
「3.1415926 5358979 32384626 43383279 502 884 1971 693 9937510…」
原題は「π Pi」(パイ)

ダーレン・ アロノフスキー監督のデビュー作であり、出世作
ルイス・ブニュエルにリスペクトしていると思ったのは
私だけでないはず(笑)

あらゆる現象を数学的な規則で見いだせると信じている天才数学者が
自作のスーパーコンピュータで株式市場を予想する研究をするようになり
やがて(株式コントロールを企んでいる)謎の組織と
ユダヤ人の秘密結社から狙われるようになるというもの

ロン・ハワードの「ビューティフル・マインド」(2001)であれば
親友のルームメイトと彼の姪っ子、国防総省のエージェント
銃撃戦や、腕に埋め込まれたダイオードなどが全て幻覚であったことが
終盤につれてわかっていきますが

こちらはどこまでが幻覚で現実かが
ラストまで明かされることはありません
でも配線だらけの部屋のつくりもですけど
人物描写とか全体的に雰囲気がいいですね
カメラはマシュー・リバティーク

数学者のマックス・コーエンは
数学的法則によって支配されているという研究をしています

ある日、レニーと名乗るユダヤ教徒から
数字とヘブライ語との関係性と数学的神秘について聞かされると
その証明をしてみせようとします
するとコンピュータが暴走し216桁の数字を吐き出しダウン
マックスは怒りに任せ、数字が書かれたを紙を公園のゴミ箱に捨ててしまいます

216に何か意味があると考えた彼は
円周率の研究をしている恩師のソルを訪ねると
ソルも216に辿り着いていたことを知ります
しかしソルは世界は複雑で、割り切れるものじゃないと216という数字を否定
「全てにおいて、休憩は必要だ」とマックスに少し休むよう勧めます

しかしマックスはソルの忠告を無視し
216桁の数字に置き換えられると教えられると
さらに216の研究に憑りつかれてしまいます

そして答えを求めれば求めるほど、激しい頭痛に襲われてしまう
ついに謎の組織から高価なチップを(無償で)手に入れ
解明しようとするわけですが

同じく「答え」を知りたい謎の組織に追いかけられ
レニーたちに拉致されユダヤ教の結社に連れていかれる

216桁の秘密を話すよう促されたマックスは
その数字を理解することは「神の言葉を聞くこと」
そして自分だけが神の言葉を聞くことが許される人間だと語ります

自分こそ予言者だと偽った代償でしょうか
ユダヤ人たちから解放されたマックスは頭痛が悪化
蟻(バグ=昆虫)、訪問者、洗面台の脳みそ・・という幻覚に悩まされると
彼は頭に電動ドリルを突き刺し、自ら数字への探求を終焉させるのです

近所に住む少女が、いつものようにマックスに暗算の問題を出します
公園で佇んでいたマックスは微笑むだけ
答えることはできませんでした

確かに世の中の何もかもが数字、数式によって導かれ
株価も、競馬も、宝くじにも必勝法はあり
一攫千金を狙うため躍起になる人々

だけど世の中はカオスにあふれている(カオス理論)
数式があっていれば、未来が予測できるというのは大きな間違い
少しでも最初の条件がズレると、結果はどうなるかわからないのです

この映画もそう
製作費は約6万ドルで、そのほとんどは監督の友人や家族から
100ドルの寄付金を集めたもの
寄付のつもりが映画のヒットにより、150ドルになって戻って来たそうです(笑)

【解説】映画.COMより
「ブラック・スワン」「ザ・ホエール」のダーレン・アロノフスキー監督が1998年に発表した長編デビュー作。数字にとり憑かれた男の狂気を先鋭的なモノクロ映像とデジタルサウンドで描き、サンダンス映画祭で最優秀監督賞、インディペンデント・スピリット賞で新人監督賞を受賞するなど高く評価された。
マンハッタンのチャイナタウン。並外れたIQと数学能力を持つ男マックス・コーエンは、宗教真理からウォール街の株価予測まで、世界はすべて数式で説明できると信じていた。自作のコンピュータで神秘の数字の法則を夢中になって探し続ける彼だったが、ついに核心に触れそうになると謎の組織から狙われるようになり、彼の脳内には異常な変化が起こり始める。サウンドトラックにはマッシブ・アタック、エイフェックス・ツイン、ロニ・サイズら豪華アーティストが参加。2024年3月、デジタルリマスター版にてリバイバル公開。
1998年製作/85分/アメリカ
原題または英題:π Pi
配給:ギャガ