをもっていると思うので
次は変態センス(と、女のセンス←こればかりは好み)の向上にも
さらなる期待をしたいと思います
そして、真面目にこの作品を見たムービーファンのみなさま
こんなレビューしてごめんなさい(笑)
「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」「ザ・マスター」の鬼才ポール・トーマス・アンダーソン監督が、本作を最後に俳優業からの引退を宣言しているダニエル・デイ=ルイスを主演に迎えて贈る愛憎ドラマ。オートクチュールの世界を舞台に、完璧主義の仕立て屋と、彼にミューズとして見初められた若い娘が、それぞれに相手の思い描く愛の形に振り回されていく中で辿る予測不能の展開をエレガントにして繊細かつスリリングに描き出す。共演はヴィッキー・クリープス、レスリー・マンヴィル。
1950年代、ロンドン。レイノルズ・ウッドコックは妥協のない職人仕事で英国の高級婦人ファッション界の中心に君臨する天才的仕立て屋。そして神経質な彼が服のことに集中できるよう、雑事を一手に取り仕切るのが姉のシリル。ある日、レイノルズは若いウェイトレスのアルマに出会い、彼女を新しいミューズとして迎え入れる。彼女のモデルとしての“完璧な身体”に多くのインスピレーションをもらい、創作意欲をかき立てられるレイノルズ。しかしアルマは、レイノルズの単なるミューズという立場に甘んじる女ではなかった。そんなアルマの情熱的な愛情に、次第に厳格な生活のリズムが狂わされていくレイノルズだったが…。