昭和残侠伝 唐獅子牡丹(1966)

 
任侠映画ってほとんど観たことがなかったのですが、実に面白かったです。
ちょっとマカロニウエスタンみたいな作風で
こういう展開の映画は結構好みです。
 
東映健さんのヤクザ映画を観た後は、男はみんな健さんの歩き方で映画館から出てきたものだよ・・
そんな話しを父親から聞いたことがありますが
その気持ちがわかります。
 
弟分をヤクザから足を洗わせるため、左右田組に恩を借りた花田秀次郎は
左右田組が石切り場の利権をめぐって潰そうとしてる
榊組の親分を斬り殺してしまう。
3年後出所した秀次郎は自分が殺した榊組の親分の息子と妻に出会う。
 
夫が死んでからというもの、ずっと苦労しているであろう美しい未亡人・・
これはもう男だったら、こんなけなげな女性がいたら守りたくなるでしょう。
 
そのなかのひとり、石材採掘請負業の会長役の芦田伸介さんなどは
とてもステキで(イチオシ)。
放浪の旅から戻ってきた畑中役の池部良さんに
榊組を支えている花沢徳衛さんも素晴らしい。
秀次郎の弟分の若き日の津川雅彦さんなんて、本当にカワイイ顔で。
健さんを筆頭にイイ男がいっぱい。
 
一方の悪役の左右田組の面々は、極道顔にアホ顔ばかりで
これがまた感情移入しやすい。
 
責任を感じ、なにかと榊組を助ける秀次郎と
秘かに秀次郎に想いを寄せる未亡人の八重。
しかし八重は夫の敵と知り、泣くばかり・・・
お互いに気になる存在なのに、近づけないふたりの表情がせつない。
 
健さん池部良さんの相々傘のシーンは、
「雪の中、そんな薄着で裸足に草履はありえないだろ?」・・なんて
ツッコミを入れることが出来ないくらいカッコ良い。
 
当時の映画館は、健さんがスクリーンに登場すると拍手喝采だったそうです。
健さんの惚れ惚れするような魅力に
そんな情景がなんとなく想像できる名作でした。
 
【ストリー】ウィキペディアより
花田秀次郎は宇都宮の石材採掘請負業を営む左右田組(そうだぐみ)の客人であった。秀次郎の弟分である周平は、恋仲であるくみが左右田組親分の息子に惚れられていることを知りながら駆け落ちをする。秀次郎は駆け落ちは自分の差し金だと左右田組の親分に話を通しに行く。駆け落ちは許されたがその代わりに、同じく石材採掘請負業を営む対抗組織である榊組(さかきぐみ)の親分を斬る事を命ぜられ殺す。三年の刑期を終えた秀次郎は真っ先に榊組の親分の墓参りに行くが、墓前で偶然に榊組親分の妻子に出会う。左右田組の仁義のないやり方を出所後弟分である周平に聞かされていた秀次郎は、左右田組に痛めつけられている榊組の若い衆を助ける。