戦後75年の今年、新型コロナの中で次々と中止に追い込まれる平和教育
そんな中でも伝えたいと作られた
3つの反戦オムニバス・ショートストーリー
民放では8月15日を過ぎると、一切戦争に触れることはなくなりますが
せめてNHKだけはは8月に限らず、反戦への姿勢を貫いてほしいと思います
花火職人の父親(田中要次)が倒れ、
コロナ渦の中、東京から広島の実家に帰ってきた娘(橋本環奈)は
1枚の勤め先のスタジオの監督が書いたというイラストを見せます
「いつまでも見ていたくなる青い空でしょ」
そして吉永小百合さんのナレーション
戦争体験の朗読を続ける吉永さんには、やがて
戦争体験者からの手紙がたくさん送られてくるようになったそうです
そんな戦争体験を共有できるように、山田洋次監督や坂本龍一さんなど
一流のクリエーターたちが集まりました
一つ目のドラマは詩人、林幸子さんの手記をもとにした
山田洋次監督脚本、演出の「あの日」
広島の原爆の爆心地から1㎞の場所にあった場所から
自宅まで戻ろうとする高校生を長澤まさみさんが演じます
原爆投下後の変わり果てた広島の風景が語られる、ほぼ一人芝居の朗読劇
家族を喪ってしまい、同じく家族を喪ってしまった近所の主婦として
広岡由里子さんがほんの少し出演しています
長澤まさみさんが圧巻の演技
言葉の力だけで原爆の恐ろしさを伝える、これぞ言霊
戦争に救いなんてひとつもない
生き残った人間は、苦しさと悲しみに
ただ耐えて生きていくしかないと思い知らされます
二つ目のドラマは、こちらも広島の原爆をテーマにした
山田洋次監督脚本、演出の「こんばんわ」
蒼井優さんのナレーションから始まると
ザ・女優オーラ全開、この人も本物
と思わせた瞬間、ベテラン加藤健一の入魂の演技
被爆した幼い孫に食べさせるため”みかんの缶詰”を探すカトケン
当時の”みかんの缶詰”はとても高級でなかなか手に入らないもののひとつで
探して探して探して、これで最後の1軒と決めた家の奥さんが蒼井優さん
事情を聞いた奥さんは貴重な”みかんの缶詰”を快く差し出してくれ
その汁をひと口だけすすっただけで孫は死んでしまう
これが芝居、舞台俳優の実力というものなのか
目の前にその光景がまざまざと浮かび上がる説得力
泣かずにいられない
劇作家で俳優、松居大悟脚本演出の「よっちゃん」
よっちゃん(黒島結菜さん)は、壕(ガマ)で爆発した爆弾で
同じひめゆり学徒隊の親友(芋生悠さん)を喪い
手榴弾で自決しようしますが、死にきれず
爆発音を聞いたアメリカ兵に救助されるというものでした
イマドキなテレビドラマ風の作りで、新型コロナ感染の最中なので
あえて若者にわかりやすい演出をしたのかも知れませんが
「医療従事者が足りない!」とか
当時の看護婦が医療従事者なんてセリフ知ってるわけないし(苦笑)
父娘のエピソードも必要だったのかどうか(笑)
ただ45分という短尺は見やすいですし
吉永小百合さんのナレーションと詩は良かった
山田洋次監督(御年88歳)のはじめてのテレビ朗読劇
【解説】NHKオンラインより
戦後75年の今年、新型コロナの中で次々と中止に追い込まれる平和教育。そんな中、戦争の記憶を語り継ぐために一流のクリエーターが結集し、オムニバスでストーリーを紡ぎ出します。
巨匠・山田洋次監督は、はじめて朗読劇に挑戦。広島に原爆が投下された8月6日、その時を生きた一人の女性の物語を長澤まさみさんの朗読で。また被爆した少女を失った物語を加藤健一さん、蒼井 優さんが演じます。
そして、黒島結菜さん・芋生 悠さんのコンビが演じる沖縄戦の壮絶なドラマ。ひめゆり学徒として戦場に向かった二人の女性の苛酷な戦いと友情の物語。
番組を案内するのは、日本を代表する映画俳優・吉永小百合さん。ニューヨークの坂本龍一さんとリモートでコラボレーションし、平和の詩の朗読も披露します。
さらに、橋本環奈さん、松下由樹さん、田中要次さんが家族を演じるドラマなど、家族全員で見られる平和の物語です。