都会の牙(1949)

f:id:burizitto:20210502184230p:plain

「殺人事件だ 殺されたのは私だ!

原題は「D.O.A.」(dead on arrival=到着時死亡

Dead Or Alive(生死を問わず)じゃなかったのか(笑)

 

フィルム・ノワールの傑作犯罪映画

ヒッチコック作品に似た、巻き込まれ型サスペンスですが

ツッコミどころがあっても、ヒッチさんより更に強引な展開とスピードで

ねじ伏せられてしまう威力あり(笑)

f:id:burizitto:20210502184255j:plain
主人公のフランク・ビグローエドモンド・オブライエン)は

日本でいう行政書士のような仕事をしています

秘書のポーラ(パメラ・ブリットン)と付き合っていて

彼女の結婚したいと思うプレッシャーに耐えきれず

ポーラを置いて、ひとりロサンゼルスに休暇旅行に出ます

f:id:burizitto:20210502184308j:plain
さすが都会、ロスの洗練された美女たちに

新しい出会いを求めビグローの心は踊ります

(スケベ心満載な間抜けな効果音に笑える)

そして向かいの部屋のパーティに誘われ、二次会に行った翌朝

胃に不快を感じ受診すると

致死量の「ルミナス毒」(発光性有害物質) による

余命12日と宣告されます

f:id:burizitto:20210502184346j:plain
なぜ、毒を盛られたのか

殺されなければならないのか、全く意味がわからない

ビグローはその理由を知るため、犯人捜しを始めます

f:id:burizitto:20210502184359j:plain
そのとき誰より役に立ったのが

それまで鬱陶しく感じていたポーラでした

浮気するためにLAに来たことを今更後悔しても遅い

死ぬ間際になって、誰がいちばん大切だったか、やっと気が付く

f:id:burizitto:20210502184428j:plain
ポーラの記憶と、探してくれた書類のおかげで

ピグローが半年前ほど前、希少鉱物の売買証書を作成していたことがわかり

ピグローはサンフランシスコに飛び、徐々に真犯人に近づいていくのです

f:id:burizitto:20210502184529j:plain
怪しい秘書、怪しい会計士、怪しい未亡人・・

ネヴィル・ブランドの狂気強烈(腹フェチか 笑)

ルーサー・アドラーの偽善的な悪党もいい

f:id:burizitto:20210502184444j:plain
オープン・カーでバスを追走するシーンはなかなかの名場面

人の影の使い方ももうまい

カメラはアーネスト・ラズロ

 

そして「dead on arrival」という言葉の回収の見事さ

f:id:burizitto:20210502184509p:plain
83分という短さで、ラストまであっという間

似たようなプロットでコメディにしてみても

面白いような気がします

 

 

 

【解説】KINENOTEより

レオ・C・ポプキンが製作し、「烙印」のルドルフ・マテが監督した犯罪スリラー1950年作品。脚本はラッセル・ラウスとクラレンス・グリーンの共同で、撮影はアーネスト・ラズロ、作曲は「真昼の決闘」のディミトリ・ティオムキンの担当。主演は「拳銃無情」のエドモンド・オブライエンとパメラ・ブリットンで、ルーサー・アドラー「砂漠の鬼将軍」、ビバリー・キャンベル、リン・バゲットらが助演する。

ロス・アンジェルス警察殺人課に、フランク・ビグロウ(エドモンド・オブライエン)という男が、息も絶えだえでたどりついた。苦しい息の下から彼の語った物語は--彼は仕事の骨休みにサン・フランシスコに行き、陽気な連中と一緒に酒場を飲みあるいて回った。そのなかには『漁夫』という賭博宿もあった。ホテルに帰ると、彼の秘書ポーラ(パメラ・ブリットン)から電話があり、フィリップ氏という人物がビグロウに会いたがっていると告げたが、彼は気にもかけなかった。ビグロウは翌朝、胃に激痛を覚え、医師のレントゲン診断の結果、体内の組織に珍しい毒がまわっており、間もなく死に至ると宣告された。絶望のうちにもビグロウは、何とか殺人の糸口をつかもうと、フィリップのことを思い出したが、フィリップは昨日のうちに死んでしまっていた。ビグロウはロス・アンジェルスにとんで帰り、フィリップの周辺を洗ってみた。フィリップの会計主任のホリディ、避暑のフォスター嬢など。しかし何の手がかりもなかった。ビグロウを愛しているポーラが、事務所にあった書類から糸口をつかんだ。それはフィリップとレイノルズという男の間に行われたイリディウムの取引証書で、ビグロウが公証人として立ち会ったものだった。レイノルズを洗ってみると彼は数ヶ月前に死んでおり、暗黒街のマジャクとつながりがあることがわかった。マジャクこそフィリップを殺害し、フィリップが例のイリディウムの不正取引発覚を恐れての自殺とみせかけようとしたのだ。そしてこの事件を知る唯一の人ビグロウをも殺そうと『漁夫』で毒を飲ませたのだ。ビグロウはマジャクを追い、射殺した--ここまで語り終わってビグロウは息絶えた。