愛を積むひと(2015)




「あいつが喜ぶんだったらなんでも良かったんだ」


日本一美しいと言われている美瑛の丘
そこに、東京の小さな町工場を畳んで
還暦くらい?のベテラン夫婦が移住してきます

かって外国人が住んでいたという洋風の建物
妻の良子(樋口可南子)はその家の周りに石塀を作りたいと言います
そして夫の篤史(佐藤浩市とアルバイトのトオル野村周平)による
工事がはじまりました





樋口可南子 さんが、いくつになっても可愛すぎる妻なのです
夫を「あっちゃん」と呼び、「何か音楽かけてって」とさりげなく甘える
トオルが先輩にそそのかされて、空き巣に入り
夫から毎年一粒だけ贈られている真珠を盗んだことにも
気が付かないふりをしています

トオルは後ろめたさを感じ、恋人のサエ杉咲 花)とともに
怪我をした良子の手伝いを積極的にするようになり
4人には本当の家族のような感情さえ芽生えます
(ベーコンとバターの入ったお味噌汁が美味しそう)


だけど良子は心臓の難病のため、秋に死んでしまいます
そして良子は自分の死んだあとに篤史に手渡されるように
手紙を残していました

このアプローチは「P.S.アイ・ラブ・ユー」か!なのですけれど()
死んでからもなお、不器用な夫を支ようとする妻の愛には
やはりジワっとくるものがあります





1通目の手紙はサエに託していました
2通目はネックレスが戻ってきた時見つけます
3通目は古いアルバムに挟んでありました


「古い土台の石がその上に積まれる新しい石を支えるように
私たちが毎日を一生懸命生きることが世の中を変え
次の世代の生きる支えになる
だからあっちゃんには、一人になっても
最期まで石を積み続けて欲しいの
そう、あっちゃんと私がまた会える時が来るまで」


篤史はトオルに会いに行き、二人はもう一度石塀を積み始めます


夫婦の愛、娘との和解、罪を犯した者への赦し、新しい命
生きている人が、死んでしまった人間から勇気をもらい
未来を見つめていくようになります





石垣を夫婦や親子に例えた作りで
ちょっと出来すぎてはいましたが
いい話でした


そして、なんといっても樋口可南子さんの声がいい
あの声で手紙を読まれては、感動しないわけにはいきません(笑)



【解説】allcinemaより 
エドワード・ムーニー・Jr.の『石を積むひと』を佐藤浩市樋口可南子主演で映画化したヒューマン・ドラマ。北海道美瑛町を舞台に、亡き妻から届く手紙に導かれ、周囲の人々の人生に関わっていくことで自らも立ち直っていく男の姿を綴る。共演は北川景子野村周平杉咲花、吉田羊、柄本明。監督は「釣りバカ日誌」シリーズ、「武士の献立」の朝原雄三。
 東京下町の工場をたたみ、大自然に囲まれた北海道美瑛町に移り住んだ夫婦、篤史と良子。外国人が住んでいた洋館で第二の人生を満喫する良子に対し、仕事一筋だった篤史は手持ちぶさたで時間を持て余してしまう。見かねた良子の提案で、篤史は家を囲む石塀作りを始めることに。そんなある日、良子が以前から患っていた心臓病を悪化させ、この世を去ってしまう。悲しみに暮れる篤史は、やがて良子が自分宛に手紙を残してくれていたことを知るが…。