E.T.(1982)

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原題は「E.T. THE EXTRA-TERRESTRIAL」(地球外生命体)

あまりに有名すぎて、今更誰もレビューしない映画のひとつですが(笑)

誰にとっても思い出のある作品ではないでしょうか

まず宅配ピザというものに憧れた(笑)

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父親が愛人と出て行った、母子家庭の3兄妹

お兄ちゃんのマイケルは少し大人で、親より友達との関係を作り上げている

妹のガーティはまだ幼く両親の離婚について深く考えていない

10歳のエリオットだけが、父親がいない寂しさのせいでいじけてる

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そのエリオットが両親とはぐれ迷子になったE..と出会い

3兄妹はE..を匿うのです

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..も子どもたちも、とにかくリアクションがいい(笑)

ぬいぐるみに紛れたE..、妹の絶叫

お兄ちゃんの「話すのかよ」

ビールを飲んで酔っ払う

セサミ・ストリート、ジョン・ウェイン

白い布をかぶせてハロウィンに繰り出す

どのシーンもクスッとしてしまう

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自転車の暴走から空に飛び出すシーンの

ここぞとばかりのジョン・ウィリアムスのスコアは最高だし

アレン・ダヴィオーのカメラがまた素晴らしい

映像と音楽のダイナミズム

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大人はお母さんと、「10歳の頃からE.T.を待っていた」という

NASAの科学者の”鍵の男(Keys)”しか登場せず

ほかは防護服を着ているか、腰から下しか映し出さない

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本当に若い世代のため

または大人が童心に帰れるよう考えて制作されていて

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たとえE..が高等生物に見えなくても

ベタなお涙頂戴でもいい(笑)

子どもの豊かな想像力を膨らませることができる名作

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私たちに夢と憧れを与えてくれたアメリカは

いったいどこに消えてしまったんだろう

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【解説】KINENOTEより
宇宙人と地球の子供たちの交流を描くSFファンタジースティーブン・スピルバーグキャスリーン・ケネディが製作に当り、スティーブン・スピルバーグが監督。脚本は「マジック・ボーイ」のメリッサ・マシソン、撮影はアレン・ダヴュー、音楽はジョン・ウィリアムス、E・T創造はカルロ・ランバルディ、視覚効果はデニス・ミュレンの監修によりILMが担当。出演はディー・ウォーレスヘンリー・トーマスピーター・コヨーテロバート・マクノートンドリュー・バリモアなど。

アメリカ杉の森に、球形の宇宙船が着地し、なかから小さな宇宙人が数人出てきた。彼らは地球の植物を観察し、サンプルを採集する。1人だけ宇宙船から遠く離れた宇宙人が、崖の上から光の海を見て驚く。それは郊外の住宅地の灯だった。突然、物音がした。宇宙船の着陸を知った人間たちが、宇宙船に向かってきたのだ。宇宙船は危険を察知して離陸する。先ほどの宇宙人1人は、地上にとり残された。その頃、住宅地の1軒では、少年たちがカード遊びをしていた。10歳のエリオット(ヘンリー・卜ーマス)は、小さいという理由から、兄マイケル(ロバート・マクノートン)らの仲間にいれてもらえず、くさっていた。ピッツアの出前を受け取りに外へ出たエリオットは、物置小屋で音がしたことに気付いて、みんなを呼びよせた。しかし、中には誰もいなかった。深夜、エリオットはトウモロコシ畑で、宇宙人を目撃。翌日、夕食をたべながら、エリオットは宇宙人を見たことを話すが、誰も信じない。「パパなら…」というエリオットの言葉に、母のメリー(ディー・ウォーレス)は動揺する。パパは愛人とメキシコに行っているのだ。その夜もふけ、エリオットがポーチで見張っていると、宇宙人が彼の前に姿を現わす。エリオットは宇宙人を部屋に隠した。翌日、エリオットは仮病をつかって学校を休み、宇宙人とのコミニュケーションを試みた。そして帰宅した兄、妹ガーティ(ドリュー・バリモア)に紹介する。宇宙人は太陽系を遠く離れた星からやって来たことを、超能力でボールを宙に浮上させて説明した。次の朝、エリオットにマイケルの友達が、「怪物がいたか」と尋ね、宇宙人だと聞かされると、「ではエキストラ・テレストリアルだな」という。こうして宇宙人は以後、エキストラ・テレストリアルを略してE・Tを呼ぱれることになる。学校で授業をうけるエリオットと家にいるE・Tとの間に心が通いあい、E・Tが冷蔵庫からビールを取り出して飲むと、学校のエリオットも酔っぱらう。E・TがTVで「静かなる男」を見て、ジョン・ウェインモーリン・オハラのキスシーンに見とれていると、学校でエリオットがかわいい女の子にキスをする。E・TはTVの「セサミストリート」を見ながら、英語を覚え、家に電話したいといい出す。E・Tはノコギリや傘を使って通信器を作る。ハロウィーンの夜、子供たちはE・Tに白い布をかぶせて森に連れ出し、E・Tは故郷の星に連絡をとる。翌朝、E・Tは瀕死の状態となり、エリオットが彼を家に運ぶ。E・Tを始めて見て、驚くメリー。突然、宇宙服を着た科学者たちが家にやって来た。NASAの科学者キース(ピーター・コヨーテ)がエリオットに「私も10歳の時からE・Tを待っていた」と話しかける。E・Tは死亡し、最後のお別れをエリオットがしていると、E・Tの胸が赤くなる。彼は死んでいなかったのだ。エリオットは兄妹、兄の友人グレッグ、スティーブ、タイラーの協力を得て、E・Tを森に運ぶ。後を必死に追う科学者の一団。森の空地に着地した宇宙船に乗り込むE・T。宇宙船が消えたあと、空に美しい虹がかかった。




デジャヴ(2006)

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原題も「DEJA VU」(既視感

既視感(きしかん)とは、実際は一度も体験したことがないのに

すでにどこかで体験したことのように感じる現象のこと

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検死所でテロによる爆破で死亡した女性の死体に一目惚れした

ATF(アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局捜査官が

FBIが開発した、過去に行かなくても

過去のどんな場所でもモニターで透視できて、物質の移動も可能という

とんでもなく都合の良い(笑)システムを使い

テロを防ぎ女性を助けるというストーリー

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ご都合主義で、ツッコミどころ満載

しかもよく考えたらハッピー・エンドじゃなくて

ヒロインを助けた本人が死ぬというバッドエンド

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にもかかわらず、ストーリーそのものが崩壊することはなく

最後まで勢いで見せるのは、さすがのトニー・スコット(笑)

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伏線の回収もうまくて

被害者の女性クレアへの電話

冷蔵庫のマグネット

血の付いたガーゼ

ダグ(デンゼル・ワシントン)の指紋

未来から見た過去の映像の謎が

徐々にわかっていく過程にはスッキリ

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タグがテロから救った先には、命がけでクレアを愛したタグはいないし

デジャヴ・システムもなくなっているのだろうけど

(おそらくタグが死んだとは思っていない)

クレアはNewタグとうまくやってくれという感じ(笑)

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深いこと考えず、単純なラブロマンスとして楽しむのが正解

ヴァル・キルマーも出てるし(そこか? 笑)

 


【解説】allcinema より

パイレーツ・オブ・カリビアン」のジェリー・ブラッカイマー製作、「マイ・ボディガード」のトニー・スコット監督、デンゼル・ワシントン主演で贈るSFタッチのサスペンス・アクション。フェリー爆破事件の捜査に当たる主人公が、FBIが開発した不思議な映像装置を使って事件発生以前の時間を追体験しながら事件を解明していくが…。共演はヴァル・キルマーポーラ・パットン
 500人以上もの犠牲者を出した凄惨なフェリー爆破事件が発生する。捜査を開始したATF捜査官ダグ・カーリンは、その的確な捜査能力を買われ、FBIの特別捜査班への協力を要請される。彼は政府が極秘に開発した“タイム・ウィンドウ”と呼ばれる映像装置を見せられる。それは、過去の特定のエリアを自由に見ることが出来る驚くべき監視システムだった。ただし、この装置には現在から“4日と6時間前”の映像をリアルタイムで再生することしかできなかった。事件に関係ある場所を確実にスキャンするためにダグの判断力が求められたのだ。そして、事件直後に遺体が発見された女性クレアが鍵を握っていると確信したダグは、この装置で彼女の自宅を映し出し、4日と6時間前の生きていた彼女を目にするのだが…。

哀愁(1940)

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原題は「WATERLOO BRIDGE」( ウォータールー橋

ヴィヴィアン・リーが生前、出演作の中

最も好きなのがこの「哀愁」語っていたそうです

 

一目惚れ、身分の差、秘密の過去、結ばれない結末、という王道メロドラマ

シンプルにそれだけに徹している(笑)

しかも脇に立つ人間が、皆優しくていい人ばかりなことが

余計にヒロインの苦しみを際立たせる

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冒頭、ロマンスグレーでチョイ枯れたロバート・テイラー大佐が

ウォータールー橋で思い出に浸る場面から物語は始まります

 

1940年、ウォータールー橋で知り合った将校ロイ(ロバート・テイラー)と

バレエダンサーのマイラ(ヴィヴィアン・リー)は空襲で防空壕に逃げ込み

お互い好意を持ちますが、もう二度と会うことはないと思ったマイラは

戦場に向かうというロイに自分が大切にしていた幸運のお守り

ビリケンさんを渡すのです

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ビリケンさんは大阪の福の神かと思っていましたが(笑)

1908年にアメリカの芸術家、フローレンス・プリッツ

「夢で見た」神様を制作したもの

 

その夜ロイは大事な夕食会をすっぽかし

マイラの舞台を見に行きデートに誘いますが

団長のマダムはバレエ一筋、超厳しいんですね(笑)

それでも団員たちのはからいで、マイラはロイと会うことができます

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その場所が「キャンドルライト・クラブ」 というダンスホール

私が若い頃でいう「チークタイム」というのがありまして(笑)

やがてキャンドルがひとつひとつ消され

真っ暗になるとキス・・

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こういうクラブに若い女性を連れて行くなんて

実はこの男、女性を口説くかなりの上級者(笑)

 

今度こそ本当のお別れだったはずが

翌朝ロイが雨の中、マイラの寮の前に立っている

ロンドンでの滞在が2日伸びて、ロイはマイラに結婚を申し込みに来たのです

しかしその予定がまた1日短くなり、ふたりは結婚式をあげられなくなることに

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マダムの忠告を聞かず、ロイを駅まで見送りに行ったマイラはバレエ団をクビになり

マイラをかばった親友のキティも寮を出ることになります

 

だけど寮を出て初めてわかる

食事と住む場所があったことがいかに恵まれていたことか

キティはロイに援助してもらうようマイラに助言しますが

マイラのプライドがそれを許しませんでした

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しばらくして、ロイの母親がマイラに会うためやってきます

しかし待ち合わせ場所のレストランで見てしまったロイの死亡記事

意志喪失したマイラはロイママに酷い態度をとって怒らせてしまいます

体調を崩したマイラの治療のため、街の女になって身銭を稼ぐキティ

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一途にロイを愛していたマイラは、キティの行動を理解できませんでしたが

ウォータールー橋で見知らぬ男性に声を掛けられた時

絶望と貧しさで、彼女の人生も変わってしまうのです

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ヴィヴィアン・リーって、美人過ぎるせいで損をしている代表のひとり

ふとした表情だけで、全てを悟れる演技力はたいしたもの

特に破滅型をやらせたら逸品で

ここでも純粋無垢な娘が、大勢の男を流し目で品定めするまで

落ちぶれる女を見事に演じ分けています

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そこにロイが生きて帰って来た

なんと死亡記事は間違いだったのです

キティの応援もあり、マイラはロイと結婚するため

ロイの実家のスコットランドに向かいます

そこではロイママも、影響力のあるロイの伯父さんも

マイラを歓迎し、やさしく受け入れてくれました

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でもきっと、マイラは感じたのだと思います

誰もが自分の過去を感じつつ、知らないそぶりをしているのだと

戦時でしかたがなかったこと

助けてあげなかった自分たちのほうが悪い

なにより愛するふたりが幸せになることが大事

でも、そのやさしさに耐えきれなかった

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それとも、上流社会の高貴なボランティア精神に

追い打ちをかけられた、というべきでしょうか

ロイママや素敵な叔父さんのマイラへの同情は

被災地で飼い主や行き場を無くした、憐れな動物に対するものと同じ

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マイラが死を選んだのは、過去を恥じてでしょうか

それより私は、愛する男性との身分、家柄、教養・・

イギリス人なら誰でも知っている

 

決して埋め尽くせない、格差

このまま結婚したら、名家にとってゴシップ

死ねば、戦争によって引き裂かれた永遠のロマンス

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ラスト、ロバート・テイラーが全てをわかっている感で

ビリケンさんを握り絞め、再び任務に就く姿がまたいい

 

  まるでマリリンの墓参りを続けた、ジョー・ディマジオのようで

 

 

【解説】KINENOTEより

「響け凱歌」で共演した「風と共に去りぬ」のヴィヴィアン・リーと「椿姫(1937)」のロバート・テイラーが顔を合せての主演映画で1940年作品。ロバート・E・シャーウッド作の舞台劇『ウォータールー橋』の2度目の映画化(1度目は「ウォタルウ橋」'31)で「征服」のS・N・ベールマン、「キューリー夫人」のハンス・ラモー及び「心の旅路」のジョージ・フローシェルが協力脚色し「心の旅路」「キューリー夫人」のマーヴィン・ルロイが監督した。撮影は「ガス燈」「心の旅路」のジョゼフ・ルッテンバーグが指揮し、音楽は「育ち行く年」のハーバート・ストサートが作曲している。「剃刀の刃」のルシル・ワトソン、「勝鬨」のヴァージニア・フィールド、「征服」のマリア・オースペンスカヤ、「キューリー夫人」のC・オーブリー・スミス等が共演。

1940年燈火等制下のロンドン。ロイ・クローニン大佐はフランスへ赴任するのでウォータールー駅へ自動車を駆っている。駅に近くウォータールー橋にさしかかると大佐は車を降りる。橋は第1次大戦当時、爆破されて架橋し直したとはいえ、大佐には懐かしいのであろう。霧に霞むらんかんにもたれつつもの想いにふける。それは1917年、彼は25歳の陸軍大尉であった。スコットランドの旧家クローニン家に生まれ、フランスの戦野へ出征の途上、ロンドンで閑暇を楽しんでいるのだ。折しも空襲のサイレンが鳴り人々はウォータールー駅の避難所へ駆け出す。中の1人の女が何か落とした。大尉は手助けをして彼女と共に避難する。見れば美しい。まだ女学生と見える彼女はマイラと名乗った。オルガ・キローワ・バレエ団のダンサーなのだ。ロイは彼女の舞台を見物すると、夜食に誘ったのであるが、厳格なキローワ女史はマイラに行くことを禁じた。しかし彼女は親友のキティの助けでぬけ出して大尉と会った。翌日彼はマイラを訪ねて結婚を申込み、その次の日式を挙げる約束が出来た。ところがその晩彼女は速達便を受取った。出発命令が下ったから直ぐ立つ、会いたい、というのである。マイラは飛出して駅へかけつけたが走り行く車上に立つロイの姿をチラと見ただけであった。劇場に急いでもどると、舞台に穴をあけたというのでキローワ女史はクビを申し渡し、マイラの弁護をしたキティも諸共クビになった。貯蓄の全部を出した結婚衣装を買ったマイラは、ロイの母に会いに行った。その約束のカフェでマイラは不図見た新聞に、ロイ・クローニン大尉殉死の報を見て卒倒した。それから2ヵ月間マイラは病床にふした。就職口がないためにキティが夜の女となっていることを、全快して彼女は初めて知って、その友情に泣かされた。そして今やロイ亡きあと何の生甲斐もなくなったマイラは、自らもキティと同じ道に陥った。それから1年、ウォータールー駅でマイラは凱旋して帰ったロイと会った。彼の殉死は誤報だったのだ。彼女が待っていてくれたと思って喜んだ彼は、彼女の身の上の変化に気がつかず、彼女をスコットランドの家へ伴った。マイラは愛が絶対である。その他のあらゆる事は関係ないと、自分自身に言い聞かせたが、もしも彼女の1年間の行状が知れれば、ロイの破滅となるに違いないと思い直して、ロンドンへひとり帰ってしまった。ロイは後を追ったがマイラは身を隠した。マイラは思い出のウォータールー橋の上に、いつか来てしまっていた。何度考えても彼女は愛するロイに幸福を与えることは出来ないとしか思えない。思いつめたマイラは突進して来る軍用トラックの前に身を投げて最期をとげたのであった

踊る大紐育(ニューヨーク)(1949)

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原題は「ON THE TOWN 」(街に出て=浮かれ楽しんで)


ロケによる撮影が実現した初めてのミュージカル映画

巡洋艦から3人の水夫が飛び出してNew York New Yorkで始まり

New York New Yorkで終わるゴキゲンな構成

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ミュージカル・ナンバーはMGMなだけにどれも最高の出来で

何の悩みも、難しいこともなく

出会った男女が、歌って、踊って、一晩楽しみ

次の朝には何の後腐れなくハイさようなら

最後まで明るくてハッピーな気分になれます

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ニューヨーク港の朝6時

すごい勢いで海軍の水兵たち飛び出して来るやいなや

さあ観光するぞ、デートする女の子を見つけるぞと大騒ぎ

上陸時間は24時間、しかも大都会ニューヨーク

高鳴る気持ちは良くわかります(笑)

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ゲイビー(ジーン・ケリー)は地下鉄に貼ってあった

今月のミス地下鉄」アイヴィのポスターに一目惚れ

仲間のチップ(フランク・シナトラ)と

オジイ(ジュールス・マンシュイン)を誘い

アイヴィを探しに行くことにします

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ブルックリン橋、セントラル・・パーク、自由の女神イエローキャブ

自然史博物館、ロックフェラー・センター

エンパイア・ステートビル、コニーアイランド・・・

人種ごとの夜のクラブ(でもフィナーレは一緒 笑)

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ジーン・ケリーのダンスはもちろんのこと

タップの女王、アン・ミラーのタップダンスが素晴らしいし

コメディ担当はベティ・ギャレットや

彼女のルームメイト役のアリス・ピアースのやりとりも愉快

警察官だっていきなはからい

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3人の水兵は去り

新たにやってきた巡洋艦から水兵たちが降りてくる

そしてまた一夜の恋が生まれるのでしょう

過去も未来もない、一晩限りの思い出

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当時絶大な人気だったフランク・シナトラをロケに連れ出すには

大変な対策が取られたそうですが(笑)

この1本でニューヨーク観光ができました

 

【解説】KINENOTEより

「踊る海賊(1948)」のアーサー・フリードが製作しジーン・ケリイが主演と共同監督を受け持つ1949年度色彩ミュージカル。アドルフ・グリーンとベティ・カムデンの原作音楽劇から原作者が脚色しケリイとともに振付家スタンリー・ドーネンが監督している。撮影は「大編隊」のハロルド・ロッソン、音楽は舞台におけるレナード・バーンスタインバレエ音楽からレニイ・ヘイトンが監督している。主演はジーン・ケリイのほか、「奇蹟の鐘」のフランク・シナトラ、「イースター・パレード」のアン・ミラア、ベテイ・ガアレット、ヴエラ・エレン、ジュールス・マンシュインらの舞台人が活躍する。

24時間の休暇をもらった3人の水兵ゲイビイ(ジーン・ケリイ)チップ(フランク・シナトラ)オジイ(ジュールス・マンシュイン)は紐育見物としゃれたが、ゲイビイはポスターの女アイヴィ(ヴエラ=エレン)に惚れ込み、ポスターの示す通り博物館に出かけた。館の教授クレア(アン・ミラア)はオジイに大変な思召し、チップはタクシーの女運ちゃんブランヒルド(ベティ・ガアレット)から熱を上げられた。やっとシンフォニー・ホールでアイヴィをみつけたゲイビイが、嬉しがったのも束の間、たちまち女は消えてしまった。が、彼女は踊子の身を恥じてコニイ・アイランドの舞台に逃げていたのだ。見世物小屋ではブランヒルドを車持ち逃げ犯人と思いこんで追って来た警官隊が6人と衝突、大騒ぎになるが、クレアの機智と警官の粋を利かした計らいで、すべてはうまくおさまった。翌朝、帰営する3人の水兵に、女3人は熱い接吻を贈って別れを惜しんだ。

足ながおじさん(1955)

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原題も「DADDY LONG LEGS

児童文学としてあまりにも有名で

日本にも「あしなが育英会」というのがありますが

 

なんか、今見たら援助交際(笑)

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孤児院の少女ジュリーが、月に一度手紙を書くという条件で

名前を明かさず大学の学費を援助してくれる謎のスポンサーを

「足ながおじさん」と呼び、ああでもない、こうでもない、と想像して

約束通り手紙を本人に送るというもの

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やがてジュリーは手紙で、ルームメイトのサリーの兄のジミーや

ジュリアの伯父さんで年上のジャービスとの恋愛の悩み

将来のことを手紙で打ち明け相談するようになります

「足ながおじさん」がジャービスだとも知らずに

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アステア50代半ばのミュージカルで

撮影中にアステア夫人が急死してしまい

ショックを受けたアステアは演技不能となり

(ダンスナンバーにアステアの姿がないシーンがあるのはそのため)

再び演じる決心をしたという作品

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でもそんなこと感じない、相変わらず優雅なダンスで

特に大学でのスルーフットが最高

クラシック・バレエ出身だというヒロイン、レスリー・キャロン

アステアのいないソロは正直退屈

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私が思う原作のヒロインのイメージとも違って、ちょっとがっかり

ジュリーは赤毛でパンチパーマのあけすけなタイプより

おさげとかポニーテールの、文学的なヲタク美少女のほうがいい

レスリー・キャロンが悪いわけではない 笑)

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アステアと秘書のフレッド・クラークとセルマ・リッターおばさんの

上司と部下の関係を超えた3人の掛け合いは楽しい

こういう人間関係を築き上げるのには

同じ職場に何十年も勤めないといけないのだろうけど(笑)

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ラストはジャービスが「足ながおじさん」だと知ったジュリーが

プロポーズを受けてハッピーエンド

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でもジュリーが「足ながおじさん」だと思っていた

愛する男性(30代の大学教授とか、大手出版社の社長)とは別に

純粋にジュリーの手紙と成長を楽しみにしている

(妻と娘を亡くしそれ以来誰も愛せなかった)老紳士

本物の「足ながおじさん」がいた、という展開のほうがよかったな

(世界的名作にそんなケチつけるのオマエだけ 笑)

 

 

【解説】allcinema より

フォックスのミュージカル(専らウォルター・ラングが演出していた)もMGMと比較すれば垢抜けない事この上ないのだが、主演にF・アステアとL・キャロンを招き、洒脱な恋愛コメディに腕を奮っていたJ・ネグレスコを演出に当たらせた事で、このウェブスターの少女小説ミュージカル映画化はかなりの成功を納めた。キャロンのもたらすフレンチ・ムードを損なわないよう、主人公ジュリーをフランスの孤児院出身としたのも正解。パリで絵を学んだネグレスコによる、「巴里のアメリカ人」への返答めいた映画で、やはり美術(セット)を活かしたプロダクション・ナンバーが秀逸。

127時間(2010)

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原題も「127 Hours

 アメリカの登山家、アーロン・ラルストンの実話をもとにしたサバイバル・ドラマ

ほぼジェームズ・フランコのひとり芝居で、彼の代表作といっていいでしょう

観客を飽きさせない工夫も満載で

見ている側までが峡谷に閉じ込められた気分に、十分なります(笑)

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冒頭、1本の水筒につめた水

蛇口からこぼれる水滴

棚の上忘れたスイス製のナイフ

留守電から流れる女性(妹)の声を無視して外に出て車に乗り

都会の喧騒を通り抜け、ブルー・ジョン・キャニオンにトレッキングに向かう

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日本でも、おひとりさまで山に行き自分スタイルで過ごす

「ソロキャンプ」がちょっとしたブームになっていますが

アーロンも、週末のひとときくらいはわずらわしい人間関係から離れて

ひとりで大自然の中、過ごしたいタイプ

しかも幼い頃から慣れ親しんできた場所

この日も行き先を誰にも告げず

最小限の持ち物だけで出かけてしまうのです

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途中、道に迷った女の子ふたりをガイドし

峡谷の地下プールに飛び込んで楽しみ

明日のパーティに誘われ行くことを約束します

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ふたたびひとりでキャニオニングを楽しんでいると、突然岩が落下

狭い岩壁の間に落ち、右腕を石に挟まれてしまったところで

ようやく「127 Hours」と、タイトルが出る

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焦りと冷静

少ない道具で脱出するためにはどうしたらいいか

考える、考える、考える

正気を保つため持参したビデオで自分を撮影し

苦痛と孤独を紛らわすために楽しいこと夢想

やがて強烈な喉の渇きと脱水症状から

幻覚めいたものも見るようなる

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ジュースやソーダCM

子どもの頃の思い出

雪の降る夜、狭い車の中で乱交パーティ

元カノとの出会いと別れ

岩が動いて助かる夢

割れ目から覗く空、顔を這うアリ

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なぜあの時妹から来た電話に出なかったのだろう

自由気ままに生きてきたことを初めて後悔する

 

そして体力も気力も尽きかけた6日目

「懐中電灯を買った時に、万能ツールとしておまけでもらった」

切れないナイフでアーロンは(1時間かけ)

岩に挟まれた右腕の皮膚を裂き、骨を砕いたのです

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公開時には、リアルな描写に気を失う観客も出たそうで(笑)

しかもほぼ実話ということで、脱出したシーンの爽快感や解放感はないんですね

そこからまた助けを探しに行かなきゃいけない

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泥水があったのも、トレッキング中の親子に出会えたのも

彼がいかに強運であるかという証拠

そしてこの127時間で、アーロンは家族の大切さを実感するのです

ラストには結婚して子どもを儲けた、本物のアーロンの姿が映されます

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でもこういう無謀なチャレンジをする人間って

バカなのかなんなのか(褒めています)

死ぬ目にあっても、また無謀なチャレンジをするものだよな(笑)

その後も登山を続け、いつかはエベレストを目指しているそうです





【解説】allcinema より

アカデミー賞受賞作「スラムドッグ$ミリオネア」のダニー・ボイル監督が、青年登山家アーロン・ラルストンの奇跡の実話を映画化した衝撃のサバイバル・ヒューマン・ストーリー。誰も寄りつかない大自然の峡谷でアクシデントに見舞われ、身動きのとれない絶体絶命の窮地に陥った青年が、肉体と精神の極限からいかにして生還を果たしたかを、主人公の心の軌跡とともにリアルかつエモーショナルに綴ってゆく。主演は「スパイダーマン」シリーズ、「スモーキング・ハイ」のジェームズ・フランコ
 ある日、27歳の青年アーロンは一人でロッククライミングを楽しむため、庭のように慣れ親しんだブルー・ジョン・キャニオンへと向かった。美しい景観の中で様々な遊びに興じて大自然を満喫するアーロン。ところが、ふとしたアクシデントから、大きな落石に右腕を挟まれ、谷底で身動きがとれなくなってしまう。そこは誰も寄りつかない荒野の真ん中。おまけに彼は行き先を誰にも告げずに出てきてしまった。絶望的な状況と自覚しながらも冷静さを失わず、ここから抜け出す方法を懸命に模索するアーロン。しかし無情にも時間ばかりが過ぎていき、彼の強靱な体力と精神力もいよいよ限界を迎えようとしていた。

 

アマンダと僕(2018)

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原題は「Amanda」ですが

物語の主題である「Elvis has left the Building」(エルヴィスは建物を出た)

のほうが、結果として良くも悪くもしっくりする


独身男が身寄りのなくなった幼い女の子を引き取って面倒を見る、という

プロットは「うさぎドロップ(2011)に似ているのですが

うさぎドロップ」が(私だけかも知れないけど)気持ち悪く感じるのに対して

こちらは苦悩や悲しみがリアリティに描かれているぶん

ラストには静かな感動がありました

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主に賃貸の仲介業をする、何でも屋のダヴィッド

シングルマザーで仲良しの姉が突然死んでしまい(2015年パリ同時多発テロ

姉のひとり娘で7歳のアマンダが孤児となってしまいます


ダヴィッドが役所に今後のことを相談しにいくと

後見人制度について資格があるのが自分と、大叔母(ダヴィッドの父親の妹)と

ロンドンにいる祖母(離婚したダヴィッドの母親)の3人だと説明されます

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ダヴィッドは仕事も不安でまだ24歳、しかもアマンダは女の子

作中でははっきり描かれていませんが、世間体も抵抗もあるでしょう

かといって遊びたい盛りのアマンダを年老いた叔母に押し付けるのは忍びないし

ロンドンの母親とは長い間絶縁状態

施設を見学に行くものの、外出の自由のなさに入所をためらう

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とりあえず昼間はダヴィッドが学校の送り迎えと放課後の世話

夜は叔母の家に泊まるという日々が始まります


本当に悲しい時、人は泣いてる暇なんかないんだな

愛する人を失った喪失感のなか忙しく駆け回っている

だけど、ただ歩いている時、友人と話している時

ふとした瞬間に、突然抑えきれない慟哭が襲ってくるのです

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同時に押し寄せてくる責任と不安

でもダヴィッドはやさしくて

回りで支えてくれる人間も「助け合うのがあたりまえ」というか、皆いい人なんですね

しかも親切心を押し付けない


こういうスマートでさりげない思いやりを

私も身につけたいものです

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姉が遺してくれたウィンブルドンのチケット

ダヴィッドとアマンダはロンドンに行き

そこではじめてアマンダは「おばあちゃん」に会い
ダヴィッドは母親との確執を昇華するのです

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自分やアマンダに何かあった時に、本当に頼れるのは身内だけ

あたりまえの人間なら、誰だって他人に迷惑をかけたくない

ダヴィッドのアマンダの後見人になる決意が固まります

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ラストはウィンブルドンセンターコート

応援している選手が一方的な負け試合になりそうになり

アマンダは涙を流し「Elvis has left the Building」と嘆く

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だけど一転、試合は40-40デュースに持ち越す

これがアマンダの見た、彼女の生きるべき道

アマンダの晴れていく表情が素晴らしい

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派手さはなく、時にパリのお洒落感もたっぷり味わえますが

大切な人を亡くした経験のある方なら、涙が止まらないかも知れません

それも「温かい涙」が



【解説】映画.COMより

突然の悲劇で肉親を失った青年と少女の絆を描き、2018年・第31東京国際映画祭で最高賞の東京グランプリと最優秀脚本賞をダブル受賞したフランス製ヒューマンドラマ。パリに暮らす24歳の青年ダヴィッドは、恋人レナと穏やかで幸せな日々を送っていたが、ある日、突然の悲劇で姉のサンドリーヌが帰らぬ人になってしまう。サンドリーヌには7歳の娘アマンダがおり、残されたアマンダの面倒をダヴィッドが見ることになる。仲良しだった姉を亡くした悲しみに加え、7歳の少女の親代わりという重荷を背負ったダヴィッド。一方の幼いアマンダも、まだ母親の死を受け入れることができずにいた。それぞれに深い悲しみを抱える2人だったが、ともに暮らしていくうちに、次第に絆が生まれていく。監督・脚本はこれが長編3作目のミカエル・アース。主人公ダヴィッド役はフランスの若手俳優バンサン・ラコスト。アマンダ役はアース監督が見いだしたイゾール・ミュルトリエ。