家族はつらいよ(2016)

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山田洋次、久々のコメディ

橋爪功の毒爺が最低で最高(笑)

クレジット・タイトルがいつもになくカラフル

 

戦後生まれで、高度経済成長の波に乗って

働き盛りはバブル、年金までたっぷりもらえるという最高の年代

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ほとんどのサラリーマンの妻は専業主婦で

家のことは妻にまかせっぱなし、子どもの面倒は見ない

不満を言おうとしても、夫は毎日残業と飲み会で帰ってくるのは遅く

妻の愚痴を聞く耳なんてもっていません

それが当然、あたりまえ

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その夫が結婚45年目の妻の誕生日に

妻から離婚届を突き付けられてしまう

一番慌てたのは3人の子どもたちでした

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妻が夫に我慢できなくても離婚しないのはなぜか

1、経済的な問題

2、住む場所

3、子どものため

 

それが田園調布に住むサークル仲間から家をシェアしないかと言われ

小説家だった死んだ弟の印税が、毎月口座に振り込まれることになり

子どもたちもすでに成長

夫のズボラな性格にも我儘にも(実は靴下は裏返しで洗うのが正しい洗い方)

我慢する理由がなくなったのです

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夫といることが「ストレスなの」

せめてこの先の人生はひとりで自由に生きていきたい

わかるわあ(笑)

 

こんな時、ヨワイのは男性のほう(笑)

末の息子が婚約者を紹介するため連れてきた日

偶然にも家族会議と重なり、毒爺倒れて救急車で運ばれてしまいます

(飲み屋の女将を口説いて手を握るのは、浮気じゃないと思う 笑)

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その時孫(弟)から、困惑する婆にナイスなタイミングで入る電話

野球の試合で兄がピンチヒッターに入りホームランを打ったと実況中継

一方の嫁は出前で頼んだ7人前の「うな重」の支払いに

思わず渋い顔になり「うわっ」と叫んでしまう

この温度差が絶妙(笑)

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毒爺はたいしたことなく数日で退院

それでも一瞬でも天国を感じたせいか(笑)

婆の「離婚してほしい」という希望を叶える決意をします

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いかにも男だけが働いている、食わしてやっている、というような

極めて時代遅れな70オーバー男のペーソスのように見えますが

 

実はこれテーマは、思いや感謝は「言葉で伝える」こと

「女性には敬意を払う」という女性的願望もの

共同脚本と助監督は山田組平松恵美子

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いくら喧嘩しても不満があっても、結局は長年暮らした家と家族が一番おちつく

一応最後は山田洋次らしく丸く収まって?(笑)

よかったのではないでしょうか

 

 

【解説】allcinema より

「小さいおうち」「母と暮せば」の名匠・山田洋次監督が、橋爪功吉行和子はじめ「東京家族」のキャストを再結集し、「男はつらいよ」シリーズ以来久々に撮り上げた喜劇作品。三世代が同居する一見平和な平田家を舞台に、ある日突然降って湧いた祖父母夫婦の離婚騒動を皮切りに、それぞれの家族の間に内在していた様々な問題が次々とあぶり出され大騒動に発展していくさまをコミカルに綴る。
 東京の郊外に暮らす三世代同居の平田一家。当主の周造は仕事も引退し、今はゴルフと酒に明け暮れ隠居生活を謳歌する日々。当然、妻・富子の気持ちなど知る由もない。周造に似て頑固な長男・幸之助は仕事一筋。2人の子どもと家の中のことは専ら妻の史枝に任せきり。家を出て税理士としてバリバリ働く気の強い長女・成子は、夫・泰蔵との喧嘩が絶えない。一方、独身でいまだ実家暮らしの次男・庄太は、看護師の恋人・憲子との結婚をついに決断しようとしていた。そんなある日、いきなり富子が周造に離婚を突きつけた。思いも寄らぬ妻の離婚宣言に周造はオタオタするばかり。子どもたちにとっても青天の霹靂で、どうにか離婚を思い止まらせようと緊急の家族会議が開かれるのだったが

東京家族(2012)

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「感じのいい人じゃね」


小津安二郎の「東京物語」(1953)のリメイクですが

65年も月日が経過するとやはり設定に無理を感じます

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特に母親が68歳という年齢、ということは父親も70歳前後

今でこそコロナでおとなしくしていますが(笑)

イマドキの70歳の熟年夫婦は特別裕福じゃなくても

東京どころか、海外旅行にだって普通に行く(笑)

豪華客船でクルーズだってあるある

 

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両親も子どもたちもあと10歳は年上のほうが説得力ある

そろそろ足も悪くなったし、これが最後の旅行ね、みたいな

80歳でフルマラソン完走する爺もいるけど、さすがにそれは特別(笑)

 

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働き盛りの息子や娘に煙たがられているにもかかわらず、勝手に押しかけ

スカイツリーに登り、ディズニーランドで「ミート・ザ・ミッキー」

父親は旧友と再会し、しんみりしたのもあっという間

新宿ナイトを満喫しすぎて酔っ払い

母親は成人したけれど、今でも可愛い孫息子の家に泊まりに行き恋人を紹介してもらう

こういうのが平成のシニアライフ

 

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そこで一転

元気だった母親が、突然脳梗塞で倒れてしまうのです

そこで「東京家族」タイトルバック

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何十年かぶりに故郷の瀬戸内上島に帰って来た「東京家族」の

母親の葬儀から物語が始まる

昭和にタイムスリップしたような島の人々の暮らしと

都会とのギャップにうんざりしながらも

徐々に幼い頃を思い出し

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息子が医学博士になるまで勉強させてもらったのも

娘が東京で美容室を開業させてもらったのも

自分たちが、いかに愛されて恵まれていたのかに気付き

頑固で厳しかった父親と和解していく・・

そういうほうが良かったと思う

(それもありきたりな話といえば、そうだけど 笑)

瀬戸内上島の魅力ももっと紹介して欲しかった

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山田洋次を持ってきても、昭和の傑作のリメイクは

難しいのだとしみじみ感じる

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男はつらいよ」の柴又名物「草だんご」がお土産だったり

ヒロインが勤める書店で、童話「ちいさいおうち」を親子が買うというような

山田洋次にしては珍しい自作ネタは見ていて楽しい

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笠智衆原節子の名コンビをそれぞれ演じた

橋爪功蒼井優は、自然体な演技で特に優れていたと思います

 

 

 

【解説】allcinema より

男はつらいよ」シリーズ、「おとうと」の山田洋次監督が小津安二郎監督の傑作「東京物語」をモチーフに、現代の東京に生きるある家族の姿を厳しくも温かな眼差しで見つめた感動ドラマ。当初予定していたクランクイン直前に東日本大震災が発生したため、撮影を約1年延期し、その間に改めて震災と原発事故を踏まえた脚本への描き直しが行われた。出演は橋爪功吉行和子、西村雅彦、夏川結衣中嶋朋子林家正蔵妻夫木聡蒼井優
 2012年5月、瀬戸内海の小島に暮らす平山周吉と妻のとみこは、子どもたちに会うために東京へやって来る。郊外で開業医を営む長男・幸一の家では、長女の滋子、次男の昌次も集まり、家族全員が久々に揃って和やかなひとときが流れる。しかし内心では、子どもたちは日々の生活に追われ、長居する両親を厄介者と感じてしまう。そんな中、とみこは将来を心配していた昌次から恋人の紀子を紹介され、上機嫌になるのだが…。

博士の愛した数式(2006)

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原作は小川洋子小説

モデルは奇妙なライフスタイルで知られた

「変わり者の中の変わり者」ポール・エルデシュ

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数学だからといって、意外と難しいことはなく(笑)

数学初心者向けへの解説に近い

多少恋愛(不倫)要素も入っているので、大人向けに感じるけど

むしろ中学校の課外授業などで上映して欲しい

もしかしたら数学の苦手な子が

数学好きになるきっかけになるかも知れません

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新学期、生徒たちから「ルート」と呼ばれている数学担任(吉岡秀隆)が

最初の授業で、なぜ「ルート」というあだ名がついたのか

そのエピソードを生徒たちに聞かせるのです


それはシングルマザーの母「私」(深津絵里)が

交通事故による脳の損傷で、80分しか記憶できなくなってしまった

数学(整数論)博士(寺尾聰の家の家政婦になるところから始まります

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本当に数学の好きな人って

世の中の全てを数学で証明できるって言いますよね(笑)

博士も生きること、生活の何もかもを数学で表現する人

博士にとっては、全ての数字や数式に人間と同じように性格があり

愛があるのです

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「私」はそんな博士に最初戸惑いながらも

博士の純真さと人間的魅力にだんだん惹かれていく

ある日、「私」に10歳の息子がいることを知った博士は

息子の学校が終わったら、連れてくるよう「私」に命じ

やって来た息子の頭を撫でながら

「キミは頭のてっぺんが平らだからルート」と名付ける

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ルートと博士は野球好き、阪神ファンですぐに意気投合

ルートの野球の練習や試合にも参加するようになるのですが

 

試合中の事故でルートが救急車で運ばれて

心無い一言を「私」が言ってしまったり

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博士が熱を出してしまい「私」とルートが

博士の家に泊まり込んで看病したり

 

博士の義理の姉で「未亡人」(浅丘ルリ子)のかねてからの嫉妬で

「私」は家政婦をクビになってしまいます

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博士の愛した数式とは「オイラーの公式」のこと

eπi+1=0

数学の中で最も美しい公式として名高い

そして「未亡人」に宛てたメッセージでもあったのです

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i(愛)とは、イマジナリーナンバー

つまり想像上の数字

好きになった女性は人妻

結ばれない(解読できない)こそ、より強く悩ませる

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やがて博士の記憶時間はだんだんと短くなり

ルートが22歳のとき博士は亡くなりますが

博士とキヤッチボールしたこと

数学を教えてもらったことは、何年経っても鮮明に思い出す

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生徒たちも無心にルートの話に耳を傾け

そして授業の終了を知らせるチャイム


今日より明日、子どもたちはきっと数学が好きになる

全ての数字には意味があり

しかも自分の気持ちに答えを出すひとつの手段

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博士は不幸だと思いますか

私は幸せだったと思います


好きな女性と、明るい家政婦とその可愛い息子が

最期までそばにいたんですから



【解説】KINENOTEより

記憶を80分しか維持出来ない数学博士と若い家政婦母子の心の交流を描いたヒューマン・ドラマ。監督は「阿弥陀堂だより」の小泉堯史。第1本屋大賞に選ばれた小川洋子による同名小説を基に、小泉監督自身が脚色。撮影を「わらびのこう 蕨野行」の上田正治と、北澤弘之が担当している。主演は、「亡国のイージス AEGIS」の寺尾聰と「踊る大捜査線 BAYSIDE SHAKEDOWN 2」の深津絵里。第18東京国際映画祭 特別招待作品出品、芸術文化振興基金助成事業作品。

新学期。生徒たちから“ルート”と呼ばれている若い数学教師(吉岡秀隆)は、最初の授業で何故自分にルートというあだ名がついたのか語り始めた。それは、彼がまだ10歳の頃――。彼の母親(深津絵里)は、女手ひとつで彼を育てながら、家政婦として働いていた。ある日、彼女は交通事故で記憶が80分しか保てなくなった元大学の数学博士(寺尾聰)の家に雇われる。80分で記憶の消えてしまう博士にとって、彼女は常に初対面の家政婦だった。しかし、数学談義を通してのコミュニケーションは、彼女にとっても驚きと発見の連続。やがて、博士の提案で家政婦の息子も博士の家を訪れるようになる。頭のてっぺんが平らだったことから、ルートと名付けられた息子は、すぐに博士と打ち解けた。そして、博士が大の阪神ファンで、高校時代に野球をしていたことを知った彼は、自分の野球チームの試合に来て欲しいとお願いするのだが、炎天下での観戦がいけなかったのか、その夜、博士は熱を出して寝込んでしまった。博士を心配し、泊り込んで看病する母子。ところが、そのことで母屋に住む博士の後見人で、事故当時、不倫関係にあった未亡人の義姉からクレームがつき、彼女は解雇を申し渡され他の家へ転属になる。だが数日後、誤解の解けた家政婦は復職が叶い、再び博士の家を訪れるようになったルートも、いつしか数学教師になることを夢見るようになるのであった。




ザ・マジックアワー(2008)

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マジックアワー」とは、映画の撮影が最も映える夕暮れの時間帯のこと

=「誰にでもある人生で最も輝く瞬間」

もしそんな貴重な時間をフイにしてしまったらどうするか

明日を待てばいい」だけのこと

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   元ネタは知らなすぎた男(1997)か、ビッグムービー(1999)か(笑)

蒲田行進曲(1982)もあるある


やれ「キタノ」だとか「クロサワ方式」だとか

かっての日本映画を支えた柳澤 愼一や榎木兵衛の元気な姿を見れたり

ついには本物の市川崑まで登場して(笑)

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映画ツウ”には嬉しいネタのオンパレード

言えるのは、最後まで佐藤浩市に映画の撮影だと信じさせたまま

上手く収めたほうが、もっと良くなったと思う

そこまでのひねりのきいた脚本は三谷幸喜には無理なのか

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しかも相変わらず韓国映画みたいに、くどくてガチャガチャしている

2時間半近くは長い、もう少しコンパクトにしたほうが絶対面白いし

今の日本映画界でこれだけの大物実力俳優と

製作費を集めれるのは三谷幸喜だけなんだから(笑)

おおがかりな学芸会は卒業したほうがいい

本当にもったいない

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ヤクザのボス(西田敏行の愛人マリ(深津絵里)との関係がバレた

備後(妻夫木聡は、自分の命と引き換えに伝説の殺し屋

「デラ富樫」を連れてくるようにボスに命じられます

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「デラ富樫」を見たことも聞いたこともない備後は

映画の撮影と騙して、三流俳優の村田(佐藤浩市)に

「デラ富樫」を演じてもらうように頼みます

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そこで村田のクサくてわざとらしい演技がはじまるのですが(笑)

それがかえって「肝がすわっている」ように見えてしまう

車の中で「見た目が大事だぞ」とアイラインを引くのにも

妙に説得力がある(笑)

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最後は本物の伝説の殺し屋に

映画屋の小道具のほうが勝つというオチで

「映画は裏方に支えられている」という

使い古されたテーマが明かされるのです

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ここも「デラ富樫」がしっぽを巻いて逃げるんじゃなく

「偽デラ富樫」村田を殺したと思わせて

(スーツの下には防弾チョッキを着ている)

カッコよく去ってもらったほうが良かった

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そこで「カット」

村田はゆっくり起き上がって、「”荒野の用心棒”方式ですね?」

ボスからの謝礼をギャラだと思い込んだまま

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村田は備後に「次の撮影の予定はあるんですかい」と尋ねると

備後は「いや、しばらく映画はやめて彼女と一緒に過ごそうと思う」と

備後のクラブの従業員(綾瀬はるか)を見つめる

「なるほど”荒野の七人”方式ですか」と笑う村田

そして夕暮れの「マジックアワー」の中、撮影隊は撤収していく

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いかがでしょうか(笑)

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ひとこと感想は「騙されるのなら、最後まで騙されたほうがイイ」



【解説】allcinema より

ラヂオの時間」「THE 有頂天ホテル」の三谷幸喜監督が贈る痛快エンタテインメント・コメディ。とある港町を舞台に、映画撮影と思い込み本物のギャング相手に幻の殺し屋を嬉々として演じる無名の三流役者と、彼を騙し通して人生最大のピンチを切り抜けようとするしがないホテル支配人の男が繰り広げる大騒動を実力派キャスト陣の豪華アンサンブルで描き出す。出演は佐藤浩市妻夫木聡深津絵里西田敏行
 港町・守加護(すかご)。街を牛耳るギャングのボス・天塩の愛人・マリに手を出してしまった手下のホテル支配人・備後。はたして天塩に捕まり絶体絶命となってしまう。助かる唯一の条件として天塩が示したのは、5日以内に幻の殺し屋“デラ富樫”を連れてくること。条件を飲んだ備後だったが、そう簡単に見つかるわけもなく、最後の非常手段としてニセモノを用意することに。そこで備後は、映画監督になりすまして無名の俳優・村田大樹を雇うと、映画の撮影と称して彼に殺し屋“デラ富樫”を演じさせ、天塩の前に差し出すのだったが…。

ラヂオの時間(1997)

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ハインリッヒ〜!

海外向けの英語タイトルは「Welcome back, Mr.McDonald」(笑)


面白いか、面白くないかといわれれば

確かに面白いシーンもあるのだけど


韓国映画を見た後のような疲れがドッとくる(笑)

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膨大なセリフを喚き散らす、しつこいやりとり

業界風のコジャレた小ネタ、強引な辻褄合わせと展開に

笑えるよりイラっとするのは私だけなのだろうか

人間の醜の部分ばかりを大げさに描き、とにかくウザい

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作風的には伊丹一三を思い出すけど

やっぱり伊丹は映画を知っていたんだな

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「ラジオ弁天」で、主婦(鈴木京香)が応募した脚本が

プロデューサー(西村雅彦)によって生放送ラジオドラマに採用

しかし放送直前に、ヒロイン役の女優(戸田恵子)のワガママで

脚本を変更することになります

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これって芸能界だけでなく、政治でも、スポーツでも

大物の「鶴の一声」で突然仕事が変更になる”あるある”

そのたびに周りのスタッフは、なんとか丸く収めようと走り回り

あの手この手の対処法を考えるわけですが

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言い出しっぺの当の本人は、何のおかまいもなし

できなきゃアンタをこの業界から消すだけ、のつもり

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すると相手役(細川俊之)まで、彼女がそうだったら俺だってと言い出す

舞台は熱海から→ニューヨーク→シカゴになり

職業は主婦から弁護士、漁師からパイロットになり

今度はスポンサーのことも考えなきゃいけない

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そのたびにナレーション(並樹志朗)で話をつなげ

ありえない設定に元音響の駐車場のおっちゃん(藤村俊二)を頼る

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ディレクター(唐沢寿明)は、せめてラストだけは

オリジナルのままにしようと訴えますが

案の定番組から外されてしまいます

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そんなこととはつゆ知らず

ラジオドラマに聞き惚れているトラック運転手(渡辺謙)

結局こういう人がひとりでもいたら

苦労をした甲斐があったということなのでしょうね

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登場人物はもっと少ないほうが見やすかったでしょう

アベンジャーズ(2012)もですが(笑)

主役級が何人もいるのは、一見豪華なようだけど

見ていて散漫することをわかってほしい


だた、面白いか、面白くないかといわれれば
面白いシーンもある(笑)



【解説】allcinema より

「警部補 古畑任三郎」などで知られる人気脚本家、三谷幸喜初監督によるコメディ映画。三谷幸喜がかつて主宰していた劇団「東京サンシャインボーイズ」の同名劇をもとに、ラジオ局内で繰り広げられるドタバタ劇をコミカルに描く。スピーディなカメラワークやストーリー展開、ツボを突いた笑いなど、才人・三谷幸喜の冴えた手腕が見どころ。唐沢寿明鈴木京香、西村邦彦共演。
 生放送のラジオドラマを控え、緊張気味のスタジオ。初めて書いた脚本が採用された主婦のみやこも、直前のリハーサルを見学していた。そんな中、突然主演の人気女優が設定を変えたいと文句を言い始める。困り果てたプロデューサーは、みやこに脚本の書き直しを依頼。だが他の出演者も口々に不満を漏らしはじめ、メロドラマだった物語は次第にアクションへと変貌してゆく。

禁断の惑星(1956)

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原題も「FORBIDDEN PLANET(禁じられた惑星)

 

2001年宇宙の旅」(1968)がこの世に誕生する前のスペースオペラの傑作

多くのSF的要素、デザイン、音楽、哲学的思考まで

今でも映画はもちろん、あらゆるカルチャーに

影響を与え続けているのがわかります

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円盤型の宇宙船、光線銃、見えない宇宙怪物
当時のSF映画としては十分な予算がかけられ

特撮にはディズニー映画の協力があったということ

オスカーを取れなかったのは「十戒」のせい (笑)

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キャラクターも魅力的で、まずはロボットのロビー

映画に最初に登場した、人格のあるロボットととして有名で

ユニークで愛らしくお人好し

しかもバーボンを1口飲ませただけで、1ガロンも再生産してくれるという(笑)

一緒に暮らすなら「ドラえもん」よりロビーを選ぶ(笑)

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ヒロインのアン・フランシスは、とにかくかわいい

マリリン・モンローに雰囲気が似ていて

男性目線でいうセックス・シンボル的なイメージなんだけど

顔も、スタイルも、衣装も、まるでバービー人形

オンナノコにも好かれる魅力を持っている

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調査隊を率いる隊長は若き日のレスリー・ニールセン

「裸の銃」の男が、実は2枚目出身だったとは()

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未知の惑星アルティア4号星に

消息を絶った調査隊を捜査するため、超光速宇宙船が着陸

乗組員の前に、生き残ったモービアス博士と

アルティア4号星で産まれた娘のアルティア

そして万能ロボットのロビーが現れます

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博士は、アルティア4号星の先住民クレール人の怒りにふれる前に

一刻も早く星から脱出するように忠告しますが

乗組員たちは、調査よりも美女を口説くことに専念(笑)

そして隊員のひとりが見えない怪物に殺されてしまいます

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「科学文明の頂点に達し、精神のみの高みに上ろうとした」

というクレール人の設定が秀逸で

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さらにクレール人の開発したマシンによって

具体化された「イド」の正体は

博士の潜在意識が作り上げた”怪物”だったのです

娘のペットたちまでもが獰猛になり、乗組員たちを襲う

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お堅い博士にとって純真な娘を口説く男たちが

(無意識に)邪悪な存在に感じてしまうのもあたりまえ

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だけど、娘は父親が思うより大人になっていたのです

親の元を去る日がやってきたのです

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本作を観ないでSF映画は語れない

どんなに科学が進歩しても、人間が神になる権利はないのです

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50年代の映画ポスターはお洒落だな

お部屋に飾りたい(笑)

 

 

【解説】allcinema より

西暦2200年、惑星アルテア4に到着した一行は、そこで以前の調査隊の生き残りであるモービアス博士に出会う。博士はアルテア4の絶滅した前文明を研究しており、ロボットのロビーと娘のアルティアと暮らしている。そして、この星には正体不明の透明な怪物も潜んでいた。原子砲の集中砲火を浴びて姿を現す怪物。だが、それは前文明の力によって博士の潜在意識が具現化した“イドの怪物”だった……。「2001年宇宙の旅」から遡る事十数年、放射能怪物が暴れ回る当時のSF映画界において、あまりにも斬新なアイディアと高尚なプロットを携えた、早すぎた秀作。だが難解な作品である訳もなく、シネマスコープ画面と優れたSFXに支えられた万人向けの娯楽作である事も間違いない。ロボットのロビーはそのユニークなデザインから人気を獲得、ロビーだけをフィーチャーした姉妹編「宇宙への冒険」も作られた。

さらばバルデス(1973)

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原題は「Valdez, il mezzosangue」(バルデス、混血)

 

仕事を求めて西部をさすらう少年ジェイミーヴィンセント・ヴァン・パタン

一晩の宿を求めて、野生馬放牧して生活する

白人とシャイアン族との混血男性バルデスチャールズ・ブロンソンと出会い
男の強さ、やさしさ、自分らしい生き方を学んでいき
旅立までを描いたジョン・スタージェス最後期の小品

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プロットはいいんです

助けを求めに入った家の家主が白人でないと知ったジェイミーは

最初バルデスを畏れるわけですが

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ブロンソンが渋いのはいつも通りだけど

エスタンスタイルが堂に入っていて、とにかくかっこいい(笑)

寡黙だけど親切だし仕事もできる、自分が正しいと思う信念を貫く

(馬の交尾を見て、ジル・アイアランドを押し倒すのは笑うしかない)

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ジェイミーはバルデスの牧場で働くことにします

男ふたりのクリスマスのお祝いのシーンがなんともいい

ヴィンセント・ヴァン・パタンが爽やかで可愛い(笑)

馬を放牧する雰囲気もとてもいい

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しかし大牧場主のマラルは野生馬を放牧させている

バルデスのやり方が気に喰わない

牧場の境界に有刺鉄線を張り巡らせ

そのせいでバルデスの馬が負傷してしまいます

おまけにマラルの妹のキャサリン(ジル・アイアランド)が

バルデスに惚れてしまっている

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バルデスとキャサリンは結婚の約束をしますが

怒ったマラルは(先住民との結婚を許せない)

部下たちを使い、ジェイミーの可愛がっていた仔馬を殺し

バルデスは瀕死の重傷を負います

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60年代までの西部劇なら、そこから主人公が悪玉に復讐し

ヒロインと結ばれ、颯爽に去っていくところですが

そんな単純明快にはならず

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結局は女も、牧場も諦め、負け犬のまま

それが先住民の血をひく者の定めなのかも知れないけれど

何とも不完全燃焼な終わり方

絶望的にするならするで、もう少し作り込んでほしかった(笑)

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ただしチャールズ・ブロンソンをかっこよく撮るのには成功してるので

ブロンソン・ファンは絶対必見です

ジル・アイアランドが西部劇に合わないのはびっくりするけど(笑)

 

 

【解説】KINENOTEより

開拓期も終わりに近い1880年代のニュー・メキシコを舞台に、孤独な西部男と近代的な牧場主の戦いを描く。製作はディノ・デ・ラウレンティス、監督・脚本は「シノーラ」のジョン・スタージェス、原作はリー・ホフマン、撮影はアルマンド・ナヌッツィ、音楽はグイド&マウリツィオのアンジェリス兄弟が各々担当。出演はチャールズ・ブロンソン、ヴィンセント・ヴァン・パテン、マルセル・ボザッフィ、ジル・アイアランドなど。