眺めのいい部屋(1986)



あの口づけは神の啓示 情熱 狂おしい恋 我を忘れる陶酔

誰があの燃えるような口づけの感触を 言い表すことができるでしょうか
私の夢 私の命 甘い夢 こんなに愛せるなんて・・・

挿入歌 プッチーニのつばめ「ドレッタの美しい夢」麦畑でのキスシーン


英国の田園風景が眩しく美しく、文芸作品佳作

監督は日の名残りジェームズ・アイボリー


ただ、私はイギリス文学に共感できないタイプだと思います

格調いものの、いまひとつその恋愛観が分からない

上流階級の女性の感覚が問題に思えてしまうのです

これがレディのする行動なのでしょうか




1907

イギリスからイタリアのフィレンツェに観光に訪れた

令嬢ルーシー(ヘレナ・ボナム・カーター)と

付き添い役の年上の従姉、シャーロット(マギー・スミス

しかしペンション「ベルトリーニ」の部屋の窓からは路地裏しか見えず

がっかりしたシャーロットは文句をいいます


それを聞いた男性が、息子のジョージ(ジュリアン・サンズ)と泊ってる

美しいアルノ河に面した眺めのいい部屋を譲ってもいいと申し出てくれました

階級を気にせず話しかけてくるこの父子に

(本当は喉から手が出るほど部屋を譲ってほしいのに)

シャーロットは不快感を覚えます

しかし偶然同宿していた牧師の仲介で、申し出を受けることにするのです




本当にイギリス文学の女は、男性に要求ばかり多く素直でない

ギスギスばかりしていて、全くキラキラしていません



翌日街を見学していたルーシーはばったりジョージと会ってしまいます

その時喧嘩して血だらけの男に遭遇して、気絶したルーシーをジョージは介抱します

そしてピクニックの日、ふたりはキスを交わしてしまう


しかしそれを目撃したシャーロットは強制的にイギリスに帰国します

数ヵ月後、ルーシーは教養あるシシル(ダニエル・デイ=ルイス)と婚約するのです

その矢先、ルーシーの家に近い貸家に偶然にもジョージが引っ越してきます




男性3人が全裸で水浴びするシーンは、やけに浮いていますね

原作にあるなら仕方がないですけど()

ダニエル・デイ=ルイスの変身ぶりには、彼だと気がつきませんでした



再びふたりの胸の内は熱く燃え上がるものの

婚約者のいるルーシーはジョージに冷たい態度をとるのです


本国にいたなら、話さえすることのないであろう身分の違う男女

たまたま外国のペンションで一緒になったのが原因で恋に落ちてしまう

日本で言うなら財閥の娘が、労働者を好きになってしまうようなものでしょう

これを喜ぶ親族はなかなかいないと思います

結婚しても、絶対うまくいくはずがないと思うから




だけどこういうお嬢様は、強引な男に弱いのです()

働かなくていい身分、毎日が暇で退屈

そこに外の世界を知っている男がやってくる

その刺激に誘惑されずにいられるでしょうか


ただ、ジョージがヤワそうな美男子というのはどうでしょう

一気に燃え上がっても、一気に醒めてしまいそう

もう少しワイルドな男のほうが説得力があった気がします




心変わりしたルーシーに捨てられたシシルのほうが

嫌味なヤツのようでしたが、彼女のことを本当に愛していたのではないでしょうか

貧乏なジョージに飽きて戻ってきたルーシーを、きっと許して受け入れるのだろうな


やっぱり私はイギリス文学に登場する女性は性格がメンドクさくて嫌い

自分が労働者階級だからなのだろうけど()




【解説】allcinemaより

20世紀初頭、イギリス。良家の令嬢であるルーシーは、旅先で訪れたフィレンツェで一人の青年ジョージと出会う。情熱的な彼にルーシーは次第に魅せられてゆくが……。封建的思想の残るイギリスを舞台に、イギリスの格調高い美術や衣裳、そして美しい映像で綴ったラブ・ロマンスの秀作。