単騎、千里を走る。(2005)

 
 
 
子どもが親より先に逝く、これほど親不孝なことはないでしょう。
もしも自分の子どもが重病になったなら
親としてなにかできることはないのか
何ができるのだろうと誰でも真剣に考えると思います。
 
すれ違ってしまった父と息子。
父親の高田は田舎町でひとり暮らし、漁師をしています。
トンビが鷹を生んだのでしょう、息子の健一はかなりのインテリ
民族学者をしています。
 
いくら親子でも最初から性格的に相性があわないということは
たぶんあるでしょう。
母親の死をきっかけにお互い音信不通になってしまった。
その息子が末期がんだと知らされます。
 
健一が見たがっていた、中国の「単騎、千里を走る」の
仮面歌劇を撮影するため野田はひとり中国の麗江市へと向かいます。
 
しかし俳優は事件をおこし刑務所に入っていました。
日本語の話せない通訳
はかどらない手続き
演技のできない俳優
次から次へと高田を困難が襲います。
 
それでも人々のやさしさと善意に支えられながら
ついには歌劇鑑賞までたどりつきます。
 
だけれど息子とは最期の最期まですれ違ってしまいます・・
 
中国の提灯で照らしている街並みなどエキゾチックで素敵でした。
庶民の生活も見れて、小さな村では日本人の客人を迎えるため
村中の人が集まり料理を並べ歓迎してくれます。
皆、決して豊かな生活ではないでしょう。
それでも遠い日本から息子のためにやってきた旅人に
彼らなりに一生懸命尽くしてくれます。
 
最後まで、もたもた、もたもたとした展開
なかなか先に進みません。
でもそれがこの作品の魅力なのでしょう。
 
結局願いは叶いませんでした。
でもみんな、良いことをしたのだと、そう思います。
 

 
【解説】allcinemaより
日本映画界の第一人者、高倉健と、アジアを代表する巨匠監督チャン・イーモウの夢のコラボレーションが実現したヒューマン・ドラマ。長年疎遠となっていた息子の余命が僅かと知った主人公が、息子の願望を叶えようと単身中国に渡り、困難な旅の中で中国の人々と心を通わせていく姿を綴る。なお日本での撮影は、イーモウ監督の強い希望で日本人スタッフが担当することになり、降旗康男監督はじめ高倉健主演映画を数多く手掛けてきたベテランスタッフが結集した。
 静かな漁村に暮らす高田剛一のもとにある日、東京にいる息子の健一が重病だとの報せが届く。しかし父と子の間には長年に渡る確執が存在し、そのために健一は父との面会を拒んでいた。息子ともう一度向き合うことを決意する高田。彼は、嫁の理恵から民俗学者の健一が、中国の有名な俳優リー・ジャーミンと交わした約束を果たすことが出来ず悔やんでいることを知らされる。そこで高田は、健一の代わりに彼がやり残した仕事を成し遂げようと、無謀にもたった一人で中国の麗江市へと旅立つのだったが…。