ボルサリーノ2(1974)

「終わったよ、行こう」

原題は「Borsalino and Co.」(ボルサリーノ&カンパニー)

マルセイユの墓地

死んだ相棒のフランソワ・カペラ(ジャン・ポール・ベルモンド)を見送る

ロッコ・シフレディ(アラン・ドロン

この冒頭のシーンだけで、泣きそうになりました(笑)

「ボルサリーノ」(1970)は、どちらかといえば

ベルモンドに寄った華やかさとコミカルさが光る作風でしたが

こちらはガチで陰惨な復讐劇

男は皆殺し、女には硫酸

樽に入れられ爆死

最後は生きたまま機関車の石炭と燃やす

一方でこれらのシーンは

ヌーヴェル・ヴァーグを皮肉っているとも言われているそうです

ヌーヴェル・ヴァーグから離れたベルモンドを殺した敵を

ジャン=リュック・ゴダールに見たてているのではないか

という見解なるほど)

そんなフレンチ流な嫌味はともかく(笑)

私的にいい味を出していると思ったのは

シフレディに尽くし何年もかけて彼を救う

(しゃくれ顎でジェイソン・ステイサム似な)弟分フェルナンドの役どころ

こういう忠誠心にべべちゃんは弱い(笑)

カペラの葬儀から3ヵ月後

シフレディを訪ねてきたファンティ警部(ダニエル・イヴェルネル)が

カペラ殺害の黒幕はイタリア系マフィアのボルポーネ兄弟だと告げます

シフレディはフェルナンドを伴って

ボルポーネ兄弟の弟を列車から突き落とし始末すると

復讐に対する復讐

ボルポーネは弟を殺された報復として

シフレディの所有する劇場やレストランを破壊

シフレディを拉致しアルコール漬けにするのです

フレンチ・コネクション2」(1975)のポパイ警部のヤク漬けは

このシーンから影響を受けたのかな(笑)

さらにボルポーネは新聞記者を呼び

シフレディの泥酔現場を写真に撮らせ

彼をアル中患者として精神病院に送り込んでしまいます

ボルポーネはカペラもシフレディもいなくなったマルセイユ

表向きは善政を施し、裏ではマフィアのボスとして君臨

さらにファシズムが台頭してきたフランスで

イタリア政府とナチスドイツの支援を受け、警察を掌握

絶対的な権力を手に入れます

そんな中、フェルナンドは精神病院に納品する棺桶屋に半年勤め

病院からシフレディを脱出させることに成功するのです

それから3年

海岸沿いの道を「Borsalino and Co.」という真っ赤なロゴのトラックが

マルセイユに向かって走っていました

乗っていたのはジェノヴァで密かに復讐の準備をしていた

シフレディと新たに集めた部下たちでした

あの「ボルサリーノ」軽快な音楽とともに

このシーンが最も盛り上がるところ(笑)

ここからドロンさまの快進撃が始まります

シフレディはカペラの愛人だった

ローラ(カトリーヌ・ルーヴェル)を売春宿から救い

ボルポーネのカジノを焼き

輸入倉庫に乗り込み、ヘロイン工場を粉砕しシノギを叩き潰す

ファンティ警部の後任であるカズナーヴ警視と右腕のサムを捕まえ

自分がされたのと同じようにアルコール漬けにし

その醜態を新聞記者に売り写真を撮らせます

(警部は植民地だったマダガスカル島流しになる)

それから新しい警部立ち合いのもと

シフレディはボルポーネの命をもらう宣言をします

それを知ったボルポーネ一はマルセイユを脱出し

ベルリンに向かおうとしますが

シフレディに列車の中で発見され

石炭が燃える釜の中に放り込まれてしまうのです

シフレディはマルセイユでやり直すことより

フェルナンドとローラを連れて船に乗り

アメリカを目指すのでした

だけどアメリカが舞台の「ボルサリーノ3」なんて考えられませんね

「ボルサリーノ」の続編というよりは、スピンオフ的な作品

そう思ったほうがいいかも知れません

 

 

 

【解説】映画.COMより

一九二〇年代のマルセイユを舞台に、相棒を殺されたギャングの復讐を描いた「ボルサリーノ」の続篇。製作はアラン・ドロン、監督はジャック・ドレー、脚本はパスカル・ジャルダン、撮影はクロード・ボーゴアン、音楽はクロード・ボランが各々担当。出演はアラン・ドロン、リカルド・クッチョーラ、ダニエル・イヴェルネル、カトリーヌ・ルーヴェル、アンドレ・ファルコン、ライオネル・ヴァトラン、ルネ・コルデホフなど。

1974年製作/110分/フランス
原題:Borsalino and Co.
配給:日本ヘラルド映画
劇場公開日:1975年2月8日