よくある余命もの、冒頭の段階でオチはわかってしまいますが
ヒロインは「早老症」という難病
その名の通り他人より何倍も早く老化し
20代から白髪、脱毛、皺、白内障などの現象がおこる病気
どんな病気になってもショックだけど
これは相当、心のダメージが大きい
まだ若く夢も希望も将来もある
それが友だちや恋人より、やがて親より老けていく
死ぬことより、生きていることのほうが辛くなってしまう
自称カメラマンの晴人(中島健人)は
美容師の美咲(松本穂香)に思いを寄せていて(あるある 笑)
美咲目当てで美容室に通っています
思い切って誘おうと、カット中振り向いたとき
美咲に耳たぶを切られてしまいます
おかげで「お詫びデート」にこぎつけるわけですが(笑)
そこで正直にカメラマンの見習いを挫折し
フリーターであることを告げるのですが
「職業で選ぶ女だと思ったんですか!」と美咲はブチキレ
いやいや、そんなこと言ってねえし(笑)
でもまあ美咲の激怒のおかげで
再びカメラマン見習いとして働き始めた晴人
そして初給料で彼女を食事に誘い
「桜色は美咲さんの色なんです」と
ピンクのシザーバックをプレゼント
中島健人クンからこんなことされて
好きにならない女の子はいないだろ(笑)
ふたりは付き合いはじめ、順調にお互いの思いを育んでいき
まさしく人生でいちばん楽しい時期を過ごすのですが
美咲の頭に白髪が増え始め、体調を崩しがちになる
ある夜激しい全身の痛みでお兄ちゃん(永山絢斗)に
病院に連れて行ってもらうと「早老症」と診断されるのです
しかも何十倍も進行の早いケースだと
スマホで「早老症」検索する美咲
そこには数か月で老婆の姿になった女性の写真
美咲は晴人の部屋で1夜を過ごし、そして晴人の前から姿を消します
当然晴人はストーカー化(笑)
さすがにけじめをつけるべきだと兄から忠告された美咲は晴人に電話し
担当医(要潤)に専門学校時代の元カレを装ってもらい
元カレとヨリを戻したので別れたいと嘘をつきます
美咲の兄が営む食堂兼住居の昭和風な日本家屋
対称的に晴人のひとり暮らしの無機質な部屋
そこらへんの演出のセンスはいいですね
CGバリバリのメタファーなシーンの挿入は失敗
今からでも間に合う、カットしたほうがいい(笑)
中盤はほぼ美咲とお兄ちゃん
お兄ちゃんの婚約者、綾乃(桜井ユキ)の物語になります
美咲の身体は70代、80代となっていくわけですが
気持ちは25歳のまま、そのギャップが苦しい
自分から別れを告げたものの、やっぱり晴人クンに会いたい
美咲の気持ちを知ったお兄ちゃんは晴人に会いに行く
晴人は徐々に認められていき
有名カメラマンとも仕事をするようになりました
そこでカメラマンの澤井(及川光博)から
「キミの撮りたいものは何だい?」と尋ねられます
仲間はそれぞれみんな自分の夢を追いかけている
だけど晴人には自分の撮りたいものが見つかりませんでした
そのときはまだ
美咲の病気を知った晴人は美咲に会いに行きます
といっても会話は全てふすま越し
美咲の姿を見ることはありません
そこでついに小さいけれど自分の個展を開くこと伝えるのです
美咲さんにも来てほしい・・
それは雪の降る日でした
美咲は真っ赤なコートとお兄ちゃんと綾乃さんがプレゼントしてくれた
桜色のニット帽をかぶってひとりギャラリーに向います
晴人の撮った写真は、すべてふたりの思い出の場所でした
勤めていた美容室、ふたりで行った場所
雨で中止になった花火大会、気の早いプロポーズ
あの日の記憶が蘇る
その時晴人は、お兄ちゃんから
美咲がひとりで写真展に行ったことを聞かされます
(お兄ちゃんも送迎くらいしてやれよ)
すれ違いになったんだ
ギャラリーを出た美咲は雪道で転んでしまう
そこにかけつけてくれたのは晴人でした
心の中で晴人クンと呼んだ
桜色のニット帽を拾い、雪を払って手渡してくれた
でも私だと気付かなかった
これで良かったんだ
やがて晴人のもとに美咲の訃報が入ります
美咲の部屋で晴人が見つけたのは
桜色のシザーバックと、桜色のニット帽でした
嗚咽する晴人
彼女の笑顔にどうして気付いてやれなかったんだ
自己嫌悪になって、鬱になって、ついに自殺しようとしたその時
綾乃が見つけた美咲の書いた手紙が届けられました
写真展では会えなかったけれど、また会えることを楽しみにしてる
晴人クンの写真をもっと見たい
これからも素敵な写真を撮って欲しい
ずっと応援してる
ありがとう
再び春
桜を見上げながらカメラを構える晴人
ファインダーを覗き、シャッターボタンを押す
「キミの撮りたいものは何だい?」
それは1枚もない美咲さんの写真
僕が撮りたいのは美咲さんだったんだ
美咲さんは桜のような人だから
早老症を桜に例えた表現は見事
原作は宇山佳佑、男性なんですね
映画は女性の心理のほうに寄り添っていたと思います
ただ、彼女を想い続けるのもいいけど
彼には新しい恋を見つけて幸せになって欲しいな
(最後は母親目線かよ 笑)
【解説】映画.COMより
宇山佳佑によるベストセラー恋愛小説「桜のような僕の恋人」を、中島健人(Sexy Zone)と松本穂香の共演で映画化。美容師の美咲に恋心を抱いた晴人は、勇気を出して彼女をデートに誘う。目標に向かって頑張る彼女にふさわしい人間になるべく、諦めかけていたカメラマンの夢をかなえることを決意する晴人。そんな晴人に美咲も惹かれ、2人は恋人同士になる。しかし美咲は、人の何十倍も早く老いていくという難病を発症してしまう。「神様のカルテ」の深川栄洋が監督を務め、「君の膵臓をたべたい」の吉田智子が脚本を担当。Netflixで2022年3月24日から配信。