罪人たち(2025)

原題の「Sinners」には(キリスト教で)

「神の教えに背く行為をした人」という意味もあるそうです

 

ミュージカル、スプラッタ、アクション

宗教、恋愛、家族愛、差別、黒人摂取、下ネタ、エロ

サクセス・ストーリー全部詰まった

ザッツ・エンターテインメント・ブルース・ホラー

全米では大大ヒット、腐ったトマトの辛口批評家たちを唸らせ

シネマスコアではホラー映画で初のA評価を獲得

日本でも公開前からバズっていました

ストーリーは禁酒法時代の1930年代のアメリカ南部を舞台に

第一次対戦からの帰還兵で、アル・カポネの下で殺しをやってた

双子のギャング、スモーク&スタック兄弟(マイケル・B・ジョーダン二役)が

若きブルースマンのプリーチャー・ボーイ(牧師の息子)こと従弟のサミーや

昔の仲間たちとともに黒人専用の酒場を開いた夜

ヴァンパイアに襲われてしまう・・というもの

前半の昔の仲間を集めてバンドやろうぜ!の展開は

ブルース・ブラザース」(1980)(笑)

中盤はロバート・ジョンソンをモチーフにした

「クロスロード」(1986)

後半のヴァンパイアと大戦闘になるのは

フロム・ダスク・ティル・ドーン」(1996)

一見、前半と後半は全くつながっていないのですが(笑)

ライアン・クーグラーが天才と呼ばれているのは

2手先3手先まで考えて脚本を構成しているということでしょうか

映画の最初に、生まれながら呪術的音楽を奏でる才能がある者がいて

精霊と交わる儀式(ブードゥー教など)に使われてきたり

悪いものが集まってくる・・みたいな説明があって

ブルースというのもアフリカから連れてこられ

重労働や白人的な文化を押し付けられた黒人奴隷たちの

実は呪いの音楽

キリスト教では他の宗教を崇拝することや

魂(スピリット)を持つことは禁じられているため

牧師のお父さんは、ブルースマンの息子に

おまえがやっているのは悪魔を呼び寄せる音楽だから

それは罪で「罪人」になってしまうと教えるのですが

一方でキリスト教には「赦し」という教えもあるので

やはり可愛い息子には甘くなってしまう

サミーは迎えに来たスモーク&スタックについていき

ブルースを奏で、酒を飲み、人妻に恋するという快楽を手に入れます

ある意味悪魔に魂を売ってしまったんですね

一方のチョクトー族のパトロール隊に追われている

全身火傷を負った青年、レミック(ジャック・オコンネル)助けた

(家にKKKのマスクが置いてある)夫婦

レミックはヴァンパイアで夫婦もヴァンパイアになり

 

酒場に「セッションしようぜ」とやってきて演奏をはじめます

「悪くないな」と感心する黒人たち

3人が歌うのがアイリッシュ・フォーク(ケルト民謡)

つまりアイルランド移民ということなんですね

アイルランド系やスコットランド系といったケルト人移民は

アメリカへの入植がイギリス人より遅れたため、土地を持つことができず

黒人と同じように小作人として働くしかなく

黒人と同じように歌うことが憂さ晴らしだったんですね

のちにエルヴィス・プレスリーによって

ブルースとアイリッシュとゴスペルの合体が

ロックンロールという新しいジャンルを作り出すことを踏まえて

どうして黒人たちが音楽でルーツを解放している場所に

白人のミュージシャンたちが

愛だ、仲間だ、金ならある、とやって来たかというと

ブルースを盗みにきたんです

それもヴァンパイアに姿を変えて

 

かたや、そんなことなど一切関係なく

どんな場所にでも潜り込んで商売をやっていくのが中国人

客たちがドルではなく農場でしか使えない通貨しか持っていないことから

このままではすぐに店は潰れると知った

スタックの白人の元ガールフレンドのメアリーは

レミックたちがお金を持っているなら、交渉したほうがいいと持ち掛け

ひとりレミックたちに会いに行きます

数枚の金貨(と粘着質のあるよだれ)を見せるレミックをやはり怪しいと思い

戻ろうとするメアリーにレミックが飛びつく

酒場に戻ったメアリーはスタックを誘惑し個室に誘うと

喉を嚙み切られたスタックを発見したスモークメアリーを撃ちますが

彼女は倒れることなく逃げてしまいます

スタックはまだ盛り上がっている客たちを店じまいだと帰すと

死んだはずのスタックが蘇り襲ってきます

スモークの恋人で呪術師のアニーがとっさの判断で

スタックにニンニクのピクルスをかけ撃退

アニーは彼らがヴァンパイアであり

ヴァンパイアは招かれない限り建物のなかに入れないこと

ニンニクが苦手、胸に杭を打つしか殺す方法がないことを伝えます

なのに仲間のひとりがヴァンパイアに殺されてしまいます

(酔いつぶれただけだったのに、外に放り出されて襲われる)

ニンニクを食べて誰がヴァンパイアか確かめる

レミックの目的はサミーの音楽を利用して

失われたコミュニティを復活することで

サミーを渡したらこの場から去ることを約束します

さらに(酒場の元の持ち主の)ホグウッドはKKKのリーダーで

夜明けにここを襲撃する計画を立てていることを教え

仲間になれば不死と迫害から自由を手に入れることが出来ると誘います

スタックが拒否すると

レミックは考えているかわかるのだと

ヴァンパイアになった中国人夫とも心を通わせ

留守番をしている中国人の娘リサを襲うと脅します

激怒した中国人妻は、ヴァンパイアと戦う!と彼らを招き入れてしまいます

ホラー映画には必ず登場するこういうバカですが(笑)

中国人や女性を見下しているように感じたのは私だけでないはず

ヴァンパイアたちが酒場に押し寄せ、激しい戦いが繰り広げられ

次々仲間が食われていきます

瀕死のアニーの胸に(ヴァンパイアになる前に)約束通り杭を打つスモーク

愛する弟だったスタックを倒し

レミックに襲われているサミーを助けた瞬間

が昇り、レミックもヴァンパイアたちも陽光に焼かれ燃え尽きてあいまいます

スモークはサミーを教会に帰すと

隠していた武器を取り出し、ホグウッドと彼の手下を迎え撃ちます

致命傷を負ったスモークはアニーと彼らの幼い娘の幻を見ると

ホグウッドにとどめを刺し、娘をこの手に抱いたのでした

ここはスッキリ&ジーン・・ときてしまいました

折れたギターを棄てろと言う父親の嘆願も叶わず

サミーはひとり旅に出ます

でも目指したのは、スモークが教えてくれた

黒人だけが暮らす幸せな町ではありませんでした

60年後のシカゴ

サミー(バディ・ガイ)は成功したブルースミュージシャンで

「最後のブルースマン」と呼ばれていました

ひとりになってもブルースを守り続けてきたのです

そこにやたらファンキーなスタックとメアリーが訪ねてきて

スタックは「サミーが平和に暮らすこと」を条件に

スモークから救われたことを明かします

さらに不老不死の提案をしますが、サミーは「十分に生きた」と断り
ふたりのためにギターを弾きます

彼らが去るとき、サミーはあの夜に悩まされ続けた一方で

「人生で最高の日だった」と打ち明けると

スタックも俺もだと

なぜならそれがスモーク太陽を見た最後の日」で

本当に自由だったのはその時だけだった」からだと

それにしても、生き延びたヴァンパイアのスタックとメアリーは

今までどうやって暮らしてきたのかしら

イマドキは新鮮なレバーとかも売られているからとか

進化系でもはや血なんか吸わなくてもいいとか?

どうでもいいことのほうが気になってしまいました(笑)

 

 

【解説】映画.COMより

ブラックパンサー」「クリード チャンプを継ぐ男」のライアン・クーグラー監督が、これまでの長編作品でも数多くタッグを組んできたマイケル・B・ジョーダンを主演に迎えて描いたサバイバルスリラー。1930年代、信仰深い人々が暮らすアメリカ南部の田舎町。双子の兄弟スモークとスタックは、かつての故郷であるこの地で一獲千金を狙い、当時禁止されていた酒や音楽を振る舞うダンスホールを開店する。オープン初日の夜、欲望が渦巻く宴に多くの客が熱狂するが、招かれざる者たちの出現により事態は一変。ダンスホールは理不尽な絶望に飲み込まれ、人知を超えた者たちの狂乱の夜が幕を開ける。
主人公の双子をジョーダンが1人2役で演じ、「バンブルビー」のヘイリー・スタインフェルド、「フェラーリ」のジャック・オコンネル、「ザ・ファイブ・ブラッズ」のデルロイ・リンドーが共演。クーグラー監督が脚本・製作も務め、スタッフにも美術デザイナーのハンナ・ビークラー、作曲家のルドウィグ・ゴランソン、衣装デザイナーのルース・ E・カーターら「ブラックパンサー」のチームが再結集した。

2025年製作/137分/PG12/アメリ
原題または英題:Sinners
配給:ワーナー・ブラザース映画