127時間(2010)

f:id:burizitto:20210321142832j:plain

原題も「127 Hours

 アメリカの登山家、アーロン・ラルストンの実話をもとにしたサバイバル・ドラマ

ほぼジェームズ・フランコのひとり芝居で、彼の代表作といっていいでしょう

観客を飽きさせない工夫も満載で

見ている側までが峡谷に閉じ込められた気分に、十分なります(笑)

f:id:burizitto:20210321142847j:plain
冒頭、1本の水筒につめた水

蛇口からこぼれる水滴

棚の上忘れたスイス製のナイフ

留守電から流れる女性(妹)の声を無視して外に出て車に乗り

都会の喧騒を通り抜け、ブルー・ジョン・キャニオンにトレッキングに向かう

f:id:burizitto:20210321142906j:plain
日本でも、おひとりさまで山に行き自分スタイルで過ごす

「ソロキャンプ」がちょっとしたブームになっていますが

アーロンも、週末のひとときくらいはわずらわしい人間関係から離れて

ひとりで大自然の中、過ごしたいタイプ

しかも幼い頃から慣れ親しんできた場所

この日も行き先を誰にも告げず

最小限の持ち物だけで出かけてしまうのです

f:id:burizitto:20210321142923j:plain
途中、道に迷った女の子ふたりをガイドし

峡谷の地下プールに飛び込んで楽しみ

明日のパーティに誘われ行くことを約束します

f:id:burizitto:20210321142944j:plain
ふたたびひとりでキャニオニングを楽しんでいると、突然岩が落下

狭い岩壁の間に落ち、右腕を石に挟まれてしまったところで

ようやく「127 Hours」と、タイトルが出る

f:id:burizitto:20210321143003j:plain
焦りと冷静

少ない道具で脱出するためにはどうしたらいいか

考える、考える、考える

正気を保つため持参したビデオで自分を撮影し

苦痛と孤独を紛らわすために楽しいこと夢想

やがて強烈な喉の渇きと脱水症状から

幻覚めいたものも見るようなる

f:id:burizitto:20210321143019j:plain
ジュースやソーダCM

子どもの頃の思い出

雪の降る夜、狭い車の中で乱交パーティ

元カノとの出会いと別れ

岩が動いて助かる夢

割れ目から覗く空、顔を這うアリ

f:id:burizitto:20210321143034j:plain
なぜあの時妹から来た電話に出なかったのだろう

自由気ままに生きてきたことを初めて後悔する

 

そして体力も気力も尽きかけた6日目

「懐中電灯を買った時に、万能ツールとしておまけでもらった」

切れないナイフでアーロンは(1時間かけ)

岩に挟まれた右腕の皮膚を裂き、骨を砕いたのです

f:id:burizitto:20210321143053j:plain
公開時には、リアルな描写に気を失う観客も出たそうで(笑)

しかもほぼ実話ということで、脱出したシーンの爽快感や解放感はないんですね

そこからまた助けを探しに行かなきゃいけない

f:id:burizitto:20210321143116j:plain
泥水があったのも、トレッキング中の親子に出会えたのも

彼がいかに強運であるかという証拠

そしてこの127時間で、アーロンは家族の大切さを実感するのです

ラストには結婚して子どもを儲けた、本物のアーロンの姿が映されます

f:id:burizitto:20210321143133j:plain
でもこういう無謀なチャレンジをする人間って

バカなのかなんなのか(褒めています)

死ぬ目にあっても、また無謀なチャレンジをするものだよな(笑)

その後も登山を続け、いつかはエベレストを目指しているそうです





【解説】allcinema より

アカデミー賞受賞作「スラムドッグ$ミリオネア」のダニー・ボイル監督が、青年登山家アーロン・ラルストンの奇跡の実話を映画化した衝撃のサバイバル・ヒューマン・ストーリー。誰も寄りつかない大自然の峡谷でアクシデントに見舞われ、身動きのとれない絶体絶命の窮地に陥った青年が、肉体と精神の極限からいかにして生還を果たしたかを、主人公の心の軌跡とともにリアルかつエモーショナルに綴ってゆく。主演は「スパイダーマン」シリーズ、「スモーキング・ハイ」のジェームズ・フランコ
 ある日、27歳の青年アーロンは一人でロッククライミングを楽しむため、庭のように慣れ親しんだブルー・ジョン・キャニオンへと向かった。美しい景観の中で様々な遊びに興じて大自然を満喫するアーロン。ところが、ふとしたアクシデントから、大きな落石に右腕を挟まれ、谷底で身動きがとれなくなってしまう。そこは誰も寄りつかない荒野の真ん中。おまけに彼は行き先を誰にも告げずに出てきてしまった。絶望的な状況と自覚しながらも冷静さを失わず、ここから抜け出す方法を懸命に模索するアーロン。しかし無情にも時間ばかりが過ぎていき、彼の強靱な体力と精神力もいよいよ限界を迎えようとしていた。