ゴースト・エージェント/R.I.P.D.(2013)

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原題は「R.I.P.D. Rest In Peace Department)」(平和部の休息)

Rest In Peace」(安らかに眠れ

Police Department」(警察署) を組み合わせた造語だそうです

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ゴーストバスターズ(1984)と、「ゴースト/ニューヨークの幻(1990)

「メンインブラック」(1997)と「コンスタンティン(2005)

足して割って、下ネタを混ぜた感じ(笑)

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最低のコミック原作映画と評され、興行的にも失敗

後に再評価されるようなカルト性もまったくない(笑)

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でも、ところどころにハマる面白さはある

デブデブプレスリー

おじいちゃんの片手にバナナ

ライアン・レイノルズに、散々傷つく嫌味を言わた

ジェフ・ブリッジスアコーディオンを弾きながら

「言葉は刃のように突き刺さる〜♪」と歌うところ(笑)

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ストーリーは、相棒(ケヴィン・ベーコン)に殺された

凄腕刑事(ライアン・レイノルズ)と

19世紀の西部の口の悪い保安官(ジェフ・ブリッジス)が

天国に行くポイントを稼ぐため

現世に戻って悪霊(モンスター)退治するというバディもの

そこにモンスターたちが集める金塊の謎が絡みます

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ジェフの現世の姿が色っぽいお姉ちゃんなのはいいとして

このての内容なら、エロと悪態は控えめにして

親子で楽しめるコメディにしたほうがよかったでしょうね

モンスターも怖くないことだし(笑)

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あとからユニバーサル・スタジオのアトラクションに

できるような映画にでもしといたほうが面白くなったのよ

(香辛料の匂いが出てくるアトラクション 笑)

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まあ90分という長さに、実力派俳優の個性的な演技も見れるので

おうち時間にサクッと楽しむのにはいいかも知れません

 

 

【解説】allcinema より

成仏できないゴーストたちを取り締まる天国の警察署“R.I.P.D.”のエージェント・コンビが活躍する人気アメリカン・コミックスを、「グリーン・ランタン」のライアン・レイノルズと「クレイジー・ハート」のジェフ・ブリッジス主演で映画化した痛快バディ・アクション。共演はケヴィン・ベーコンメアリー=ルイーズ・パーカー。監督は「フライトプラン」「RED/レッド」のロベルト・シュヴェンケ
 勤務中に銃弾を浴びて殉職してしまったボストン警察のエリート警官、ニック・ウォーカー。天国に旅立ったはずが、途中で“R.I.P.D.”という部署にスカウトされる。そこは、死後も現世にとどまり悪事を働くゴーストたちを取り締まるあの世の警察署。R.I.P.D.で働くことを受け入れたニックは破天荒なベテラン・エージェント、ロイシーファス・パルシファーとコンビを組み、再び地上へと舞い戻ることに。愛する妻ジュリアと感動の再会かと思いきや、なんとニックの現世での姿は中国人のヨレヨレ爺さんだった。セクシーなブロンド美女姿のロイに嫉妬しながらも、彼と一緒に悪霊退治に励むニックだったが…。

ラ・ブーム(1980)

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原題も「LA BOUM」(パーティ)

 

言わずと知れたソフィー・マルソーのデビュー作

流行りましたね、懐かしいですね

今見ると角川映画みたいで、大したことないけど(笑)

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ティーンエイジャーの初恋と、両親の離婚騒動という

青春ラブストーリーだけでなく

セックスや妊娠についてもサラっと描いていて

ポップコーンの箱にアレを入れるのはやり過ぎだけど(笑)

大人も楽しめるコメディに仕上がっています

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10月、ベルサイユからパリのリセに転校してきた

13歳のビック(ソフィー・マルソー)は

友達になったペネロプ(妹の男の好みが渋い 笑)と

男の子たちから初めてのブームに誘われます

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ビックは同じリセに通うマチューと知り合い意気投合

ハンサムなマチューをひと目で好きになってしまいます

ヘッドフォンのシーンは、女の子だったらやれちゃうよね(笑)

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フランス人って週末には10代の頃から

たくさんの人を呼んでホームパーティするんですね

飲み物や食べ物を用意(たぶん後片付けも)するのはお父さん、お母さん

夜遅くまで盛り上がるので、車で送り迎えするのもお父さんお母さん

ブームをする家の前は車で大渋滞

フランスはそこまでパーティしなきゃいけない文化なのか(笑)

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忙しい両親に代わり、ビックの良き理解者はハープ奏者のおばあちゃん

長年妻ある男性を愛し続ける、自由恋愛主義者で

いくつになっても男と女というのもフランス流

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そこにお父さんの別れたつもりのセフレが

パリまで追いかけてきて再び関係を結んでしまい

(歯医者のお父さんの同僚がお気の毒すぎて笑える 笑)

黙ってりゃいいものを、何を思ったか突然告白しお母さんと別居

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一方のお母さんは、念願の風刺漫画の仕事を手に入れ

ビッグのドイツ語教師とデートするようになるのです

 

これじゃあ、多くのフランス人が

結婚という制度を捨てたのもわかるな(笑)

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グランド・ホテルにホテルマンの実習に行ったマチューを

おばあちゃんの車で追いかけていくビック

でもマチューとのランデヴーは惨めなものでした

そしてお互い距離を置くようになってしまいます

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そしてビッグの14歳の誕生日

ビックはヨリを戻した両親に

(プロポーズより妊娠を告げるシーンのほうが女性にとって大事か)

自宅でブームをやりたいと懇願するのです

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ブームでビックは見知らぬ男の子と抱き合い踊ります

そこにマチューが入ってきて、目が合う

14歳の恋は、14歳なりに複雑(笑)

今じゃ保護者の気持ちでハラハラ(笑)

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ソフィー・マルソーは可愛いかったですね

まさしく80年代アイドルといった感じ

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でも同じく10代から注目されたカトリーヌ・ドヌーヴ

ナタリー・ポートマンのようなカリスマは感じられず

フランスのトップ女優まで上り詰めたのは

意外と努力の人なのかも知れません

 

 

 

【解説】allcinema より

公開当時本国フランスで大ヒットとなり日本でも話題となった、ソフィー・マルソー主演の淡いラブ・ストーリー。10月のパリ。新学期に沸くリセエンヌたちにまじって、ビックの胸は不安と期待で高鳴っていた。彼女は13歳。心は恋への憧れでいっぱいだったが、同級生のペネロプみたいに男の子と寝たことはまだない。そんなある日、彼女にとって初めてのパーティの夜がやってきた。物語は、13歳の少女の淡い初恋の模様を清々しく描いたラブ・ロマンス。出来としては、大人の鑑賞には多少の難はあるにせよ、ティーン・エイジャーにはそれなりに共通の想いで鑑賞できる、良作である。本作がデビューとなったマルソーは、この当時15歳。フランスではアイドルとして大人気となり、映画の主題歌“愛のファンタジー”も大ヒットするなど、社会現象ともなった作品。母親役に、あの「禁じられた遊び」のB・フォッセーが出演しているのが実に興味深い。

レディ・プレイヤー1(2018)

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「俺はガンダムで行く!」


原題も「READY PLAYER ONE

READY PLAYER ONE 」とは80年代のテレビゲームの

開始時に表示されるメッセージで

1人目のプレーヤーに対して「準備しなさい」ということ

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ガキの見る映画だと思って馬鹿にしていましたが

スミマセン、誤ります

すっごく面白かった(笑)


逆に今の10代や20代は本当に理解できているのかな

と、疑問に思ったほど

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MTVの放映が始まった頃の流行った曲の数々

(ダイヤモンド・デイヴの半ケツまで思い出したぜ ← オマエだけだ 笑)

マニアックな映画のネタの使い方


ブレックファスト・クラブ (1985)の学校名まで覚えているか(笑)

シャイニング(1980)スピルバーグがパロればこうなるのか(笑)

チャッキー(チャイルド・プレイ/1988)の使い方には笑った(笑)

メカゴジラはテーマ曲付きで登場(笑)

薔薇のつぼみ(市民ケーン/1941)と、ミフネトシロウ(七人の侍/1954)

だけ妙に渋い(笑)

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しかも何の関連性のないキャラがこれだけ入り混じっても

映画そのものが崩壊することなく

アイテムとしてきちんと機能している

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友情あり、恋愛あり、人種差別なし

勧善懲悪でわかりやすいのが、またいい

単純にただ楽しむことをテーマにしている

(でもおばさんが爆死したのは、もう少し悲しんであげようよ 笑)


ビッグネームの俳優を使っていないのも

スピルバーグが原点回帰の気持ちで

撮影に挑んだのではないでしょうか

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近未来、多くの人々は現実の生活とは別に

「オアシス」と呼ばれる仮想世界で、アバターとして生きていました

創設者ハリデーは遺言で「オアシス」に隠された3つの鍵を見つけた者に

「オアシス」の運営権と莫大な資産を贈与する約束をします


多くのプレイヤーが、貧しい生活から抜け出すために鍵を探し

パーシヴァル(本名ウェイド、ヲタクのニート?)も、そのひとり

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そして同じく「オアシス」の運営権がどうしても欲しい

ソレント社長率いる世界第2位の大企業

IOI(イノベイテブ・オンライン・インダストリーズ)と


第1の鍵を手に入れたパーシヴァルと仲間たちとの

「オアシス」の未来をかけた戦いが始まるのです

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ルールは古典的なロールプレイングゲームと同じ(笑)

アイテムを手に入れるためには、隠し場所を探したり

戦いに勝ったり、コインを払って手に入れなければなりません

ゲーム内で死んだら、イチからやり直し

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もちろん、仮想世界の中で友達になることもあるし

恋をしてしまうこともあるでしょう

でも、アルテミスに恋したパーシヴァル

修理屋エイチの「男で140キロのヲタクかも知れない」という

助言には頷いた

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でも趣味の合う140キロのヲタクは許せるけど

(オマエは本当に珍味好きだな 笑)

ネットでの、特に恋愛とお金の絡む出会いは

慎重にならなければいけないのは確かですね

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そしてパーシヴァル(ウェイド)は現実世界でもIOI社に狙われ

アルテミス(サマンサ)は捕らえられIOI社の強制収容所に送られる

そこでエイチ(ヘレン)、トシロウ(ダイトウ)、ゾウ(ショウ)は

ふたりを助けるため、現実世界でも協力するためやって来ます

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仲間の協力で第三の鍵まで手に入れることが出来たパーシヴァル

だけど「オアシス」の運営権の書類にサインすることはありませんでした

パーシヴァルはハリデーが共同経営者で親友のモローと別れてしまったのと

同じ過ちはしたくなかったのです

 

その代わり、本命「イースターエッグ

(ソフトに隠された本来の機能とは関係ないメッセージ=ユーモア)

を、ハリデーから受け取り

その姿に敵も味方もなくアメリカ中が沸き上がります

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一方、正気を失ったソレントは逮捕され

    部下のハナ・ジョン=カーメンに殴られ(ざまあみろ)

 

本物のモローは、なんとサイモン・ペックだった(笑)

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映画史に残るような物凄い傑作とか、名作かと言われれば

そうじゃないけど(笑)

 

子どもの頃や、青年時代に養われたカルチャーってすごく重要で

心の中でずっと大切にしていたものが

決して間違ってなかったと確信させてくれる

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あの頃ワクワクしたり、ドキドキしていたことに

今でも心が踊ることを発見できる

 

そして見るたびに、新しい隠れキャラを発見できそうな楽しみ

カメラは無駄にヤヌス・カミンスキー(笑)

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たくさんのアニメや映画(MTVも)を見ていて良かった

「お気に入り」にさせていただきます

 

 

【解説】allcinema より

AKIRA」や「バック・トゥ・ザ・フューチャー」、「ストリートファイターII」をはじめ80年代の日米ポップ・カルチャーがふんだんに盛り込まれていることでも話題を集めたアーネスト・クラインのベストセラー『ゲームウォーズ』を、巨匠スティーヴン・スピルバーグ監督が映画化したSFアドベンチャー大作。現実世界の荒廃が進む近未来を舞台に、あらゆる願望が実現する新世代VR(バーチャル・リアリティ)ワールド“オアシス”で繰り広げられる壮大なお宝争奪戦の行方を、驚きの有名キャラクターの数々と最新の映像技術を駆使した圧倒的臨場感で描き出す。主演は「MUD マッド」のタイ・シェリダン、共演にオリヴィア・クック、ベン・メンデルソーンマーク・ライランス。また日本からも森崎ウィンが参加。
 2045年の地球。街が荒廃する一方で、若者たちはVRワールド“オアシス”に夢中になっていた。そこでは誰もが好きなアバターに姿を変え、自分の思い描く通りの人生を生きることができた。そんなある日、オアシスの創設者ハリデーが亡くなり、彼の遺言が発表される。それは“アノラック・ゲーム”と呼ばれ、彼が仕掛けた3つの謎を解き、オアシスに隠されたイースターエッグを最初に見つけた者には莫大な遺産に加え、オアシスの後継者としてその全権を与えるというものだった。この驚くべきニュースに世界中の人々が色めき立つ。現実世界に居場所がなくオアシスだけが心の拠り所の17歳の青年ウェイドもこの争奪ゲームに参加し、オアシスで出会った謎めいた美少女サマンサら大切な仲間たちと力を合わせて3つの謎に挑んでいく。そんな彼らの前に、恐るべき野望を秘め、邪悪な陰謀を張り巡らせる巨大企業IOIが立ちはだかるのだったが…。

群衆(1941)

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「たかり屋め!」

原題は「Meet John Doe」(ジョン・ドゥに会う)

ジョン・ドゥとは「名無しの権兵衛」の意


同じ1941年に公開され、同じメディアパワーと政治を題材にした

市民ケーン」と「群衆」

アカデミー賞では原案賞のみ「群衆」がノミネートされたのに比べ

市民ケーン」は9部門ノミネートされ脚本賞を受賞

(作品賞はじめ10部門ノミネート、5部門受賞は「わが谷は緑なりき」)

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しかも「市民ケーン」の評価は年々高まり

今では映画史上最大の傑作と言われ「オールタイム・ベストテン」

アメリカ映画ベスト100」の1位に選ばれています


ですが、一見コメディ風なラブ・ロマンスですが

本作のほうが、人間の本性をよく描いていて、私は怖かった

ピノキオの曲を使った演出もうまい

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ただ残念なことに、ラストの回収が大失敗(笑)

もっと納得のいく終わりかただったら

もっと愛される作品になったような気がします

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ジョン・ドゥは頭がいいわけでない

ケーン(ウィリアム・ランドルフ・ハースト)のような新聞王でもない

新聞社をリストラされた女性記者アン(バーバラ・スタンウィック)が

やけくそになってコラムに捏造した架空の人物を

見てくれがいいからと、今はホームレスの元マイナーリーグの野球選手

ウィロビー(ゲイリー・クーパー)が偶然演じるようになっただけ

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アンのコラムは人気となり、新聞の売り上げもどんどん増えます

ラジオ出演が決まり、(ライバル新聞社からお金を貰った)ウィロビーは

自分はジョン・ドゥでないと打ち明けようとしますが


アンに「父の魂が宿った原稿」と熱く語られ

ウィロビーは単純な男なので、アンを好きになってしまうのです

そして「ジョン・ドゥは世の中に大勢いる」「隣人と団結すべきだ」

とスピーチし民衆を感動させます

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ジョン・ドゥは各地で講演を開き、彼の言葉は社会現象になります

やがて「ジョン・ドゥ・クラブ」が発足しますが


新聞社のオーナー、ノートンの本当の目的は

ジョン・ドゥの人気を利用して国政入りすることだったのです

それを知ったウィロビーは、アンに裏切られていたんだと思い

講演会で真実を話す決意をしますが

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ノートンの策略によって、ジョン・ドは偽物という新聞が配られ

各地から15千人もが集まった会場では暴動が起こり

ウィロビーは警察に逮捕されそうになりますが

相棒の大佐(ウォルター・ブレナン=実はオスカーを3度も受賞したスゴイ人)

に助けられ、群衆からも、アンの前からも、姿を消してしまうのです

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この雨の中の暴動のシーンが見事で

誰もウィロビーの言葉を聞こうとせず

やがて石まで投げつける

 

アンに裏切られた思ったウィロビーと

ジョン・ドゥに裏切られたと思う民衆の対比

信じれば信じるほど、愛すれば愛するほど

嘘をつかれていたと知ったときの怒りは大きい

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そして架空のジョン・ドゥが「市庁舎から飛び降りる」 と予告した

クリスマス・イブの夜

アンが、ノートン一行が、そしてウィロビーが

雪降る市庁舎の屋上にやって来ます


やはりキャプラも、アンと結ばれるラストには相当迷ったらしく

バット・エンドも考えていたそうです

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私は、暴動によって会場で言えなかった真実を

新聞でも、ラジオでも、屋外放送でもいい

何らかの形で民衆に伝え、ノートンの悪だくみを暴くべきだと思いました

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それで赦してもらえなくても、正気に戻った一部の支援者たちと

そしてアンと一緒に、もういちどやり直す

そのほうがキャプラらしかったんじゃないかな(笑)



【作品情報】ウィキペディアより

フランク・キャプラと脚本家のロバート・リスキンが最後に手を組んだコメディ映画。でっちあげられた新聞のコラムから物語が展開する「草の根運動」をテーマにした映画である。この映画は興行的にも大成功をおさめ、その年のアカデミー賞にノミネートされた。また、アメリカ映画協会が選ぶ「感動の映画ベスト100」では49位に選出されている。

公開の28年後である1969年に著作権登録を更新できなかったため、現在はアメリカにおいてはパブリックドメインになっている。

キャプラは最初からゲイリー・クーパーをジョン・ドゥー役にするつもりであったが、クーパーは『オペラハット』ですでにキャプラ作品の主演を務めていたことや、ずっとバーバラ・スタンウィックとの共演を望んでいたため、映画の内容を知るまでもなく、この役のオファーを快く引き受けた。

新聞社の経営者が変わって、多くの働いている人のリストラが決まる。クビを切られることとなった新聞社のアン(バーバラ・スタンウィック)は腹いせに、炎上しても構わないとばかりに、架空の記事をでっちあげる。記事の内容は、職につけないのは腐敗した政治のせいで、その抗議として、クリスマスイブの夜に市庁舎の屋上から飛び降りることを旨とする、ジョン・ドゥーという架空の人物からの投書だった。この投書が新聞に載るや否や、反響は凄まじいものになる。発行部数を伸ばしたい新聞社は、この投書のジョン・ドゥーという人物を誰か雇って演じさせ、新聞記事にすることで販売部数を伸ばそうとしたりと、商売にしようとたくらむ。翌日、自称「ジョン・ドゥー」が新聞社にたくさん集まってきた。そのなかから選ばれたのは、職をさがして新聞社を訪れた、現在無職の元野球選手ジョン・ウィロビィ(ゲイリー・クーパー)だった。彼はジョン・ドゥーという架空の人物を演じることになる。アンが演説の原稿を書き、ジョン・ドゥーがラジオ出演や講演会などで演説すると、アメリカ中で人気者となる。さらには、彼の思想を崇拝する者たちが「ジョン・ドゥー クラブ」を作ったりと、一大ムーブメントとなる。

 

イヴの総て(1950)

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傑作

原題も「ALL ABOUT EVE


今見ると、大げさに見えるところもあるけれど

これが「映画だ」といわんばかりの、脚本、演出、構成、演技

「女」の野心と性(さが)を見事に描いている

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ダールが事あるごとに「イヴの総て」を引用する理由が

解ったような気がします(笑)

 

もしかしたらあなたの傍にも、男たちからは好かれるけど

女同士から憎まれる、汚い手口(親友の彼氏を奪う)を使う

女友達や同僚がいるのではないでしょうか

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物語は演劇界の由緒ある賞の授賞式から始まります

受賞したのは新鋭女優イヴ(アン・バクスター

それを見つめる売れっ子脚本家の妻カレン(セレステ・ホルム)と

熟年女優のマーゴ(ベティ・ディヴィス)

そしてナレーションは「イヴの総て」を語ります

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前半は、主演する舞台をすべて成功させる女優マーゴの物語

しかし彼女は実力派で人気があるにもかかわらず

自分の年齢や容姿をとても気にしているんですね

演出家で8歳年下恋人のビルにコンプレックスを抱き

新作の20代女性のヒロインを演じることを悩む

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それが無意識のうちに、酒に酔って周囲の人間に無作法になったり

舞台を遅刻するという弊害になっていました


そんなマーゴをいつの間にかフォローしていたのが

マーゴのファンを名乗り、マーゴの付き人になったイヴでした

清純な見た目と真摯さでマーゴの取り巻きを自分の味方に付け

カレンに頼み込みマーゴの代役を手に入れます

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カレンはイヴが(遅刻魔の)マーゴの代役することを

マーゴも笑って許してくれると思ったのです

だけど、だんだんとイヴの魔性が剥がれだし

カレンは彼女を嫌い、畏れるようになります

(付き人のおばちゃんだけが最初からイヴの本性を見抜いていたんだな)

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後半はイヴの物語

マーゴの代役で成功したイヴは(マーゴと喧嘩中の)ビルを口説きますが

「マーゴを愛している」とあっけなくフラれると

高名な批評家のドゥイットとつるむようになります

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が、新作の稽古が始まると、今度はカレンの夫で脚本家のロイドに取り入る

ロイドを真夜中に呼び出し、結婚の約束をしたとドゥイットに告げます

一流の脚本家と結婚し、専属になれば女優としての将来が約束されるはず

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しかしドゥイットは最初からイヴの嘘をすべてお見通しだったのです

俺を誰だと思ってる、俺を甘く見るな、お前は俺のものだ・・


ドゥイットは最低の男だけど

こんな小娘の勝手な枕営業で、演劇界を滅茶苦茶にされるのは防いだのでしょう

売れっ子女優になりたいなら、まずは実力者の懐の中で飼われること

それが芸能界のシステム

このドブネズミのような男が、なぜか一番マトモに見える(笑)

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「芝居なんてできないわ」と泣き崩れておきまがら

舞台を演じ切り、賞を受賞するイヴ

そしてカレンやマーゴに対する白々しいスピーチ

しかもタクシーにトロフィーを忘れる(笑)なんて女だ

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ラストは皮肉でしたね

イヴが表舞台から消えるのは、意外と早いかも知れない

突然現れた女子高生に、ドゥイットは全てを悟るのです

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見ごたえのあるアン・バクスターの清純な小悪魔ぶり

無名時代のマリリン・モンローも出演

チョイ役でもマリリンの輝きだけは隠せない(笑)

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ですがやはり、ここはベティ・ディヴィスの存在感を称えたい

エキセントリックさ、老醜の中にも

どこか女性らしい可愛らしさが見え隠れしている

カレンじゃないけど、女友達になるならアンよりベティを選ぶ(笑)

恋人役のゲイリー・メリルとは本当に結婚したそうです

(しかも前夫と離婚したわずか3週間後 笑)

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さすが映画界の隅から隅まで知り尽くした、ジョーゼフ・Lマンキーウィッ

いかにも現実にありそうな、納得の面白さ

「お気に入り」を献上させていただきます




【解説】allcinema より

ある日、新進女優イヴ・ハリントンはアメリカ演劇界の栄えある賞に輝いた。だが、彼女がここまで上り詰めるには、一部の関係者たちしか知り得ない紆余曲折の経緯があった。8ヶ月前、田舎からニューヨークへ出てきたイヴは、ひょんなことから憧れの舞台女優マーゴの住み込み秘書となった。するとイヴはこれを皮切りに、劇作家や有名批評家に巧く取り入り、マーゴまでも踏み台にしてスター女優へのし上がっていく…。
 監督マンキウィッツ自身による見事な脚本と、名優たちの火花散らす熱演とが融合し、その年のアカデミー賞をほぼ独占する形となった、バックステージものの最高作。田舎からニューヨークへ出、大女優(B・デイヴィス)の付き人となったのを皮切りに、有名批評家に取り入って大女優の代役から一躍、ブロードウェイの寵児にのし上がるヒロインを、A・バクスターがまさに一世一代の体当たり芝居で演じきる。批評家のG・サンダースも、いつになく繊細な役柄を的確に表現し、オスカー助演賞を得た。まだ無名の頃のモンローが顔を出している。

 

痴人の愛(1934)

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「恋愛は皮肉だ。愛する者と愛される者が一致しない」

原題は「OF HUMAN BONDAGE

bondage”には束縛、屈従 、奴隷の身分、とりこの状態

いわゆる「自由な行動を奪われる」という意味があるそうです

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原作はサマセット・モーム自伝的小説「人間の絆」

ヒロインミルドレッド文学史上、最低最悪の性悪女に例えられ

当時の女優はそれこそイメージが大切で、なり手がいなかったミルドレッド役に

自ら立候補したというベティ・デイヴィス

 

ベティのファム・ファタールぶりは演技を超えていますね

もう、本物(笑)本当に憎たらしい

DVによる被害者女性は擁護しなければならないけど

もしこんな女なら、彼氏や夫が殴ってしまうのも理解できます

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でも主人公フィリップ演じるレスリー・ハワードは

画家になるのを諦めた、足に障害のある真面目な医学生

ミルドレッドにどんなに酷い仕打ちをされても、彼女を殴るどころか

聡明な女流作家の恋人と別れてまで、支援し続けるのです

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しかしミルドレッドはフィリップに恩を感じるどころか

フィリップの言動にイラつき、罵り、裏切るのです

金を盗まず燃やしたのは、物欲よりなによりも

彼を苦しめることが目的だから

 

ミルドレッドのせいで医学部は退学となり、住む場所もなくなり

破滅へと追いやられていくフィリップ

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だけど無一文になり、障害者というコンプレックスが邪魔をして

ミルドレッドからの愛を施しで得ようとした、傲慢な自分を知った時から

フィリップに幸運が舞い込んできます

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教授が医学的挑戦という理由でしてくれた足の手術が成功

元患者の家に住まわせてもらい、デパートの仕事にありつく

元患者の娘で家庭的なサリーと恋人になる

叔父の遺産がで、医学部に復学し卒業、就職も決まります

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そんなとき、今度はミルドレッドが病気だと知らされます

(このグリフィスという男のおせっかいは何なんだ!)

フィリップは病院に行きたがらないミルドレッドを受診し

肺病の処方箋と、お金を渡すのですが

 

ミルドレッドが危篤で病院に運ばれたと知り

またもや懲りずに会いに行くフィリップ

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しかしそこで見たものは

「ミルドレッド・ロジャース 25歳」の破かれたカルテでした

思えばこの女も、幸せには縁のなかった女だ

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ミルドレッドが死んだことによって

やっと「主従」の関係から解き放されたフィリップ

サリーとの結婚を迷わせたミルドレッドは、もういない

フィリップは改めてサリーにプロポーズするのでした

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ミルドレッドが死んだのは自業自得だけど

私だったら、「青白くて謎めいて冷たい君」の死で

フィリップが発狂して終わったほうが、もっとヨカッタかな

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映画は評判になったものの、ベティはオスカーにノミネートされず

観客や批評家からはデモや抗議が起こり

それ以降、アカデミー賞で投票が可能になったそうです

 

 

【解説】KINENOTEより
「秘密」「永遠に微笑む」のレスリー・ハワードが主演する映画で、「雨」の作者サマセット・モーム作の小説を「人生の行路」「砂上の摩天楼」のレスター・コーエンが脚色し、「砂上の摩天楼」「世界と其の男」のジョン・クロムウェルが監督し「若草物語(1933)」「猟奇島」のヘンリー・ジェラードが撮影した。助演者は「失踪者三万人」「舗道の三人女」のベティ・デイヴィス、「若草物語(1933)」のフランセス・ディー、「狂乱のアメリカ」のケイ・ジョンスン、「肉弾鬼中隊」のレジナルド・デニー及びアラン・ヘール、レジノルド・オウエン、レジナルド・シェフィールド等である。 上品で敏感な学生フィリップ・ケアリーは右足が不自由であった。彼は学校の近くの料理店の給仕女で、下品な利己主義のミルドレッドに不思議な愛着を感じた。彼女は障害者の彼を頭から蔑視したが、彼が小遣銭に不自由しないのを知ると、急に彼を虜にしてしまう。そのためにフィリップは試験に落第し、彼女に結婚を申し込んだが、彼女はそれを拒絶し、下等な外国人ミラーと関係して出奔する。失望したフィリップだったが女流小説家ノラに恋されて幸福な安穏な勉学生活が出来るようになった。ところがミラーはミルドレッドが身重になったと知るや、無情にも打ち捨てて全然顧みない。泣きつかれてフィリップはミルドレッドがお産をし、生まれた赤ん坊を里子にやるまでの面倒を見てやった。ノラは失望してフィリップとは別れてしまった。こうまで親切を呈したが、ミルドレッドはフィリップの同級生グリフィスの情婦となって彼に再び苦杯を嘗めさせた。その後、フィリップは病院で近づきになった近郷の田舎紳士アセルニーの娘サリーと愛し合う仲となるが、彼はミルドレッドの事を考えると、思いきってサリーに結婚を申し込む勇気は無かった。果たして、ミルドレッドがグリフィスに棄てられ、赤ん坊を抱いて路頭に迷っていると知るや、やはり自分の部屋に引き取って世話をしないではいられなかった。ところが些細な口論の結果、3度ミルドレッドは出奔した。しかもフィリップの学資たる公債投書を全て焼き捨てて。このために彼は退学した。その時ジェコブス教授が手術をして彼の不具の足を癒してやった。そしてアセルニー邸に寄食し、百貨店に勤める身となった。またミルドレッドは彼に救いを求めた。赤ん坊は死んでしまい、売笑生活の報いか彼女は肺を病んでいた。フィリップはいくらかの金子を残して帰った。その後叔父の遺産を貰って再度入学した彼はついに大学士となった。そして豪州航路線の船長となり、赴任しようとするとき、ミルドレッドは施療病院で淋しく死んだ。初めて開放された気持ちになったフィリップは船長を勤め、サリーと結婚し晴れやかに人生にスタートしたのである。

都会の牙(1949)

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「殺人事件だ 殺されたのは私だ!

原題は「D.O.A.」(dead on arrival=到着時死亡

Dead Or Alive(生死を問わず)じゃなかったのか(笑)

 

フィルム・ノワールの傑作犯罪映画

ヒッチコック作品に似た、巻き込まれ型サスペンスですが

ツッコミどころがあっても、ヒッチさんより更に強引な展開とスピードで

ねじ伏せられてしまう威力あり(笑)

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主人公のフランク・ビグローエドモンド・オブライエン)は

日本でいう行政書士のような仕事をしています

秘書のポーラ(パメラ・ブリットン)と付き合っていて

彼女の結婚したいと思うプレッシャーに耐えきれず

ポーラを置いて、ひとりロサンゼルスに休暇旅行に出ます

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さすが都会、ロスの洗練された美女たちに

新しい出会いを求めビグローの心は踊ります

(スケベ心満載な間抜けな効果音に笑える)

そして向かいの部屋のパーティに誘われ、二次会に行った翌朝

胃に不快を感じ受診すると

致死量の「ルミナス毒」(発光性有害物質) による

余命12日と宣告されます

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なぜ、毒を盛られたのか

殺されなければならないのか、全く意味がわからない

ビグローはその理由を知るため、犯人捜しを始めます

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そのとき誰より役に立ったのが

それまで鬱陶しく感じていたポーラでした

浮気するためにLAに来たことを今更後悔しても遅い

死ぬ間際になって、誰がいちばん大切だったか、やっと気が付く

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ポーラの記憶と、探してくれた書類のおかげで

ピグローが半年前ほど前、希少鉱物の売買証書を作成していたことがわかり

ピグローはサンフランシスコに飛び、徐々に真犯人に近づいていくのです

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怪しい秘書、怪しい会計士、怪しい未亡人・・

ネヴィル・ブランドの狂気強烈(腹フェチか 笑)

ルーサー・アドラーの偽善的な悪党もいい

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オープン・カーでバスを追走するシーンはなかなかの名場面

人の影の使い方ももうまい

カメラはアーネスト・ラズロ

 

そして「dead on arrival」という言葉の回収の見事さ

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83分という短さで、ラストまであっという間

似たようなプロットでコメディにしてみても

面白いような気がします

 

 

 

【解説】KINENOTEより

レオ・C・ポプキンが製作し、「烙印」のルドルフ・マテが監督した犯罪スリラー1950年作品。脚本はラッセル・ラウスとクラレンス・グリーンの共同で、撮影はアーネスト・ラズロ、作曲は「真昼の決闘」のディミトリ・ティオムキンの担当。主演は「拳銃無情」のエドモンド・オブライエンとパメラ・ブリットンで、ルーサー・アドラー「砂漠の鬼将軍」、ビバリー・キャンベル、リン・バゲットらが助演する。

ロス・アンジェルス警察殺人課に、フランク・ビグロウ(エドモンド・オブライエン)という男が、息も絶えだえでたどりついた。苦しい息の下から彼の語った物語は--彼は仕事の骨休みにサン・フランシスコに行き、陽気な連中と一緒に酒場を飲みあるいて回った。そのなかには『漁夫』という賭博宿もあった。ホテルに帰ると、彼の秘書ポーラ(パメラ・ブリットン)から電話があり、フィリップ氏という人物がビグロウに会いたがっていると告げたが、彼は気にもかけなかった。ビグロウは翌朝、胃に激痛を覚え、医師のレントゲン診断の結果、体内の組織に珍しい毒がまわっており、間もなく死に至ると宣告された。絶望のうちにもビグロウは、何とか殺人の糸口をつかもうと、フィリップのことを思い出したが、フィリップは昨日のうちに死んでしまっていた。ビグロウはロス・アンジェルスにとんで帰り、フィリップの周辺を洗ってみた。フィリップの会計主任のホリディ、避暑のフォスター嬢など。しかし何の手がかりもなかった。ビグロウを愛しているポーラが、事務所にあった書類から糸口をつかんだ。それはフィリップとレイノルズという男の間に行われたイリディウムの取引証書で、ビグロウが公証人として立ち会ったものだった。レイノルズを洗ってみると彼は数ヶ月前に死んでおり、暗黒街のマジャクとつながりがあることがわかった。マジャクこそフィリップを殺害し、フィリップが例のイリディウムの不正取引発覚を恐れての自殺とみせかけようとしたのだ。そしてこの事件を知る唯一の人ビグロウをも殺そうと『漁夫』で毒を飲ませたのだ。ビグロウはマジャクを追い、射殺した--ここまで語り終わってビグロウは息絶えた。