100歳の少年と12通の手紙(2009)




若くもなく、美人でもないし、特別スタイルがいいわけでもないけれど
だんだんと素敵に見えてきましたね「マダム・ローズ」。
フランス映画の女性の魅せ方には本当にいつも感心してしまいます。

子どもの難病ものですがサラリとしていますね。
「死」についてではなく、短い人生をどう生きるべきなのか
そう考えさせられる物語でした。

白血病で残された余命はわずか12日。
10歳になるオスカーは難病の子どもたちが多く集まる病院に入院しています。
医師も教師も両親もまるで腫れ物に触るような態度。
どんなイタズラをしても自分だけは特別扱い。
そんな毎日にウンザリしていました。

そこにピザの配達に現れたローズ。
彼女は相手が子どもだからって決して気を使わない。
口も悪いし態度もデカい、ピンクの服を着たおばさん。
でもそれは運命の出会いでした。
オスカーは一目見るなりローズを気に入ってしまいます。

ローズはオスカーに提案します。
1日を10年と考えて過ごそうと。
そして毎日神様に手紙を書こうと。

1日目の10代で手紙ははじまります
2日目は20代、好きな女の子に告白して結婚します
そうして30代、40代とオスカーは歳を重ねていくのです。

オスカーが困難にぶつかったとき
ローズは自分より大きく強い相手と
いかにして戦ったかを語りオスカーを励まします。
ローズはかって女子プロレスラーだったのです。

ローズの話なんてどう聞いたってホラ話。笑
神様への手紙も本当は院長先生にオスカーの気持ちを知らせるため。
だけど、騙しているんだとかは不思議と思わないのです。
ファンタジックないい話なのです。

嘘か誠かなんてどうでもいいこと・・
重要なのは今、生きている瞬間を大切にすることなのです。

フランスのお葬式もはじめて見たような気がします。
小さな棺桶を見るのはやはりつらいですね。

短い生涯だったけれど、ローズと知り合えたことで
オスカーは人生を全うすることができました。
幸せな気持ちで逝けたことでしょう。
きっとそう思います。



【解説】allcinemaより
地上5センチの恋心」のエリック・=エマニュエル・シュミット監督が、自身のベストセラー小説を映画化した感動ドラマ。白血病のために死を目前にした少年が、残されたわずかな日々を懸命に生き、自らの人生を全うする姿を切なくも心温まるタッチで綴る。出演は少年役に新人のアミール、共演にミシェル・ラロック、マックス・フォン・シドー
 白血病を患い小児病棟に入院する10歳の少年、オスカー。周りの大人たちが余命を悟られないようにと怖々接する中、偶然出会ったデリバリーピザの女主人ローズが見せた遠慮ない態度は、かえってオスカーの心を掴んだ。そんなある日、オスカーはついに自分が余命わずかであることを知ってしまう。誰とも口を利いてくれないオスカーに困り果てた病院長は、彼が唯一心を開いていたローズに話し相手になってほしいと懇願する。戸惑いつつも依頼を引き受けたローズは、短い余命に落ち込むオスカーを励まそうと、ある提案をする。それは、1日を10年と考えて日々を過ごし、その10年間の人生を毎日神様宛の手紙にしたためるというものだった。