ラッシュ/プライドと友情(2013)

「俺を愛しているなら 黙っていてくれないか 」

 

原題も「Rush」

F1史に語り継がれるふたりの天才ドライバー

ジェームズ・ハントニキ・ラウダの激闘と友情

 

F1のことは全く知識がないのですが(笑)

ニキ・ラウダが瀕死の重傷から6週間で復帰する物語は

当時の高校の英語の教科書に掲載されるほど感動秘話だったんですね

実話ベースということですが

さすがロン・ハワード、切り取り方が上手い(笑)

お金や、人間関係のドロドロを露呈(ろてい)することは控え

(あるとすればジェームズ・ハントの乱交ぶり 笑)

あくまでスポットはハントとラウダのふたりに当てています

妻のためレースを棄権するラウダ

ハントの破産したスポンサーや、元妻がハントを応援したり
クルーから「生きて帰ってきて欲しい」の人としての優しさ

ジャパンGPの最後を飾る富士山の神々しさ

見終えたあとには清々しさしか残りません(笑)

ニキ・ラウダ本人にも何度か映画化の話があったものの

いままで興味が持てず断っていたそうですが

本作は派手な脚色がなく、史実に近いところが気に入ったそうです

キャスティングの面接にも参加し

クリス・ヘムズワーズのハントのそっくりさんぶりに

何より驚いたとか

しかも接触シーンをふくめ、元F1ドライバーらが

実際に運転しているのだというのだから凄い

(さすがに事故のシーンはCGだと思いますが)

疾走するマシン、太陽の輝き、雨の雫まで美しい

カメラはアンソニー・ドッド・マントル

爆音とハンス・ジマーも最高の組み合わせ

女好き、酒飲み、自信家で自由奔放な「スーパースター」こと

カリスマ・ハント(クリス・ヘムズワース)と

工学の技術や知識に長け、常に論理と正確さを優先する「コンピューター」

ニキ・ラウダダニエル・ブリュール)は

1970年のロンドンF3レースから

熾烈(しれつ)なライバル心を抱いていました

ラウダは名家の生まれでしたが、父親からレーサーになることを反対され

オーストリアの銀行から融資でBRMF1チームに参入を果たした苦労人

カニックの優秀さから、チームメイトのクレイ・レガツォーニの推薦で

フェラーリに移籍します

しかしいつもの毒舌でレガツォーニを怒らせ

パーティ会場から締め出されてしまったラウダですが

おかげで(ドイツ社交界の)マレーネと知り合います

ヒッチハイク後のドライブがヒャッホー 笑)

ハントはレース好きのヘスケス卿のチームで活躍していましたが

ハントの愚行でスポンサー獲得ができずヘスケス卿が破産

会計士の弟の助言でマクラーレン・チームに移籍し

スーパーモデルのスージー・ミラーと結婚します

そして宿命の1976年のF1グランプリ

最初の 2 レースはラウダが勝利

スペインGPではハントが優勝したものの、車幅が許可を超えていたと失格

マクラーレンはF1のルールに従い、車を改造したものの

結果を出せないハントは酒に溺れ

心配した妻のスージーに辛辣に当たります

やがてハントの元を去ったスージー

リチャード・バートンの熱愛が報道されると

スージーを忘れようと、闘争心(と、女遊び)に燃え

再びチャンピオン争いに加わるようになります

ラウダはマレーネと結婚

(俺はダメな人間だけど相手は君しかいない・・なプロポーズが素敵)

一方で家庭に安住することで「幸せは敵」だと

レーサーとして成功できないのではと不安になります

(妻や子がいると死が怖くなる=勝てなくなる、というレーサーのジンクス)

そして危険なコースで知られるドイツGP当日

ラウダはドライバーズ・ミーティングを招集し

雨のためレースを中止するようF1委員会に要請します

しかしハントは、ラウダはすでに多くのポイントを獲得しており

レース減はラウダの利益になるだけだと反論します

結果、投票でレースは行われることになり

ほとんどのドライバーはウエット(雨天用タイヤでスタート

しかし路面がすぐに乾いてしまい

ドライを装着していたマシンに差を付けられてしまいます

2周目のタイヤ交換で、ラウダを些細なトラブルが襲う

大きく出遅れたラウダが猛スピードでハントを追うと

フェラーリのサスペンションアームが破損

コントロールを失堤防に衝突してしまいます

(その瞬間ヘルメットが脱げてしまう)

炎上したフェラーリから命さながらラウダを救ったのは

事故に巻き込まれたレーサーたちでした

ラウダは顔に重度の火傷と、深刻な肺への熱傷で危篤となり

目の前にうっすらと見えるのは、祈りを捧げる神父と妻の姿

しかし奇跡的に命をとりとめ

ハントの活躍をテレビで見ながら辛い治療に耐え

なんと6週間後にはイタリアGPに復帰、4位でフィニッシュします

ラウダに無礼な会見をした記者をハントがトイレでボコボコにするのはスッキリ

(今なら炎上だな 笑)

クライマックスはジャパンGP

ドイツGP以上の悪天候にもかかわらず(テレビ放映権のため)開催が決定

ハントが3位以内に残ればハントがGP制覇

4位以下でラウダの2連覇がこのジャパンGPで決まるのです

 

レースが始まったとたん接触事故という波乱の幕開け

雨粒と水しぶきでほぼ視界ゼロの中

優位に立ったのはラウダのフェラーリ

そのときラウダの目の前に妻マレーネの面影がをよぎります

ピットに戻りレースを棄権すると、マレーネの元に向かうラウダ

ハントはタイヤバースト寸前

シフトカバー吹き飛び手は血だらけ

交換のため大幅に時間をロスしてしまいます

後半猛然と追い上げ奇跡的に3位でフィニッシュ

見事チャンピオンシップを獲得したのです

その後ラウダはレーサーを続けながら航空会社を企業

ハントは雑誌やテレビに出演し、セックスとパーティに興じます

偶然ラウダの飛行場で再会したふたりは、減らず口をたたきあい(笑)

変わらぬ友情を確かめるのでした

 

「宿敵とは神の恵」




【解説】映画.COMより

ビューティフル・マインド」「ダ・ヴィンチ・コード」のロン・ハワード監督が、1976年のF1世界選手権を舞台に、2人の天才ドライバー、ニキ・ラウダジェームズ・ハントの戦いと絆を描いた。76年のF1チャンピオンシップで、フェラーリのドライバーとして快調なレースを続けていたラウダは、ドイツ・ニュルブルクリンクで開催された第11戦ドイツGPで大事故に見舞われる。奇跡的に6週間で復帰を果たしたラウダだったが、ライバルでもあるマクラーレンのハントにポイント差をつめられてしまう。チャンピオンシップを競う2人の決選は、富士スピードウェイで行われる日本での最終戦に持ち越されるが……。ハント役には「マイティ・ソー」のクリス・ヘムズワース、ラウダ役には「グッバイ、レーニン!」のダニエル・ブリュールが扮する。脚本は「フロスト×ニクソン」のピーター・モーガン

2013年製作/123分/PG12/アメリカ・ドイツ・イギリス合作
原題:Rush
配給:ギャガ
劇場公開日:2014年2月7日