パターソン(2017)

f:id:burizitto:20200516152302j:plain

原題も「Paterson」

映画評論家風に言えば、ジム・ジャームッシュアメリカのモダニズム詩人
ウィリアム・カーロス・ウィリアムズ(1883~1963)の長篇詩「パターソン」に
影響を受けて「アメリカ的なるもの」「労働者階級のアーティスト」を
追い求めた作品・・という感じになるのでしょうが

まあ、普通のカップル(夫婦)の日常を
ジャームッシュが描くとこうなります(笑)

f:id:burizitto:20200516152314j:plain

ニュージャージーのパターソンという町に住むパターソンという名の男は
6時すぎに起床→妻のローラにキス→ミルク入りのシリアルを食べて出社
バスの運転席で詩を書く→時刻を教えに来る浮かない顔の車庫長
仕事は路線バスの運転手(景色を眺める、乗客の話を聞く)
帰宅、斜めのポストを直す→ローラのお喋り
夕飯→愛犬のマーヴィンと夜の散歩→馴染みのバーでビールを1杯だけ飲む
の、毎日同じ繰り返し

f:id:burizitto:20200516152333j:plain

家の中の実権は全て妻が握っていて
毎日インテリアを白黒の水玉模様にしていき、料理も独自のセンス
高価なテキスト付きのギターを買ってカントリー歌手になるという

本当のところパターソンとは性格も趣味も合わず
彼は無意識に妻に抑圧されています
家族の順位はあくまで、ローラ > 犬 > パターソン
それでもローラは美人で気立てがいいし、自分のことを愛してくれている
窮屈だけど、ほかの男より幸せだと思ってる

f:id:burizitto:20200516152353j:plain

車庫長は金遣いの荒い妻に悩み、愚痴り
バーのマスターは趣味のコレクションに貯金を使い込んでしまい妻に怒鳴られる
役者志望の友人は、元恋人のマリーに未練たっぷり諦めらめきれない
自分と「合わない」女を愛してしまい、不満を抱えながら過ごす日々

そんなパターソンが、唯一解放されるときが詩を書いているとき
毎日の出来事で感じたことを「秘密のノート」に書き綴っているときだけが
素直で正直な気持ちでいれる

f:id:burizitto:20200516152406j:plain

金曜日
朝目覚めるとローラがベッドにいない
ローラはキッチンで土曜に市場で売るカップケーキを作っていました
そこからパターソンのルーティンが狂います
バスが故障して立往生、小学生からスマホを借りる
バーではフラれ男の友人が、銃身自殺をすると騒ぎだし
勇敢にもピストルを取りあげたパターソンでしたが、おもちゃの銃でした

f:id:burizitto:20200516152423j:plain

土曜日
大量の白黒カップケーキを車に積んでローラは市場に出発
パターソンはマーヴィンと散歩に行き、詩を書きました
ローラはカップケーキが完売して大喜び、お祝いにパターソンを映画に誘い
ふたりは「獣人島」と「凸凹フランケンシュタインの巻」の二本立てを見て
楽しいひとときを過ごします
帰宅すると、パターソンの秘密のノートがマーヴィンに食い荒らされて
粉々になっていました

f:id:burizitto:20200516152443j:plain

日曜日
ノートを破かれたショックから立ち直れないパターソンはひとりで散歩に出かけ
(本当はマーヴィンが嫌いだった)ベンチに座って滝を見ていました
そこに日本人の男がやってきて、ウィリアム・C・ウィリアムズの詩集
「パターソン」をバックから取り出しました
パターソンに「パターソンの住人か」「詩人か」と聞きますが
パターソンは「ただのバス運転手だ」と答えます

f:id:burizitto:20200516152458j:plain

男は大阪から来た(自分の詩は外国語に翻訳しない主義の)詩人で
ウィリアム・C・ウィリアムズへの思いを語ります
そしてパターソンに1冊の空白のノートをプレゼントして去っていきました
詩に対する考えを共感できる人間に出会えた喜び
家に帰り、空白のノートに新たな詩を書き始めるパターソン

f:id:burizitto:20200516152637j:plain

月曜日
朝6時
パターソンにいつものルーティンが戻りました

f:id:burizitto:20200516152539j:plain

私たちのいつもの生活は、映画の中のようなスパイになれるわけでもないし
スーパーヒーローになって、悪の政治家を退治できるわけでもない
パターソンと同じように、毎日同じ繰り返し

そんな平凡な人間の人生を、ジャームッシュは韻を踏むポエムに例えて
同じ繰り返しの中にも美しさがある
変化や発見に気づくことができると教えてくれる
退屈でつまらなかったものが輝いて見えてくるのです
いつもの毎日が愛おしくなる

f:id:burizitto:20200516152655j:plain

詩心なんて全くないけれど(笑)
思わずノートとペンを持って、詩を書くために散歩に出たくなる
そんな作品でした

 

 

【解説】映画.comより
ジム・ジャームッシュが「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」以来4年ぶりに手がけた長編劇映画で、「スター・ウォーズ」シリーズのアダム・ドライバー扮するバス運転手パターソンの何気ない日常を切り取った人間ドラマ。ニュージャージー州パターソン市で暮らすバス運転手のパターソン。朝起きると妻ローラにキスをしてからバスを走らせ、帰宅後には愛犬マービンと散歩へ行ってバーで1杯だけビールを飲む。単調な毎日に見えるが、詩人でもある彼の目にはありふれた日常のすべてが美しく見え、周囲の人々との交流はかけがえのない時間だ。そんな彼が過ごす7日間を、ジャームッシュ監督ならではの絶妙な間と飄々とした語り口で描く。「ミステリー・トレイン」でもジャームッシュ監督と組んだ永瀬正敏が、作品のラストでパターソンと出会う日本人詩人役を演じた

【フレデリック・フォーサイス】マンハッタンの怪人(2000)

f:id:burizitto:20200513194847j:plain

イギリスの作曲家アンドリュー・ロイド・ウェバー(以下ALW)が
自身の代表作「オペラ座の怪人」(1986)の続編
「ラヴ・ネヴァー・ダイズ」(Love Never Dies)を製作するにあたって
フレデリック・フォーサイスに執筆を依頼したという本作

なのでガストン・ルルーの「オペラ座の怪人」(1910)に沿った展開ではなく
ALWの「オペラ座の怪人」の続編になる単独の作品ということ

f:id:burizitto:20200513194911j:plain

2010年ウエスト・エンド(ロンドン)でプレビュー公演が開幕
オリジナル・ロンドン公演は不評だったものの
デザインチームの変更と大幅な改訂でオーストラリア公演では評価をあげ
ブロードウェイ公演が計画されたものの無期限延期
日本では2014年に市村正親鹿賀丈史がファントム役
濱田めぐみ平原綾香がクリスティーヌ役で公演、2019年に再演されました

f:id:burizitto:20200513195125j:plain
ALWの「オペラ座の怪人」がすでに「完成された」ミュージカルで
ファンにとってファントムといったらALWのファントム
ミュージカル女子にとってファントムは、白い仮面に黒いマントをひるがえす
オペラ座の地下の宮殿に住む不幸で孤独なタキシード王子

その王子様がフォーサイスの文章ではこれでもかという汚男で
つば付きの帽子とマントに、穴のあいた布で覆った顔
リアル「エレファントマン」(1980)まんまの姿にされたら
そりゃあファントム・ファンは怒るよな(笑)

f:id:burizitto:20200513194927j:plain

【ここからネタバレあらすじ】


脱糞にまみれた見世物小屋の少年エリクはマダム・ジリーに助け出され
オペラ座の地下に隠れて住むことになり、オペラに精通
クリスティーヌ誘拐事件の後、マダムによってアメリカ行きの船に乗せられます
ニューヨークでは税関を逃れるため救命道具をつけて海に飛び込み
コニーアイランドがあるベイのビーチにたどり着きました

そこに集まっているアウト・カースト(不可触民=最も差別される人々)たちは
エリクの素顔に関心を示すことはなく、すぐに仲間に入れてくれました
エリクは彼らとともに魚の臓物(わた)抜きや片付けで
わずかな賃金を得るようになりますが、エリクは野心家でした

f:id:burizitto:20200513195151j:plain

カトリックの神父殺しでマルタから逃げてきたダリウスという青年を教育し
自分の代役として働いてもらうことにするのです
ダリウスが信仰し陶酔する唯一の存在が黄金の神、マモン
そのおかげで金を稼ぐために、彼ほど冷酷無情な人間はいませんでした

観光客相手の詐欺や、絵葉書の販売からはじまり
ヨーロッパから来たアミューズメントパークの設計技術者という触れ込みで
アトラクションの開発を手掛けたり(エリクには本当に才能があった)
賭けボクシングでは200万ドルという大金を得ます
(ダリウスがスポーツ記者になりすまし鎮痛剤入りドリンクにすり替えた)

f:id:burizitto:20200513195025j:plain

金貸しのペーパーカンパニーを作り、証券取引所の会員となり
エリクは複雑な株式市場のからくりを学び巨万の富を築きます
ニューヨークで最も高いタワーを建設しペントハウスを住まいにする
次にエリクがやるべきことは復讐を実現することでした

そんなときフランス人の弁護士が、マダム・ジリーからの手紙を
エリクに届けにやってきました
その時からエリクの様子が少しづつ変わっていき
マンハッタンに建設した世界最高峰のオペラハウスのこけらおとしに
子爵夫人で世界的大スターでもある歌姫クリスティーヌを呼ぶことにします

f:id:burizitto:20200513195231j:plain

エリクのやることは、復讐からふたつの目的に変わりました
ひとつはクリスティーヌに自分の作詞作曲した演目を演じてもらうこと
もうひとつは「息子」を引き取ることでした

ここで、エリクとクリスティーヌがヤッたのか
ヤラなかったのか、という議論になるわけですが(笑)
クリスティーヌのように男の前でか弱そうな女ほど実は野心家
エリクのほうが騙されていたのかも知れません(笑)

ALWの続編は、ラウルも傷を負った不完全な人間であり
エリクの子を宿していると知りながらクリスティーヌに求婚します
エリクは恋に破れましたが、クリスティーヌが歌手として
成功することをいちばんに望んでいました

f:id:burizitto:20200513195244j:plain

南北戦争を背景に(エリクがモデルの)非愛物語が公開され
クライマックスには息子のピエールも登場して夢の親子3人が共演
舞台は絶賛され大成功を収めます

エリクとクリスティーヌの最後の別れの時
ダリウスはエリクの全財産が息子ピエールに渡ることを恐れ
ピエールの暗殺を計画していました
ピエールをかばいダリウスの銃弾に倒れたクリスティー
ダリウスに向かいマントの下のデリンジャーを発砲するエリク

死ぬ間際、クリスティーヌはピエールに「ほんとうのパパはあの方よ」
「ごめんね、坊や」と言い残し目を閉じました
クリスティーヌの亡骸はラウルによってフランスに戻され埋葬されました

f:id:burizitto:20200513195307j:plain

その日以来、エリクがマスクを被ることはなく
ピエールはエリクとともにマンハッタンで暮らし、事業を継ぐという結末
息子が父親の跡を継ぎ更なる成功を収めるというのは
男にとって最高のハッピーエンドに違いありません

【ネタバレあらすじ終了】

 

これでは、ファントムとクリスティーヌの愛の復活
ラブ・ロマンスを期待して読んだ人の「がっかり」度が
いかに相当だったか想像がつきますね(笑)

フォーサイスはまず、ガストン・ルルーの原文を細かく読み込んで
(当時のオペラ座にまつわる噂話を書き込んだだけのようなもの)
矛盾をあぶり出し、物語に整合性をつけるため再構成してから
本作を書き上げたそうです

f:id:burizitto:20200513195518j:plain

私は、叶わない愛、辛い人生だけを送ってきたファントムが
息子との出会いで、醜い顔を気にすることがなくなり
穏やかな晩年を暮らしたという終わり方は、決して悪くないと思いました

フォーサイスらしいどんでん返しはないものの、供述形でサクッと読めますし
ジェフリー・アーチャーシドニィ・シェルダン的な
サクセス・ストーリーが好きな人には楽しめると思います

【淀川長治】続・私の映画の部屋(1976)

f:id:burizitto:20200512141533j:plain

1970年代にTBSラジオで毎週月曜日の午後8時から放送された
淀川長治/私の映画の部屋」の単行本化第二弾

【目次】
鬼才フェデリコ・フェリーニ
映画興行のうらおもて
ヒッチコック劇場
記録映画
映画の祭典アカデミー賞
ギャング映画
ハロー!バスター・キートン
映画のなかの食べ物
キャサリン・ヘプバーン
映画に出てくる動物たち
ビリー・ワイルダーはいたずら好き
日本映画の今昔

f:id:burizitto:20200512141558j:plain

とにかく淀川先生の語り口が上手すぎて(笑)
思わず引き込まれてしまい
紹介されている作品すべてを見たくなってしまいます

f:id:burizitto:20200512141621j:plain

映画評もさることながら、ここには淀川先生の「大好きなもの」
「愛」と「感動」が詰まってる
フェデリコ・フェリーニバスター・キートンキャサリン・ヘプバーン
ビリー・ワイルダーの話が出色ですが
意外にも邦画にもツウだったことに驚かされます

f:id:burizitto:20200512141639j:plain

その中でも私の見たことも聞いたこともない映画のなんて多いことか
これからの映画鑑賞のための覚書としてここに残したいと思います

 

記録映画からは、宮城まり子監督「ねむの木の詩」(1974)

f:id:burizitto:20200512141655j:plain

ギャング映画からは、フランチェスコ・ロージの「コーザ・ノストラ」(1973)
「真実の瞬間」(1963)「イタリア式奇蹟」(1967)
ウィリアム・ケイリー「Gメン」(1935)
ジョン・ミリアスデリンジャー」(1973)
W・S・ヴァン・ダイク「男の世界」(1934)

f:id:burizitto:20200512141711j:plain

バスター・キートンからは、淀川先生お気に入りの5作品
「セブン・チャンス」(1925)
「海底王キートン」(1924)「キートンの蒸気船」(1928)
キートンの探偵学入門」(1924)「恋愛三代記」(1923)

f:id:burizitto:20200512141725j:plain

映画のなかの食べ物からは、ルイ・マル「恋人たち」(1957)
サシャ・ギトリ「トランプ物語」(1936)
ジョン・ヒューストン「イグアナの夜」(1964)
E・A・デュポン「バリエテ」(1925)
ボー・ヴィーデルベリ「みじかくも美しく燃え」(1967)

f:id:burizitto:20200512141738j:plain

キャサリン・ヘプバーンがデビューした頃の作品はお恥ずかしながら
若草物語」(1933)くらいしか見ていないのですが(笑)
主演3本目でアカデミー賞主演女優賞
演技部門でオスカーを4回受賞したただひとりの俳優
最初から強気で、大物監督と組みド派手なデビューだったそうです
ジョージ・キューカー「愛の嗚咽](1932)
ドロシー・アーズナー「人生の高度計」(1933)
シドニー・ルメット「勝利の朝」(1933)
ジョージ・スティーブンス「乙女よ嘆くな」(1935)

f:id:burizitto:20200512141800j:plain

「女性No.1」(1942)で第二のパートナーとなるスペンサー・トレイシーと共演
「私、あなたより背が高いからお困りでしょ」というヘプバーンにトレイシーは
「心配しないでください、やってるうちに同じ背の高さになってみせます」
と答えたそうです
気の強い女は、余裕のある男に弱い(笑)

f:id:burizitto:20200512141815j:plain

そんな多くのヘプバーンの主演作のなかでも、淀川先生の隠れた名作は
ジョセフ・アンソニー「雨を降らす男」(1956)
ジョセフ・L・マンキーウィッツ「去年の夏突然に」(1956)
ヘプバーン円熟期の作品ですが全く知らない・・・(汗)

f:id:burizitto:20200512141842j:plain

映画に出てくる動物たちからは
ホール・バートレット「かもめのジョナサン」(1973)
マイク・ニコルズ「イルカの日」(1973)
フォルコ・クイリチ「チコと鮫」(1962)
スチュアート・ヘイスラー「僕の愛犬」(1940)
豊田四郎「猫と庄造と二人の女」(1956)

f:id:burizitto:20200512141856j:plain

かもめのジョナサン」は原作(リチャード・バック五木寛之訳)は
中学生の頃読んだのであらすじは記憶にありますが
かもめの調教はヒッチコックの「鳥」の調教師らが手がけたそうです
「チコと鮫」は手塚治虫氏の「ブラック・ジャック」に似た話がありました
天下の手塚先生もパク・・・オマージュをしていたんですね(笑)

f:id:burizitto:20200512141908j:plain

ビリー・ワイルダーは結構見ているほうだと思うのですが
気になるのはギャグニーの引退作品「ワン・ツー・スリー」(1961)
コカ・コーラ」のCMと思う展開にまさかのオチ
淀川先生がワイルダーを「いたずら好き」と例えるのもよくわかります

f:id:burizitto:20200512141924j:plain

日本映画の今昔から、未見な作品は
熊井啓「サンダカン八番娼婦・望郷」(1974)
栗原喜三郎「アマチュア倶楽部」(1920)
トーマス栗原「葛飾砂子(かつしかすなご)」(1920)
溝口健二狂恋の女師匠」(1926)「日本橋」(1929)
辻吉朗「槍供養」(1927)

f:id:burizitto:20200512141942j:plain

戦前の作品の多くが紛失してしまい、現在では見ることができないのが残念
公文書もだけれど、後世に残すべき大切なものを
日本人はなぜ簡単に破棄できるのだろう

f:id:burizitto:20200512141955j:plain

それはともかく(笑)
自分で見たい映画を選ぶとどうしても偏ってしまうのですが
このような解説本を読んだり、裏事情に触れたり
いろいろな映画ランキングを知ることによって
映画を見る視野がぐっと広がります

f:id:burizitto:20200512142033j:plain

本を読み終えて、改めて淀川長治先生のような魅力的な映画解説者が
映画の面白さを伝えてくれる人が、もういないことを寂しく思いました
それだけ語るべき映画が少なくなったのも事実なのだろうけれど

 

ワンダー君は太陽(2017)

f:id:burizitto:20200506091811j:plain

原題は「Wonder」
ワンダーは「不思議」や「驚き」という意味がありますが
ここでは「奇跡の子」ということ

トリーチャーコリンズ症候群とは、遺伝子の突然変異によって
頬や顎の骨が未発達、または欠損した状態で生まれ
耳の穴がなく聴力障害を伴うこともある5万人にひとりと言われる疾患
そのため健常者と同じような日常生活を送るために
何度も形成手術をする必要があるのです

f:id:burizitto:20200506091909j:plain

主人公のオギーは10歳の男の子
生まれた時から入退院を繰り返し、27回の手術を受け
小学5年生から初めて学校に通うことになります
当然クラスメートから差別やいじめを受けることになるのですが

そんなとき、親から子への強い励ましのメッセージや
正しい「教育」がいかに大切か、優れた教育者が必要かを教えてくれます
子どもを導くのは、やはりそばにいる大人しかいない
この映画には明日から使える「金言」が溢れています
特に印象に残っているのは

f:id:burizitto:20200506092124j:plain

「その人を知りたければ、することはただ一つ、よく見ること」
「正しいことと親切なこと、選ぶなら親切なことを」
「心の中がのぞけたら、みんなも普通じゃないと思う」
「オギーは見た目を変えられません、我々の見る目を変えなくては」

トリーチャーコリンズ症候群という病気を知るためにも
多くの人に見てほしい作品
小中学校で上映会をするのもいいと思います

【ここからネタバレあらすじ】

f:id:burizitto:20200506092137j:plain

オギー(ジェイコブ・トレンブレイ)は10歳の少年
いつも宇宙飛行士のヘルメットをかぶり、スター・ウォーズハロウィーンが好き
明るい性格で27回も顔の手術をした自分の出生を面白いものと語ります
いままで両親(オーウェン・ウィルソン)(ジュリア・ロバーツ)は
自宅で教育していましたが、容体が安定したこともあり
母親はオギーを小学5年から途中入学させる決意をします

オギーが学校見学する日、トゥシュマン校長先生(マンディ・パティンキン)は
優秀だという3人の生徒に、学校を案内させます
いかにも金持ちでお高いジュリアン
親切だけど貧乏な家のジャック
キッズモデルで自慢話ばかりのシャーロット

f:id:burizitto:20200506092150j:plain

ジュリアンに「顔はやけどが原因か?」とズバリと聞かれ
明るく対応するもののショックを隠せないオギー
両親は心配しますがオギーは学校に行く、と答えます

勇気を出してヘルメットをとり教室に向かうオギー
担任のブラウン先生はやさしく質問します
しかし生徒たちからは好奇の目で見られ、昼休みにはモンスター呼ばわり
ドッジボールでは標的にされてしまいます

f:id:burizitto:20200506092221j:plain

迎えに来た母親と家に帰り、夕食時には再びヘルメットをかぶるオギー
学校でのことを聞かれるとオギーは部屋へいってしまいます
心配でやってきた母親に「何故僕は醜いの?」と泣いて訴えるオギー
母親は「心は人の未来を示す地図で、顔は人の過去を示す地図」
「あなたは醜くない」と信念をもって教えます
そしてヘルメットがなくなってしまいました

f:id:burizitto:20200506092250j:plain

オギーの姉、ヴィアのナレーション
ヴィアは母親から「世界一手のかからない子」と言われてきました
母がオギーに手がかかるため、イラストレーターになる夢を諦めたのを
知っているヴィアは母親に甘えることが出来ず成長しました
オギーが太陽なら、私たちは彼の周りを回る惑星だと自分に言い聞かせます
いちばんの理解者だったおばあちゃんは他界し、もういない
しかも親友のミランダに夏休み中ずっと避けられ悩んでいました

f:id:burizitto:20200506092314j:plain

高校が始まり、ヴィアはひさびさにミランダに会いますが
彼女は髪の毛を染め、見違えるほど派手なメイクとファッションになっていて
同じように派手な新しい友達と去っていき、ヴィアは傷ついてしまいます
するとジャスティンという男の子が、一緒に演劇クラスに入ろうと誘ってきました
演技に自信のないヴィアは乗り気でありませんでしたが
明るく楽しいジャスティンと意気投合、結局演劇クラスに入ります

すると演劇クラブにはミランダも入部していました
ヴィアはジャスティンの勧めで主役のオーディションを受けますが
結局ミランダが主役で、ヴィアは代役という結果

f:id:burizitto:20200506092326j:plain

だけどジャスティンと付き合い始め、ヴィアは孤独を忘れるようになります
「ひとりっこ」と言う彼に、自分も「姉弟はいない」と嘘をついてしまう
嫌われるのを恐れ、弟が障害者であることを打ち明けられなかったのです
やがてジャスティンから真剣な想いを告げられたヴィアは
正直に弟がいることを打ち明け、彼を家に招くことにします
だけどヴィアの心配をよそに、ジャスティンオギーの外見を気にすることなく
オギーのジョークで打ち解けてふたりは親友になりました

f:id:burizitto:20200506092343j:plain

ミランダのナレーション
ヴィアとジャスティンの交際を知ったミランダはオギーに電話します
オギーはミランダからの電話を歓び、学校に通い始めたことを知らせます
宇宙飛行士になるのが夢だったオギーにNASA仕様のヘルメットの
プレゼントをしたのは実はミランダだったのです
ヴィアとと幼馴染のミランダにとって、オギーは実の弟のような存在でした
オギーはなぜヴィアと喧嘩したかミランダに尋ねますが答えることができません
オギーとミランダは「また電話」することを約束します

f:id:burizitto:20200506092401j:plain

ミランダの両親は離婚しており、ミランダは母親と暮らしていましたが
父が再婚したせいで母は立ち直れず落ち込んでばかりいるので
ミランダは夏休み中サマーキャンプに参加することにしました
そこで別人になりきる「ごっこ遊び」で、ミランダはヴィアになりきり
「顔が変形した弟がいる」という不幸な物語でキャンプの人気者になってしまいます
そのことを打ち明けられない後ろめたさで、ヴィアを避けていたのです

f:id:burizitto:20200506092415j:plain

オギーは相変わらず学校で浮いた存在でしたが
大好きなチューバッカが現れてくれるという想像で乗り切っていたある日
オギーは得意の理科で難問を解き、クラスメイトを驚かせます
理科のテストの時には、答えがわからず悩んでいる隣の席のジャックに
(家が貧しいので成績が悪いと退学になると思われる)
回答用紙を見せたのをきかっけに、ジャックはオギーが面白い奴だと気づきます
放課後を一緒に過ごしたり、家に招いてスター・ウォーズごっこしたり
学校でも人目を気にせずふざけあう仲になりました

f:id:burizitto:20200506092428j:plain

秋になりオギーが毎年楽しみにしているハロウィンが近づきます
ハロウィンは仮装で顔を気にする必要がないからです
なのにジャックと約束していたゾンビの衣装を
(飼い犬の)デイジーが遊んでボロボロにしてしまいました
しかたがなくオギーは「スクリーム」の衣装で学校に向かい
ワクワクしながら教室に入るとそこには

ジュリアンにオギーの悪口を言いながら笑うジャックがいました
それでもオギーと親しくする理由をジュリアンに聞かれると
ジャックは「校長に頼まれたから」と答えます

f:id:burizitto:20200506092609j:plain

体調を崩したオギーは、そのまま家に帰り
ハロウィンパーティには行かないと言い出しました
ヴィアが心配して近づくと「触ると病気がうつる」と泣きだします
ヴィアは自分もミランダに避けられていることを告白し
友情には変化が起こるのだと説明します
そしてオギーに一緒にお菓子をもらいにいこうと誘います

ジャックのナレーション
オギーに無視されるようになったジャックは、理由がわからず困惑していました
オギーの学校見学の日、ジャックは母親からオギーがどういう病気なのか
不幸なのか説明され、やさしくするように頼まれたのでしかたなく従いました
今はもうオギーの外見はきにしないし、頭の良さを尊敬してる
なによりオギーのことが好きで、親友に戻りたい

f:id:burizitto:20200506092531j:plain

オギーはいつもどおり「ペスト菌が移る」と陰口を言われていました
そんな悪口ばかりのクラスメイトに、いいかげん呆れたサマーは
ひとりランチを食べるオギーの席に行き、一緒にランチすることにします
「校長先生から自分と仲良くするようにといわれたのか?」と聞くと「違う」
「触ると病気がうつるぞ」と言われると、サマーはオギーに握手を求めます

サマーは聡明で、誰よりも信念の強い女の子でした
(たぶん黒人であることから)誰より頭のいいオギーが
見た目で差別を受け続けることが許せませんでした
オギーは裏表がなく正直で明るいサマーを誰より信頼するようになります
そしてサマーに、誰にも言わないという条件で
ジャックを無視している秘密を打ち明けるのでした

f:id:burizitto:20200506092516p:plain

冬休みが明け、ジャックはサマーにオギーに無視される理由を相談します
ジャックが本当にオギーと仲直りしたがってると悟ったサマーは
悩んだ末「ゴーストフェイスとしか言えない」と答えます

ハロウィンの日、ゴーストフェイスがいたことを思い出したジャック
ジャックはオギーを傷つけたことをひどく反省し、
ジュリアンから誘われていた理科研究大会の発表を断り、オギーと組むと宣言します
「ゾンビ」と組むのかと嘲笑されたジャックは、ジュリアンを殴ってしまいました

f:id:burizitto:20200506092659j:plain

ジャックは2日間の停学処分になり、校長に謝罪文を送りますが
「たとえ退学になっても、殴った理由は言わない」とありました
校長は「人を殴ってはいけないが、親友は守るべきものだ」と返事を書き
ジャックを責めることはしませんでした

一方ヴィアは舞台発表を隠していたのがばれ、母親は大喧嘩なります
代役だし、オギーには難しいだろうと母親が観劇をためらっていると
オギーは母親を叱り、ヴィアはオギーに劇を見てほしい頼みます
そんな時、長年一緒に暮らしてきたデイジーが天国へ旅立ってしまいます
デイジーの死で、母親は家族はひとつであるべきだと悟り
たとえヴィアが出演しなくても、発表には家族揃って行くことにします

f:id:burizitto:20200506092713j:plain

ミランダは舞台の裾から、ヴィアの家族が全員来ているのに
自分の家族がひとりもいないことを寂しく思いました
突然ミランダは体調が悪いと監督に訴え、ヴィアに代役を頼みたいと申し出ます
思いがけずヴィアの主演を見ることができたオギーと両親は喜び
ミランダはヴィアの素晴らしい演技を見届け、これで良かったと幸せを感じます
舞台が終わるとヴィアと母親は抱き合いました

ジャックはオギーに謝罪し、理科研究大会の制作を一緒にしたいと頼みます
デイジーを失ったことで、親友のありがたさを痛感していたオギーは
勇気を持ってジャックと仲直りします
そしてジュリアンたちを見返そうと結束しました

f:id:burizitto:20200506092759j:plain

ふたりは巨大なカメラ・オブスクラ(写真の原理による投影像を得る装置)を作り
生徒たちからは大好評、見事大賞にも輝きました
それからというもの、オギーは学校の人気者になるのですが

大会で負けた悔しさと嫉妬から、ジュリアンはオギーに対して
さらに激しい虐めと嫌がらせをするようになります
オギーは我慢していましたが、ある日オギーだけが(加工され)写っていない
悪口の書かれたクラスの集合写真がロッカーに貼られていました
それが偶然、担任のブラウン先生に見つかってしまい

校長先生はジュリアンの両親を呼び、いじめを非難し停学処分を下しますが
ジュリアンの家は名士の資産家、両親に全く反省の色はなく一方的に学校を非難し
友だちがいるから残りたいというジュリアンの意見も聞かず自主退学させます

f:id:burizitto:20200506092826j:plain

オギーは年度末の野外学校に参加することにしました
映画の上映中、オギーとジャックは抜け出し森で遊んでいると
他校の上級生たちが現れオギーの顔を馬鹿にして絡んできました
そしてジャックを押し倒すと、体の小さなオギーに暴行をはじめます

もうだめだと思った瞬間、心配したクラスメイトが駆け付けてくれました
そこにはかってジュリアンの取り巻きだった男の子たちもいました
そしてみんなで力を合わせ上級生たちを撃退したのです
オギーはみんなの勇気ある友情の証に涙が溢れていました

f:id:burizitto:20200506092849p:plain

オギーが野外学校中で、ヴィアもデートに出掛けた日
両親は久々に2人だけの時間を過ごしていました
そこでオギーが学校へ通い始めたことで時間のできた母親は
出産で諦めていた修士論文を書き上げたと夫に報告します

修了式の朝がやってきました
父親はオギーの1年間の努力を労い、ヘルメットを隠したのは自分だと告白します
でももうオギーにヘルメットは必要ありません
母親はオギーを「奇跡の子」と呼びました

修了式では、模範となる最も優秀な生徒に贈られるヘンリー・ビーチャー賞に
なんとオギーが選ばれ、スタンディングオベーションで祝福されました
そのときオギーはブラウン先生が教えてくれた言葉を思い出していました

「人を労われ、相手も戦っている
 相手を知りたかったら、やることは1つ、よく見ること」


【ネタバレあらすじ終了】

 

f:id:burizitto:20200506092916j:plain

家族の絆と、10代の硝子の心と友情を爽やかに描いた感動作

しかもこの作品のすごいところは、障害を持って生まれたオギーだけでなく
その家族や友人、いじめっこ、先生、そしてその他大勢の人間
それぞれにスポットを当てていること
誰が見ても共感できる人物が、きっといるはず

とくにオギーの姉ヴィアの描写が丁寧で、
長男長女にはあるあるな部分が多いのではないかと思います
ミランダやジュリアンにも、それぞれの家庭環境があり
気持ちの弱さから、仲間意識が強くなり意地悪や虐めに走ってしまう
寂しいから注目されたいという気持ちもあるでしょう

強くて頼もしい母親だって、決して聖母ではないんですね
障害をもつ子どもを産んだ苦悩と苦労、育児への自己犠牲
ときには夫や子どもと激しくぶつかりあうときもある

オギーはこれから先も、何千と言う差別を乗り越えていかなければならないし
就職や結婚という人生の節目にも、きっと見えない敵と戦かわないといけない

それでも、私たちがこのような病気があることを
知ってるのと、知らないのでは大きな違い
映画を通じて、より多くの人に正しい知識と障碍者への理解が
芽生えてくれることを願わずにはいられませんでした

 

 

【解説】allcinemaより
R・J・パラシオの全米ベストセラー『ワンダー』を「ルーム」のジェイコブ・トレンブレイ主演で映画化した感動ドラマ。顔に障害のある男の子が、10歳で初めて学校に通い、イジメや偏見にさらされながらも、家族の深い愛情と勇気に支えられて、少しずつ困難を乗り越えクラスメイトと友情を築いていく姿を描く。共演にジュリア・ロバーツオーウェン・ウィルソン。監督は「ウォールフラワー」のスティーヴン・チョボスキー。r> 顔に障害を抱え、27回も手術を受けている10歳の少年、オギー。一度も学校へ通わず、ずっと自宅学習を続けてきたが、母のイザベルは心配する夫の反対を押し切り、5年生の新学期から学校に通わせることを決意する。しかし案の定、学校ではイジメに遭い、孤立してしまうオギーだったが…。

キングコング(2005)

f:id:burizitto:20200504192807j:plain

原題も「King Kong」
これ一本でキングコング三部作(笑)
ドラマ編、ジェラシック・パーク編
中途半端に優しい振りをする女は、自覚なく相手を傷つける編

意外と評価が高いのには驚き
確かに特撮は完成型と言っても過言でないくらいCGが羅列する迫力の映像
ノンストップアクションものが好きな人にはたまらないと思います

f:id:burizitto:20200504192823j:plain

ナオミ・ワッツがジャングルの中を裸足で駆け巡ったり
真冬のニューヨークで露出の激しいドレス一枚でコングとスケートする
(コングが死ぬ前に凍死するorコングの重さで氷が割れて溺死する)
というツッコミはおいといて(笑)

ジャック・ブラックのクソ監督はいいのですが、とにかく人が死ぬ
コングに谷に突き落とされた学者や乗組員は巨大な虫や食虫植物に
コックはミミズもどきに殺されてしまう(原住民はどこに消えた? 笑)
ニューヨークでコングは金髪女を見れば美女かと思い、そうでなければ殺す
罪のない人間をCGで処理して大量に殺すのはいささか軽薄に思えて

f:id:burizitto:20200504192844j:plain

美女に翻弄されるコングは確かにお気の毒なんだけど
人を殺し過ぎたせいで、同情できない立場に追い詰められてしまった
コングには虐げられても、虐げられても、好きな女性のために犠牲になる
遠くから連れ去られ故郷を思い出し涙するそんなコングでいてほしかった

これじゃあ気に入ったメスを手に入れるため、本能のまま戦う野生のオスザル
野生のオスのような男にも魅力はあるでしょうが(笑)
私はもう少しコングに「知性」をもたせてほしかった

【ここからネタバレあらすじ】

f:id:burizitto:20200504192904j:plain

映画監督のカール・デナム(ジャック・ブラック)は
自分が企画したどの映画も失敗し映画会社から見放されていましたが
「骸骨島」の地図を手に入れ、その島で撮影をすれば成功すると確信していました

そんな時、劇場が経営困難に陥り追い出されてしまった女優の
アン・ダロウ(ナオミ・ワッツ)を見つけます
予算の関係でヒロインのドレスは4号ワンサイズのみ
カールは4号サイズのアンに「君にしか出来ない役だと」声をかけます
さすがに疑うアン、だけど仕事もお金もない
しかしジャック・ドリスコル(エイドリアン・ブロディ)の脚本と知らされ
撮影に参加する事します

f:id:burizitto:20200504192920j:plain

カールは映画会社の船に乗り込み、脚本が出来ていないというジャックを留まらせ
船長に急いで地図にある「骸骨島」に出航するよう命令します
ジャックは船の中で脚本を書き、船上では撮影が始ました
ジャックとアンは出会いすぐに恋に落ちてしまいます

数日後、荒波に揉まれた船は霧の中で岩に衝突してしまいます
船に海水が入り込み、乗組員達が修復に励んでいるとき
カールはカメラクルーを連れ、ジャックとアンと共演者のブルースを乗せた
小舟で島へと向かいます

f:id:burizitto:20200504192945j:plain

島には高い塀でできた遺跡があり、頭蓋骨が飾られミイラが転がっていました
カールは無人島だと思いましたが、原住民が現れアンを連れ去ります
原住民たちは塀の向こうに住む神獣を恐れ、神獣怒りを抑えるために
生贄の女性を探していたのです

出航の準備をする船長は、アンを残して行くことができず
映画を諦めきれないカールは、乗組員たちを連れアンの救出に向かいます
その頃アンは生贄に捧げられる儀式のさ中で、儀式の太鼓の音が鳴りやむと
「トレ・コング」と呼ばれる巨大なゴリラが現れアンを捕まえ去っていきました
その様子をカメラに収めるカール

f:id:burizitto:20200504192956j:plain

コングからアンを救出する為、武器を持って森に向かう乗組員たちとカメラクルー
森の中には恐竜がいて乗組員たちに襲いかかり殺していきます
生き延びた乗組員たちは船に戻ろうとしますが、骸骨島に憑りつかれたカールは
映画を完成したら、その収益を死んだ乗組員に寄付すると撮影を続けます

そこにコングが現れ、逃げ惑う乗組員たちを深い谷底へと落とします
カールのカメラは谷底で壊れ、フィルムはダメになってしまいました
そこにたくさんの巨大で不気味な虫が突然湧いてきて乗組員たちを遅い
残った乗組員は人食い植物に食べられてしまう

f:id:burizitto:20200504193014j:plain

カールがもうダメだと思った瞬間、駆け付けた船長たちによって助けられます
船に戻ったカールは、船に大量に積んであるクロロフォルムを使い
コングを生け捕りにしようと作戦を立てます(クロロフォルムを積んでいた謎)

f:id:burizitto:20200504193031j:plain

その頃アンは、コングの手のひらの中で気を失っていました
目を覚まし、コングが目を離した隙に逃げ出そうとしますが
すぐに見つかりコングを怒らせてしまいます
アンはコングを鎮めようと、アドリブでパフォーマンスを披露しました
コングはアンのダンスを喜び、アンもコングは怖くないのだと感じます
それからコングはアンを残しどこかに行ってしまいました

f:id:burizitto:20200504193101j:plain

ひとりになったアンはジャックを探そうと森に向かいます
そこで恐竜に追われ木の穴に逃げ込みますが、恐竜は諦めません
しばらくすると恐竜が何者かに倒され、アンが安心したのもつかの間
巨大ムカデがやってきて、思わず穴から外へ飛び出すと
そこにいたのは先ほどの恐竜より、もっと巨大な三頭の肉食恐竜でした

f:id:burizitto:20200504193128j:plain

恐竜からアンが必死に逃げていると、目の前に現れたコングが
アンを守りながら、恐竜たちと闘い勝利します
アンはコングと森の上にある丘の住処に戻り、ふたりで美しい夕陽を眺めます
アンはコングにも美しいものがわかるのだと感じました

f:id:burizitto:20200504193141j:plain

ジャックはアンを救うため、単身で森の中を進んでいました
丘の上にいるアンを見つけ、コングが眠っている間にアン救出します
朝目覚めるとアンがいないことに気づいたコングは、アンを探しにやってきます
ジャックとアンが塀の向こうに逃げ込むと、コングは塀を突き破ります
そこにはすでにコングを捕獲するための罠が仕掛けられていました
掘られた穴に足をとられ倒れたコングは、大量のクロロフォルムを嗅がされ
縄で縛られ船に積まれニューヨークに運ばれました

f:id:burizitto:20200504193151j:plain

ニューヨークでは、見世物小屋で「世界の8番目の不思議、キングコング」として
鋼鉄の鎖で手足を固定され、つながれていました
そこでうなだれたまま動かないコングに見物客がクレームをつけると
小屋ではロープに縛られた金髪の美女がコングの前に現れるという演出をします
それを見ていたジャックはアンを使わない理由を関係者に尋ねると
「アンはオファーを断った」と告げられます

f:id:burizitto:20200504193207j:plain

そのとき金髪美女がアンでないこと気づいたにコングは怒り、暴れ出します
危険を感じたジャックは「逃げろ」と叫びますが、見物客は興奮し大喝采
コングが鎖に繋がれているからと安心して動こうとしません
しかしコングは鋼鉄の鎖をちぎり、人々をなぎ倒して逃げていきました
街を破壊し、人々に襲いかかり、金髪女性を探し出しては顔を確認
アンでないとわかった瞬間投げ飛ばしていく

f:id:burizitto:20200504193220j:plain

一方のアンは、再び小さな劇場でショーに出演していました
そこでコングが逃げたという知らせを受けたアンは、劇場を飛び出します
暴れるコングを見つけ、やさしくコングに話しかける
アンと再会したコングは落ち着きを取り戻し、池に張った氷の上でおしりスケート
そんな楽しいひと時を過ごしている間、国防省が動き出し軍隊が出動
コングを殺すため戦闘機が飛び立ちます

f:id:burizitto:20200504193242j:plain

攻撃を受けたコングはアンを連れてエンパイアステートビルの展望台に登ります
ちょうど朝日が昇り、骸骨島で見た美しい夕日を思い出すアンとコング
そこに戦闘機がやってきて、コングはアンを安全な場所へ移動します
ビルの頂上に登り王者の雄叫びを上げ、次々と戦闘機を墜落させますが
コングを心配したアンが頂上まで登ってきてしまう(ばかだ)
コングはアンを助けようとして、激しく戦闘機から銃弾を浴びてしまいます
その時ジャックがアンを助けにやってきて来て、ふたりは抱き合い
コングは力尽きて地上へと落下していきました

f:id:burizitto:20200504193254j:plain

コングの亡骸の前に記者やが野次馬が集まり、記念撮影をする人々
そこで警官たちが「どうして逃げ場のないビルになんかに登ったのだろう?」
「獣のする事さ意味はない、飛行機のおかげで始末出来た」と話すのを
聞いたカールは「違う、美女が野獣を殺したのさ」と答えたのでした


【ネタバレあらすじ終了】

 

アンが(自分を守るために死んだ)キングコングの亡骸に泣きつきでもすれば
少しは気が収まるのだが(笑)
後から来た役立たずの男と抱き合って、ハッピーエンドというのはいかがなものか

そしてカールの決め台詞「美女が野獣を殺したのさ」
いやいや、骸骨島からコング連れてきたのアンタだから(笑)

f:id:burizitto:20200504193324j:plain

ピーター・ジャクソンの「コング撮りたかった愛」は伝わるものの
その割にはコングの味方は誰ひとりいませんでした

 

 

【解説】allcinemaより
33年製作のSF映画の金字塔「キング・コング」を、最新のテクノロジーを駆使し、空前のスケールでリメイクしたアドベンチャー超大作。「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのピーター・ジャクソン監督が長年夢みてきた悲願のプロジェクトが「ロード~」の大成功を受けついに実現。ヒロインには「21グラム」のナオミ・ワッツ。共演に「戦場のピアニスト」のエイドリアン・ブロディと「スクール・オブ・ロック」のジャック・ブラック
 1930年代初頭のニューヨーク。野心家で大胆不敵な映画監督カール・デナムは、かつてない冒険映画を撮ろうと、誠実な脚本家ジャック・ドリスコルと美しい女優アン・ダロウを加えた撮影クルーを率い危険な航海に乗り出す。そして、ついに幻の孤島“髑髏島(スカル・アイランド)”へと辿り着いた一行。カールはさっそく撮影を開始するが、やがてアンが原住民にさらわれてしまう。救出に向かったクルーたちだったが、彼らはそこで想像を絶する世界を目の当たりにするのだった…

メン・イン・キャット(2016)

f:id:burizitto:20200502181110j:plain

原題は「NINE LIVES」(9つの命)
英語のことわざ「A cat has nine lives」から
(猫は九つ命をもっている=なかなか死なない)

邦題は監督が「メン・イン・ブラック」(1997)のバリー・ソネンフェルドなので
安易につけられたものだち思います(ばかだ)

仕事ばかりで家族をかえりみない猫嫌いの父親の魂が
娘の誕生日プレゼントにねだられた猫と入れ替わってしまい
その間会社乗っ取りの陰謀に巻き込まれ、家族の深い愛情に気づくというもの

f:id:burizitto:20200502181141j:plain

娘役を演じたマリーナ・ワイスマンが
子役時代のクロエ・グレース・モレッツに似ていて超超超可愛い!
猫の動きはいかにもCGですが、モフモフの毛長の靴下猫で可愛い
ケヴィン・スペイシーはトップクレジットだけど、ほとんど声の出演(笑)
最近のクリストファー・ウォーケンはこういう怪しい
魔法使いみたいな役がぴったり(笑)

あとはとにかく87分という短めの尺なので見やすいし
アメリカのコメディ映画によくある下ネタギャグ連発がないのもいい
(それもそのはず、フランスと中国資本でした)

f:id:burizitto:20200502181155j:plain

ただシビアなところもあるので、すっきり感は抑えめ
せめて喧嘩した友達と最後に仲直りしてくれたらハッピーになれたのに
(でも実際女同志の絆は、いくら幼くても一度切れたら終わりよね)

でも娘がいるパパが見たら、間違いなくヒロインにメロメロ
そして、こんな娘がいたら猫になっていいと思うはず(笑)

【ここからネタバレあらすじ】

f:id:burizitto:20200502181207j:plain

飛行機からスカイダイビングしようとする男が
次は戦闘機を用意しろと無理難題を若い男に命令し宙に舞います
男はニューヨークにあるファイヤー・ブランド社のワンマン社長
トム・ブランド(ケヴィン・スペイシー)で若い男は前妻との間の長男で
建設中の新ビルの設計部に所属するデヴィッド(ロビー・アメル)でした

トムが会社に戻ると相談役のイアン・コックス(マーク・コンスエロス)が
重役を集め株式公開しようと提案しています
トムは新ビルを北半球で一番の高さにすることに躍起になっていて
長年の収益をタワーに費やしたため、一部の重役たちから反感を買っていたのです

f:id:burizitto:20200502181221j:plain

ところがある日、パラゴン・タワーという新ビルが
ファイヤー・ブランド・タワーよりも18m高く建設されることがわかります
デヴィッドは父親のために、完成まじかのファイヤー・ブランド・タワーを
北半球で一番の高さにしようと試行錯誤していました
しかしイアンにとっては、新ビルの高さなんてどうでもいいこと
会社の実権を握り株式公開して役員報酬を増やすことが目的です

そんなときトムの娘、レベッカの11歳の誕生日が近付いていました
レベッカは仕事で忙しく、めったに会えない父親のことが大好き
父親の登場するテレビのニュース画面をネットで何度も繰り返して見るほどです
レベッカの誕生日をすっかり忘れていたトムは
妻のララ(ジェニファー・ガーナー)からパーティに出るよう釘を刺されます

f:id:burizitto:20200502181236j:plain

トムがレベッカにプレゼントの希望を聞くと、「猫」と答えました
レベッカは去年も猫が欲しいと言いましたが
猫嫌いのトムはごまかして違うプレゼントを選びました
今年はどうごまかそうと、「田代島」旅行にすればいいとか
デヴィッドに相談すると「猫をプレゼントするべきです」と断言され

しぶしぶ帰宅途中パーキンス・ペットショップに向かいました
店に到着すると1匹の毛足の長い猫が立ちはだかり
店主のパーキンス(クリストファー・ウォーケン)は
「人が猫を選ぶのではない、猫が人を選ぶのだ」と、トムに引き渡します
トムが選んだ猫皿には「ミスター・ファジーパンツ(もこもこパンツ)」と
いう名が書かれ、猫用トイレと一緒に購入しました

f:id:burizitto:20200502181251p:plain

その時トムのスマホが鳴りパーキンスは「電話には出るなパーティーに行け」と
忠告されますがトムは電話に出、 イアンに新ビルの屋上へ呼び出されます
ファイヤー・ブランド・タワーより高いビルができると知ったトムは
イアンに激怒しクビを告げますが

その時、新ビルのアンテナに雷が落ちトムと猫は飛ばされ
ビルから落ちそうになると、イアンはトムを猫を見捨てます
落下したトムと猫は、棒にぶつかったおかげでガラスを破りビル内に落ち
命は助かりますが、気が付くとトムは意識は猫に入り
トムの身体は意識不明の重態で病院のベッドに横たわっていました

f:id:burizitto:20200502181304j:plain

妻のララとレベッカは猫を家に連れて帰り
レベッカは猫が子猫でないことに戸惑いますが
「もこもこパンツ」が家にやってきたことを喜びます

トムは猫が自分であることを知らせるために、あの手この手を考えます
文字を書こうとしてもペンが持てない、iPad肉球に反応しない
アルファベットのマグネットで作った「I am TOM」に気づいてくれない
IDカードを見せても「遊んでほしいのね」のひとこと
やけになったトムは高級スコッチを灰皿についでやけ酒します

f:id:burizitto:20200502181318j:plain

翌朝、二日酔いの猫と空いたスコッチの瓶を見て、ララは不思議に思います
毛糸の糸で「TOM」を作ったら、前妻のマディソンと娘が連れて来た犬に
ぐじゃぐじゃにされました
前妻のマディソンはトムの悪口を散々言い、ララにジョシュという男の話をします
頭にきたトムはマディソンの高級バックにおしっこをしました

猫の餌を食べず、猫用トイレも使わないトムにララが困っていると
トムがボロボロにした電話帳の切れ端から
パーキンスのペットショップの広告を見つけ、ララはパーキンスに連絡をします

f:id:burizitto:20200502181340j:plain

トムがパーキンスに「ララにトムだと伝えろ」と言うと
パーキンスは「なぜ猫になったか自問し続けろ」と
元の体に戻るにはタイムリミットがあり、それを過ぎると残りの人生は猫のままで
そのためには猫らしくするのが最良の方法だと答えます
そしてララには「去勢していないから暴れるんです」
もしまた暴れるようなことがあったら「私が去勢がします」と伝え帰りました
渋々猫の餌を食べ、猫用トイレで用を足すトム

ララにジョシュという男から連絡が入り、ララが外出しようとしたので
トムはララのバックの中から車の鍵をくわえて逃げ、阻止しようとします
しかしララに「去勢」と言われ、トムは鍵を渡し
トムがこの猫を選んだのは自分とそっくりだからだわ、と言われます

f:id:burizitto:20200502181356p:plain

しょうがないので窓から飛び降り、ララの車に忍び込んだトム
ジョシュの待つ家に到着すると、トムは嫉妬のあまり車から飛び出し驚くララ
ジョシュは不動産会社の人間で、ララは離婚を考えて家を買おうとしていました
しかしトムが意識不明の重症になり、愛していることに気づいた
とても家を買う気になれないとジョシュに告げます

f:id:burizitto:20200502181413p:plain

家ではレベッカが、幼いレベッカとトムがダンスする動画を見て泣いていました
レベッカにこんなに愛されていることを知ったトム
たとえ猫の姿でも最高のパパになろうと誓います
涙を流すレベッカをマディソンの娘が写真に撮りSNSにアップします
レベッカは怒りますが、彼女は「泣く姿は男子にモテる」と反省しません
「ママ同士が友達なだけで、友達じゃない」とその子と絶交してしまいます
哀しむレベッカをトムは風船で遊んで励まします

f:id:burizitto:20200502181430j:plain

その頃会社では、イアンが証券会社を呼び
会社を売却するための重役会を行っていました
それを知ったデヴィッドは反対しますが、イアンは相手にしません

デヴィッドはララに相談し、トムはイアンの悪事に気付きます
トムは自分に何かあった時、会社をデヴィッドに譲ると「定款」を残していました
しかしその「定款」をイアンはシュレッダーにかけてしまいます
デヴィッドのリュックに忍び込んで会社にやってきたトムは
シュレッダーを倒しデヴィッドにそのことを伝えます

f:id:burizitto:20200502181442j:plain

デヴィッドは母親マディソンのところに行き、「定款」がないか調べます
マディソンがトムと結婚していた頃はトムは航空会社の経営で忙しく
仕事ばかりだった愚痴りますが、離婚するときは慰謝料として
会社の経営権すべて渡してくれたこと
今の「ファイヤー・ブランド」という会社名はデヴィッドが子どもの頃書いた
イラストから付けられたことをデヴィッドは教えられます
「彼なりの愛情表現だったのね」というマディソンの言葉に
なんとか父親の新ビルを北米一の高さにしようと決意します
そこでデヴィッドは重役たちの前で、ビルの高さを北米一にできる
設計図を提示しますが、またもやイアンに追い払われてしまいます

f:id:burizitto:20200502181457j:plain

そしてファイヤー・ブランド・タワーの落成式の日
イアンは何とかトムの延命措置を取り外そうと担当医に相談していました
一方もこもこパンツがパパではないかと疑いを持ったレベッカ
猫を連れてパーキンス・ペットショップに向かいます
彼が家に来た時、パーキンスが猫と話しているように思えたからです
そこでもこもこパンツは、昔レベッカがパパと踊ったダンスを披露します
もこもこパンツはパパだと確信したレベッカ
ダンスを見せればママも猫がパパだと信じてくれると思い病院に向かいます

f:id:burizitto:20200502181516j:plain

その時、トムは脳死状態に陥ってしまいました
病院に駆けつけたデヴィッドは、トムの背広から新ビルの入館証を発見し
トムからもらったパラシュートを掴み新ビルに向かいます
病院に到着したもこもこパンツはデヴィッドを追いかけようとしますが

そこではララが医師と呼吸器を止める相談をしていました
ダンスを見てララがトムだと信じれば、 トムの命は助かるかも知れない
しかしトムはデヴィッドを助けるため病室を飛び出しました
パーキンスの力を借りて新ビルに侵入したトムは、屋上に向かい
デヴィッドに続きビルから飛び降り、パラシュートの紐を引くタイミングを教えます
無事パラシュートは開き、地上に降りたトムは記者会見のマスコミに囲まれ
ファイヤー・ブランド社の売却はありえないと宣言します

f:id:burizitto:20200502181542j:plain

トムはデヴィッドを誇りに思い、地面に叩きつけられる瞬間光に包まれ
病室のトムの意識が戻り、ララとレベッカ歓喜しました

イアンは売却の計画を続行しようと、急ぎ足で歩きスマホしていました
パーキンスの「危険だから電話を切ったほうがいい」という警告を無視し
イアンは車に轢かれ救急車で運ばれ
気が付いた時、意識は1匹の猫の体に入っていました

回復したトムはレベッカとパーキンス・ペットショップを訪ねます
猫を欲しがるレベッカにパーキンスが渡したのはもこもこパンツでした
もこもこパンツとの再会に大喜びするレベッカ

パーキンスは9回目の命をスタートさせたもこもこパンツを
「最後の命を君のところで過ごしたがっている」と
もこもこパンツをトムとレベッカに託したのでした

f:id:burizitto:20200502181606j:plain

【ネタバレあらすじ終了】

 

この映画が酷評を受けたのは、公開後たまたま
ケヴィン・スベイシーのスキャンダルと重なったことが大きな要因で
そこまで酷い映画ではありません

親子で楽しむというより、10代のお子さんのいる
今一番仕事が仕事が忙しい年代の、パパやママが見るのにおすすめ
子どもって、親のことをこんなに愛しているんだと
猫から目線で知ることができるのです

f:id:burizitto:20200502181632j:plain

子どもが幼い時はほんの一瞬、いつまで続くかわからない長い長いGW
お子さんのいるご家庭では楽しい親子関係を築いて欲しいと思います

 

 

【解説】allcinemaより
ユージュアル・サスペクツ」「アメリカン・ビューティー」のケヴィン・スペイシーがペットの猫と心が入れ替わってしまったワンマン社長を演じるコメディ。猫になってしまった主人公が、そうとは知らない家族や会社乗っ取りを目論む社員相手にドタバタ大騒動を繰り広げるさまをコミカルに描く。共演はジェニファー・ガーナークリストファー・ウォーケン。監督は「メン・イン・ブラック」シリーズのバリー・ソネンフェルド。r> 仕事一筋で傲慢な大企業の社長トム・ブランドは、“北半球一高いビル”の建設にご執心。そんな中、
忘れていた娘の誕生日プレゼントに猫をあげることにしたトム。怪しげなペットショップで“Mr.もこもこパンツ”と名付けられた猫を購入するが、その帰り道にひょんなことから猫と一緒にビルの屋上から転落してしまう。すると、その拍子にトムと猫が入れ替わってしまうのだった。意識の戻らないトムは入院を余儀なくされるが、トムの意識が入ってしまった猫のほうは幸いにも無傷で、そのままペットとして家族に迎えられる。妻や娘に自分であることを伝えられず悪戦苦闘する猫のトム。一方会社でも、乗っ取りを企む社員の計画が着々と進行していくのだったが…。

双頭の鷲(1947)

 

f:id:burizitto:20200429131825j:plain


「僕はあなたを幸せにすることはできない」
「しかし僕らは紋章にある双頭の鷲になれる」

原題も「L' AIGLE A DEUX TETES」(双頭の鷲)
三島由紀夫が絶賛したというこの作品
1898年に起きたエリザベート(オーストリア皇后)暗殺事件をヒントに
ジャン・コクトーが愛人ジャン・マレーのために書き上げた戯曲の映画化
どんな役がやりたいかという問いにジャン・マレー
「1幕は沈黙、2幕は饒舌、3幕目は階段落ち」と答えたそうです

f:id:burizitto:20200429131850j:plain

舞台はフランス共和国が管理するヴィジル城
城内の装飾から王妃の衣装、端役の身のこなしまでが本物のようで違和感なく
コクトーの美学を感じ取れます
際立ったのは王妃役のエドウィジュ・フィエールの迫力ある演技力
国王を亡くし国を治める美貌の王妃と、そそのかされて王妃の刺客にされた男
身分の違うふたりに、崇高に気高く、詩的に美しく、死を匂わせる愛が生まれ
一筋縄に行かない悲しい結末が訪れるのです

【ここからネタバレあらすじ】

f:id:burizitto:20200429131904j:plain

19世紀末のヨーロッパのある国で、黒いヴェールを覆り続る王妃がいました
太后から派遣された朗読係のエディス嬢だけが王妃の素顔を見れるひとり
王妃は皇太后との権力争いから逃れるためクランツ城に避難しますが
太后の僕の警察大臣フォーン伯爵やスパイたちに囲まれ誰も信じれません

国王の十年目の命日に開かれた夫を偲ぶ晩餐会で
多くの招待客が招かれても、王妃は部屋にこもりきり
嵐の夜にもかかわらず窓は開けたままで「誰も通さないよう」とエディス嬢に命じます
婚礼の日に暗殺された国王の亡霊とワインを飲み、食卓を囲む

f:id:burizitto:20200429131923j:plain

その時フレデリック王とそっくりな男が、窓から飛び込んできました
願いが叶ってフレデリックの幽霊がやってきたと思った王妃
男は傷を負っており、スタニスラスと名乗りそのまま倒れ込みました
彼は無政府主義の活動家で、王妃を誹謗する詩を出版したことがあり
王妃暗殺を狙う容疑者でした

f:id:burizitto:20200429131942j:plain

王妃は(黒人で口の利けない)唯一信頼できる側近にスタニスラスの世話を頼みます
翌朝スタニスラスは国王の衣装を着せられ、王妃は射撃の練習をしていました
スタニスラスに銃を与え射撃の腕前を見ると、死を望んでいた王妃は
権力を握ろうと企むフェーン伯爵が、王妃を暗殺するため国王と瓜二つの
スタニスラスを利用し城に送りこんだのに、なぜすぐに殺さないと
自分を殺すための猶予を3日間与え、朗読係として仕えるように命令します

f:id:burizitto:20200429131956j:plain

皇族でありながら自由主義を主張する王妃にスタニスラスは驚き
王妃の思想や、考え方や、強い精神力に感動し、なによりその美貌
一瞬で王妃の虜になってしまいます

一方の王妃も一目見た時からスタニスラスを愛したと告白します
いかに孤独で死を望んでいたか、自殺するため首飾りには
飲んでしばらく時間が経つと死ぬという猛毒を隠しているという

f:id:burizitto:20200429132010j:plain

闇からやってきた男と、闇の中を生きてきた王妃
王妃はスタニスラスを山小屋に隠し、それから逃がすと提案します
スタニスラスはたとえ離れていてもふたりは「双頭の鷲」
「ひとつが死ねば、鷲は死ぬ」と王妃に愛を誓います

ふたりの会話を盗み聞きするエディス嬢や
国王そっくりのスタニスラスを見た城の従者たちにより
ふたりの関係は噂になり、スタニスラスは法廷に呼ばれます

f:id:burizitto:20200429132024j:plain

太后を摂政(せっしょう=君主制を採る国家において、君主が幼少、女性
病弱の場合君主に代わって政務を摂る職)にすることを目的にする
太后派のエディス嬢とフォーン伯爵は、王妃が遠乗で不在になった日
スタニスラスを人里離れた隠れ家のツリーハウスに呼び出します
フォーン伯爵は「 女王の力には限界があり、警察大臣の力には限界がない」と言い
王妃の皇太后への敵意によって起こされる混乱を防ぐため

王妃が民に素顔を見せ、首都に出発できるように協力しろと言います
スタニスラスには協力と引き換えに、自由を与えると
もし警察との連絡係を拒否するなら逮捕し冷酷な処罰を受けると警告します

f:id:burizitto:20200429132040j:plain

スタニスラスは法廷に山男の衣装を着て出廷し、王妃との身分の差を証明
裁判官は王妃と彼の間には、何も起こらないと解釈します
スタニスラスは王妃に法廷からの陰謀を晴らすため
民の前に姿を見せ、首都に戻るべきだと勧め王妃は承諾します

フォーン伯爵は王妃が首都戻る道中、王妃を暗殺する計画を進めますが
王妃は馬車には乗らず、武装し愛馬に乗り首都に向かうと宣言
王妃派の従者は慎重で、王妃の命令以外聞かないように伝言します
フォーン伯爵の計画が崩れる中

f:id:burizitto:20200429132106j:plain

スタニスラスはテーブルに王妃の毒の入った首飾りを見つけそれを飲みます
それを知った王妃は、スタニスラスに鞭を与え臆病者と呼び
身分の差をあからまさに侮辱します

王妃に態度を一変させられ怒りと悲しみにうちひしがれたスタニスラスは
庶民を挨拶をするためバルコニーを登る王妃の背中を短剣で刺してしまう
短剣は心臓に達し、王妃はスタニスラスに愛の言葉を囁きます
スタニスラスは王妃の死を望む決意が変わっていなかったことに気づき後悔する

f:id:burizitto:20200429132121j:plain

一瞬民衆の前に姿を見せた王妃は倒れ込み命尽き
差し伸べた手は繋がれることなく、スタニスラスは階段を転げ落ちます
「あなたを殺し僕のものにする」
「神よ 我らを受け入れ天国で結ばせたまえ」

f:id:burizitto:20200429132140j:plain

【ネタバレあらすじ終了】

 

これが古代王宮から変わらない階級社会
日本でいうなら、眞子さまと小室圭さん
たとえ純愛であっても、誰かの営利と目的でゴシップにされる
されはさておき

f:id:burizitto:20200429132201j:plain

ヌーヴェルヴァーグが生まれる前のフランス映画は「愛」に直球ストレート
これがコクトーの恋愛観だと思えてなりません
戯曲として作られているので、セリフが過多で集中力が必要とされますが
格式の高さを感じる古典名作のひとつでしょう

ジャン・マレーはのちにアクション俳優としても活躍したそうですが
確かにドルフ・ラングレンに似ている(笑)

 

 

【解説】映画.comより
美女と野獣」と同じくジャン・コクートが脚本を書きおろし、自ら監督した一九四七年作品。撮影は「旅路の果て」「血の仮面」のクリスチァン・マトラが監督、音楽は「美女と野獣」「ルイ・ブラス」のジョルジュ・オーリックが作曲、美術監督は「美女と野獣」「ルイ・ブラス」のクリスチャン・ベラール、装置担当も同様ジョルジュ・ヴァケヴィッチである。主演は「しのび泣き」「フロウ氏の犯罪」のエドウィジュ・フィエールと「美女と野獣」「ルイ・ブラス」のジャン・マレーが、コクトオ原作の舞台劇と同じく顔を会わせる。助演は練達のジャン・ドビュクール及びジャック・ヴァレンヌ、舞台にも映画にも活躍しているシルヴィア・モンフォール「ルイ・ブラス」のジル・ケアン、エドワード・スターリング、アブダラー等である。