原題も「127 Hours」
アメリカの登山家、アーロン・ラルストンの実話をもとにしたサバイバル・ドラマ
ほぼジェームズ・フランコのひとり芝居で、彼の代表作といっていいでしょう
観客を飽きさせない工夫も満載で
見ている側までが峡谷に閉じ込められた気分に、十分なります(笑)
冒頭、1本の水筒につめた水
蛇口からこぼれる水滴
棚の上に忘れたスイス製のナイフ
留守電から流れる女性(妹)の声を無視して外に出て車に乗り
都会の喧騒を通り抜け、ブルー・ジョン・キャニオンにトレッキングに向かう
日本でも、おひとりさまで山に行き自分スタイルで過ごす
「ソロキャンプ」がちょっとしたブームになっていますが
アーロンも、週末のひとときくらいはわずらわしい人間関係から離れて
ひとりで大自然の中、過ごしたいタイプ
しかも幼い頃から慣れ親しんできた場所
この日も行き先を誰にも告げず
最小限の持ち物だけで出かけてしまうのです
途中、道に迷った女の子ふたりをガイドし
峡谷の地下プールに飛び込んで楽しみ
明日のパーティに誘われ行くことを約束します
ふたたびひとりでキャニオニングを楽しんでいると、突然岩が落下
狭い岩壁の間に落ち、右腕を石に挟まれてしまったところで
ようやく「127 Hours」と、タイトルが出る
焦りと冷静
少ない道具で脱出するためにはどうしたらいいか
考える、考える、考える
正気を保つため持参したビデオで自分を撮影し
苦痛と孤独を紛らわすために楽しいこと夢想
やがて強烈な喉の渇きと脱水症状から
幻覚めいたものも見るようなる
ジュースやソーダのCM
子どもの頃の思い出
雪の降る夜、狭い車の中で乱交パーティ
元カノとの出会いと別れ
岩が動いて助かる夢
割れ目から覗く空、顔を這うアリ
なぜあの時妹から来た電話に出なかったのだろう
自由気ままに生きてきたことを初めて後悔する
そして体力も気力も尽きかけた6日目
「懐中電灯を買った時に、万能ツールとしておまけでもらった」
切れないナイフでアーロンは(1時間かけ)
岩に挟まれた右腕の皮膚を裂き、骨を砕いたのです
公開時には、リアルな描写に気を失う観客も出たそうで(笑)
しかもほぼ実話ということで、脱出したシーンの爽快感や解放感はないんですね
そこからまた助けを探しに行かなきゃいけない
泥水があったのも、トレッキング中の親子に出会えたのも
彼がいかに強運であるかという証拠
そしてこの127時間で、アーロンは家族の大切さを実感するのです
ラストには結婚して子どもを儲けた、本物のアーロンの姿が映されます
でもこういう無謀なチャレンジをする人間って
バカなのかなんなのか(褒めています)
死ぬ目にあっても、また無謀なチャレンジをするものだよな(笑)
その後も登山を続け、いつかはエベレストを目指しているそうです
【解説】allcinema より
アカデミー賞受賞作「スラムドッグ$ミリオネア」のダニー・ボイル監督が、青年登山家アーロン・ラルストンの奇跡の実話を映画化した衝撃のサバイバル・ヒューマン・ストーリー。誰も寄りつかない大自然の峡谷でアクシデントに見舞われ、身動きのとれない絶体絶命の窮地に陥った青年が、肉体と精神の極限からいかにして生還を果たしたかを、主人公の心の軌跡とともにリアルかつエモーショナルに綴ってゆく。主演は「スパイダーマン」シリーズ、「スモーキング・ハイ」のジェームズ・フランコ。
ある日、27歳の青年アーロンは一人でロッククライミングを楽しむため、庭のように慣れ親しんだブルー・ジョン・キャニオンへと向かった。美しい景観の中で様々な遊びに興じて大自然を満喫するアーロン。ところが、ふとしたアクシデントから、大きな落石に右腕を挟まれ、谷底で身動きがとれなくなってしまう。そこは誰も寄りつかない荒野の真ん中。おまけに彼は行き先を誰にも告げずに出てきてしまった。絶望的な状況と自覚しながらも冷静さを失わず、ここから抜け出す方法を懸命に模索するアーロン。しかし無情にも時間ばかりが過ぎていき、彼の強靱な体力と精神力もいよいよ限界を迎えようとしていた。