ミャンマーの地上波チャンネルMNTVが共同製作
監督はミャンマーを代表する女性監督チー・ピュー・シン
映画としての出来は良いものではありませんでしたが
日本人があまりテーマにしない「ナショナリズムとは何か?」
というものを、考えるのにはいい材料だと思います
ややプロバガンダ的なものも感じました
東京で暮らす両親がミャンマー人の女子高生ナン
パティシエを目指しケーキ屋さんでアルバイトと
友だちとスィーツ食べ歩きの日々(笑)
日本で生まれ育ち、自分は日本人だと信じていました
ところが父親のサイから、自分が無国籍であると知らされます
そしてサイはナンを連れてミャンマーに帰国しようとしていました
国を追われ、日本に難民として移住してきたのです
ヒロインのウィッ・モン・シュエ・イーちゃんは
1988年ヤンゴン生まれ、ビルマ族上座仏教徒ということ
本国ではCMや映画の出演、広告モデルとして活躍しているそうです
なんと日本語の勉強をはじめて2週間で撮影がスタートしたそう
日本生まれという設定なのに、日本語の下手には厳しいものがありましたが
2週間しか勉強していないと思えばたいしたものです
そしてこの作品では、ミャンマー人が
いかに親日家であるかが伝わってきます
私がミャンマーについて知っていることといえば
「ビルマの竪琴」(1985)という映画くらいです
降伏よりも玉砕を選んだ日本軍
ついに最後の戦闘「インパール作戦」が始まってしまいます
しかしそこに残ったのは無数の日本人兵の遺体(白骨街道)
出家し僧となった主人公は、日本兵の霊を慰めるため
ビルマに留まろうと決意するというもの
そこには1942年、アウンサン(スーチーさんの父親)が
日本軍と共に戦いイギリス軍を駆逐し(ビルマ戦役の始まり)
1943年、日本の後押しでビルマ国が建国されたという背景があったのです
そんな私以上にミャンマーを知らないナン
サイの店でアルバイトするトゥナをガイドに
夏休みを利用してのはじめてのミャンマー旅行
親せきを訪ねる決意をします
本当に海外に住む親せきや、親友の知り合いとかでもこうです
会ったこともないのに心から「おもてなし」をしてくれる
歓迎されすぎることに慣れていない日本人だと
あまりに濃い人付き合いに、少し疲れるくらい(笑)
お父さんとお母さんが育った国、家族がいる国
日本とミャンマー、どちらも自分の国なのだと自覚していくのです
経済、民主化、移民、国籍の問題がテーマですが
決して重苦しいものではありませんでした
むしろ、ひとりの女の子の、青春成長物語といったほうがいいでしょう
ミャンマーという国の存在と文化を伝えたい
そんな監督の信念は伝わってきました
【詳細】NHKネットクラブより
東京で暮らすミャンマー人の女子高生ナンは、日本で生まれ育ったため、自分を日本人だと思って生きてきた。ある日、ナンは、父親のサイがナンを連れてミャンマーに帰国しようと考えていることを知る。サイは30年前にミャンマーの民主化運動に参加した影響で国を追われ、日本に移住したが、その心はずっと祖国と共にあった…。2つの国の間で葛藤する少女を軸に、ミャンマーを代表するキャスト陣で描く、ひと夏の青春ストーリー。