暴力脱獄(1967)


 
 
とても印象深いシーンの多い作品。
 
酒に酔いパーキングメーターを壊す。
囚人たちの目の前でエロチックに洗車する人妻。
荷台に乗って面会にやってきた母親
ボクシング
サングラスの看守・・・
 
どの場面も強烈な印象を残し脳裏に焼き付きます。
 
このときのポール・ニューマンは42歳。
カッコいいですね、こんなアラフォー男子見たことありません。笑
でも素晴らしいのは本作でオスカーをゲットしたジョージ・ケネディでしょう。
むさくるしい中年男ではありますが、愛嬌があり人懐っこく
クールなニューマンを徹底的に立てて輝かせてくれています。
 
器物破損で刑務所に入れられたルーク(ニューマン)。
普通に生きることが苦手な人間っているのでしょう。
戦争では英雄になった、母親には愛されて育てられた。
刑務所に入って囚人仲間から好かれた。
なのに何もかもが無意味、生きていることさえも。
痛みに、苦しみに、死に向かっていくことしかできないのです。
彼は所長や看守に反抗し、無謀な脱獄を繰り返します。
 
そして待ち望んでいたかのような死。
彼は神になりたかったのでしょうか。
この世には居場所がなかった・・
 
大抵の大人は、社会や家庭に対する責任や生活のために
いやなことや悲しいことがあっても我慢して真面目に働いていると思います。
でももしひとりきりで自由だったなら、堕ちるところまで堕ちてみたい・・
そんな願望もまたあるのかもしれません。
ルークのように。
 

 
【解説】allcinemaより
街のパーキングメーターを壊して収監されたルーク。ひと癖もふた癖もある囚人たちの中、彼は不思議な魅力で次第に人気者となっていく。そして彼は残忍な看守を嘲笑うかのように、繰り返し脱獄を図るのだったが……。「殺人会社」のS・ローゼンバーグが、権力に対して反抗を繰り返す男の生き様を描いたドラマの傑作。「ハスラー」と並ぶP・ニューマンの代表作で、その比類なきキャラクターは思い出すたびに胸震えるカッコ良さだ。アメリカ映画の名傍役大集合といった他のキャストも大充実。