原題は「Diaboliquement vôtre」（悪魔にような あなたのもの）
原作はフランスの作家ルイ・C・トーマスの「迫害マニア」
交通事故で記憶喪失になった男の元に
妻と名乗る美女が現れ
家に帰ると、そこは中国人の召使いがいる豪邸で
自分は香港に会社を持つ大金持だと知らされまます
でも、それって本当に俺のこと？
というサスペンス
このころは香港映画ブームの走りだったのでしょうか
カンフー映画を思わせるような演出がところどころあります
一方でパラソルに漢字で巴里と書いていたり、般若のお面があったり
ドロンさまが着物を着たりするのは日本ぽい
まあジャージを着ても、着物をはおっても
ドロンさまがオツなことは間違いないんですけど（笑）
カメラはアンリ・ドカエ
男が病室で目を覚ますと
妻のクリスチャン（センタ・バーガー）だという女性が
自分の名前はジョルジュ・カンポ（アラン・ドロン）だと言います
男に記憶はありませんでしたが
妻だという女性が美人だったので（笑）
ジョルジュは話をあわせることにして
退院すると執拗にクリスチャンへ肉体関係を迫ります
しかしクリスチャンは「回復するまではだめ」と
頑なにジョルジュを拒否するのでした
しかも豪邸には召使のキエム（ジョルジュは毛沢東と呼ぶ）だけでなく
友人で医師のフレデリックという男まで同居している
違和感を感じるジョルジュ
やがてアルジェリアにいたことや
ピエール・ラグランジュという名前を思い出します
ある朝、クリスチャンに案内され納屋に入ると
ジョルジュは落とし穴に踏みこみ、あやうく死にそうになります
それからというもの、何かと命の危険にさらされたり
夜中に何者かの声に操られ、自殺しそうになったり
犬が掘り起こした死体まで発見します
枕の下に隠されたテープレコーダーを発見したジョルジュは
クリスチャンの寝室に押し入り、無理やり彼女を犯します
するとクリスチャンはジョルジュにイチコロ（笑）
すべてを告白するのでした
本当の夫、ジョルジュはひどいDV男で
愛人のフレデリックと殺したこと
そしてアルジェリア帰りで身寄りのないピエール・ラグランジュという男を
自動車事故で殺してジョルジュに仕立てあげようとしたこと
しかしピエールが命を取り留めたため
彼の記憶喪失を利用して、睡眠中にテープレコーダーで暗示をかけ
自殺に追い込もうとしたのです
関係ないですけど、私が子どもの頃も
新聞広告などで寝ているうちに勉強が暗記できて
成績アップする、という枕が販売されていまして
両親は「インチキだ」と買ってくれなかったのですが（笑）
（実際、起きている間にきちんと学習しておかないと効果はないらしい）
睡眠学習や睡眠時暗示法というのも、当時の流行りだったのでしょうか
クリスチャンがピエールに寝返ったことを知ったフレデリックは激怒し
彼女を激しく殴打すると
クリスチャンに思いを寄せている召使のキエムが
フレデリックを刺殺
さらにクリスチャンがキエムを射殺すると
その銃をフレデリックの手に握らせ
ふたりが相討ちしたように見せかけます
ピエールが警察を呼ぶと、警察はキエムが仕掛けた
ピエールを洗脳するためのカセットテープを発見し
ピエールとクリスチャンは
信頼していたフレドリックとキエムに
裏切られていたと口裏をあわせ
警官をあざむくのでした
そうしてピエールはジョルジュになりすまし
クリスチャンとともに莫大な財産を手にするのです
悪魔のような、とは
クリスチャンが語る前夫のことなのか
それとも、夫を殺したフレデリックか
フレデリックを殺したキエムか
夫の身代わりにした色男ピエールか
やはり、全てを手に入れようとした
クリスチャンのことなのか
結局は全員が「悪魔のような」人間だったということ
ピエールとクリスチャンはその後も幸せになれるでしょうか
いやいや、ドロンさまに限ってありえない（笑）
ラストは警察が前夫の遺体を見つけて終わるのが良かった
愛犬が遺体掘り起こすシーンは、順番を間違えたような気がします（笑）
【解説】映画.COMより
一九六七年十月二十九日の夜、パリ市内で自動車事故のため急死したジュリアン・デュヴィヴィエの遺作。ルイ・Ｃ・トーマの小説から、デュヴィヴィエと、「勝負をつけろ」などのプロデューサーをとめてきたローラン・ジロー、ジャン・ボルバリの三人が脚色。撮影は、「サムライ」のアンリ・ドカエ、音楽はフランソワ・ド・ルーベが担当した。出演は「サムライ」のアラン・ドロン、「ナポリと女と泥棒たち」のセンタ・バーガー、イタリアのセルジオ・ファントーニ、ドイツのピエール・モスバジェルほか。
1967年製作／フランス
原題：Diaboliquement Votre
配給：東和
劇場公開日：1968年5月4日
