アゲイン 28年目の甲子園(2014)



いまはコントロールよりコレステロール


日本人には珍しく、野球も甲子園も全く興味ない私ですが
原作が重松清さんですから(笑)
ベタだけど泣けるよね、展開読めても泣けるよね

28年前、甲子園まであと一歩の決勝戦の前日
ひとりの部員の暴力問題で夢破れたかつての高校球児
そこに「マスターズ甲子園」目指さないかという女子大生が現れます
それは不祥事を起こした張本人の娘でした

それぞれの家庭問題を抱えつつ
積年の恨みを持ち続けるも、もう一度甲子園をめざすオジサンたち
かってのライバル校に試合を挑みます

あらすじだけで泣ける(笑)



マスターズ甲子園とは、高校野球全国大会の出場の有無
プロ・アマ経験などのキャリアを一切問わず
同じ高校野球同窓生として再び甲子園を目指すための実在する大会
現在の加盟校数は34都道府県489校で
まさに全国の元高校球児の第二の夢となっているそうです

そして試合のあとにある甲子園キャッチボール
そこにはキッズや野球ファンも参加でき
自分の大切な人とキャッチボールすることができるのです



新聞社に勤める46歳の坂町(中井貴一)は妻と離婚し
その妻はすで亡くなり、大学生の一人娘沙奈美(門脇麦)
お笑い芸人を目指す男と同棲していて疎遠になっています

そんな坂町の家を訪ねて来た神戸大学の学生、美枝(波瑠)
彼女はマスターズ甲子園のボランティアスタッフでした
そしてかっての高校野球部のチームメイト、松川の娘でした

美枝は坂町に頼み、野球部のOBたちにあわせてもらい
マスターズ甲子園への参加を勧めます
最初はしぶしぶだった坂町も、元エースの高橋(柳葉敏郎)
「あの夏」からずっと逃げてきたことに気付き再び野球をはじめます



そしてなぜ松川が暴力事件を起こしてしまったのか
元マネージャーの裕子(和久井映見)も「あの夏」から逃げていたのです
勘違いのまま美枝を傷つけないため
坂町からの手紙によって、28年ぶりに部員たちの前に姿を現します

野球映画なんだけど、野球映画ではなく(笑)
どちらかといえば家族や友情を取り戻す再生もの



坂町は美枝の言葉に、沙奈美の心の声を聞く
美枝の父親は震災で亡くなってしまったけれど、自分は生きている
やり直せるはず・・

この沙奈美役の門脇麦ちゃんの蓮っ葉さが半端なくて(笑)
リアルすぎて中井貴一さんの演技を完全に食ってます
年頃の娘のいるお父さんは大変ですね
でも家庭を顧みなかった、自分の責任もあるけどね



それでも歩み寄る気持ちがやはり大切で

ラストの甲子園でのキャッチボールは名場面


ただ、簡単に地方予選を突破しすぎて野球のロジックがないし
(決勝で「負けてもいいですよ」はいらないシーン)
エースの無職の問題はどうなった?
沙奈美が甲子園に来る気になった理由は?等々

120分もあるのに、大切な細かい部分が描き切れていないのは残念



それでも原作が重松清さんですから(笑)

3~4回はウルっと来ました
エンディングの浜田省吾さんの「夢のつづき」もいいです

いくつになっても「アゲイン」できるチャンスはある
全国のオジサンに見て欲しい1作



【解説】allcinemaより

 人気作家・重松清が、元高校球児たちが再び甲子園を目指す“マスターズ甲子園”をテーマに綴った同名小説を、中井貴一主演で映画化した感動ドラマ。28年前に甲子園出場の夢を奪われた男たちが、それぞれのわだかまりや葛藤と向き合い、苦い青春の思い出に決着を付ける姿を描く。共演に波瑠、柳葉敏郎和久井映見。監督は「風が強く吹いている」の大森寿美男
 46歳の元高校球児・坂町晴彦は、チームメイトだった松川典夫の娘・美枝の突然の訪問に戸惑う。彼女から、長年音信不通だった松川が、昨年の震災で亡くなっていたこと、遺品の中からチームメイト全員に宛てた27年分の投函されなかった年賀状の束があったことを知らされる。父のことを詳しく知りたいと願う美枝は、彼女が学生スタッフとして働く“マスターズ甲子園”への参加を坂町に勧める。ところが坂町の反応は、意外なほどそっけないものだった。その原因は、美枝にだけは明かしたくない、28年前のある事件にあったのだが…。