原題も「ZODIAC」(黄道帯)
ゾディアックとは1968年から1974年にかけて
サンフランシスコ市内で若いカップルを中心に少なくとも5名を殺害し
新聞社や警察に多量の犯行声明文を送りつけ捜査をかく乱した連続殺人犯のこと
「ダーティハリー」(1971)に登場する
連続殺人犯スコルピオのモデルになったことでも有名
しかしハリーは法やルールを無視してでも解決しましたが
現実は未だ未解決
なので全くスッキリしないままラストを迎えます(笑)
前半の殺害シーンなどはフィンチャーらしい
インパクトある凝ったカメラワークが登場したり
刑事のマーク・ラファロ
凄腕新聞記者のロバート・ダウニー・Jr
ゾディアックの声明文に魅了されてしまった
クロニクル紙の風刺漫画家ジェイク・ギレンホール
といった、それぞれのキャラも際立っていましたが
後半が堂々巡りで、長い(笑)
パーンと30分くらい削って、一気にラストにもっていったほうが
もう少しは面白くなったと思う
細かな史実を知りたい人は原作を読めばいいし
無駄に長い作品作りたいなら
あとからディレクターズ・カット版だせばいいだけのこと(笑)
1969年7月の19歳の男性と22歳女性がヴァレーホの駐車場で銃撃され
男性は瀕死の重傷を負ったものの助かった事件
(と、その前の1968年の未成年カップルの殺害)は
その後警察に、犯人しか知りえない情報の電話がかかってきたことや
女性をストーカーしていたことや、後に助かった男性の供述のとおり
アーサー・リー・アレン(IQ136)が犯人なんだろうな
1969年9月の湖畔でのカップル殺傷事件(ナイフで女性だけ殺害)と
同年10月のタクシー運転手射殺事件も
目撃者の「小太り」「足を引きずってる」というという評言
あらゆる状況証拠から、犯行はリーの可能性が高いと誰でも思ってしまう
でもその後の声明文や暗号文は
すべて本物の犯人から送られたものなのだろうか
(2014年、元海軍従軍牧師で戦時中は暗号解読の任務に就いていた
アール・ヴァン・ベスト・Jrの筆跡と指紋の一部が一致し第二容疑者に浮上)
ロバート・ダウニー・Jrも、声明文に書かれた内容は
すでに報道されているものばかりと、後から気付いているし
最後まで筆跡鑑定ばかりに頼ったのはなぜだろう
(映画ポスターの文字を書いた男はどうなった? 笑)
だからリーは、いくら警察の捜査が入っても怖くない
どこかだれかの模造犯や愉快犯のおかげ
手紙は自分が出したものじゃないから
5年後、再びゾディアックを名乗る声明文が届きますが
再び注目を浴びるための、自作自演だと疑われてしまうマーク・ラファロ
そんな中ただひとり、最後までゾディアック事件に
憑りつかれたままの「ヲタク」ギレンホール
飽きれた奥さんは「ゾディアックの本でも書けば」と勧めます
執筆のためだと思えば、無駄に過去の事件を追っていても
諦めはつくわな(笑)
1986年「Zodiac」は出版され、ベストセラーになりました
映画のほうは、アラン・J・パクラになれなかった
デヴィッド・フィンチャーという感じで
いかにも不完全燃焼でしたが(笑)
アメリカでは執行猶予がないのか
50年以上経ち、関係者のほとんどが死んでしまった今でも
捜査を続けていることには敬意を示します
【解説】allcinema より
「セブン」「ファイト・クラブ」のデヴィッド・フィンチャー監督が全米を震撼させた実在の未解決事件に挑むクライム・サスペンス。“ゾディアック”と名乗る謎の犯人が引き起こした連続殺人事件をそれぞれの立場から追究するものの、得体の知れない犯人に翻弄され運命を狂わされていく男たちを描く。出演は「ブロークバック・マウンテン」のジェイク・ギレンホール、「グッドナイト&グッドラック」のロバート・ダウニー・Jr。<br> 1969年7月4日、カリフォルニアでドライブ中の若いカップルが銃撃され女性は絶命した、と警察に通報が入る。そしてその通報者は最後に“犯人は俺だ”と言い残していた。それから約1ヶ月後、サンフランシスコ・クロニクル紙に一通の手紙が届き、7月の事件を含め2件の殺害を実行したとする声明文が書き記されていた。それは、のちに自らを“ゾディアック”と名乗る者からの最初の手紙だった。さらに、そこには謎の暗号文も添えられ、それを新聞の一面に載せなければ大量殺人を決行する、と脅迫してきたのだった。以来、同紙の記者エイブリーと風刺漫画家グレイスミスは、この一件と暗号解読に並々ならぬ執着をみせ没頭していく。一方、サンフランシスコ市警の刑事トースキーとアームストロングも取り憑かれたようにゾディアックを追いかけるが…。