「いい警官は謎解きで眠れず、悪い警官は良心が眠らせない」
原題は「Insomnia」(不眠症)
1997年に公開されたノルウエー映画の同名リメイク
殺人犯を追跡中、誤って同僚を撃ち殺してしまった刑事と
それを目撃した殺人犯とが、お互いの殺人を隠蔽しようとするストーリー
ラストがありきたりなのがちょっと惜しいですが(笑)
最初から最後まで、適度な緊迫感が続くのはとてもいい
悪いことと知りながら保身に走ってしまった主人公の心情も理解できる
アル・パチーノの名演と手堅い作り
ロビン・ウィリアムズの悪役も話題になりました
アラスカのナイトミュートという町で17歳の女子高生ケイが撲殺され
全裸でごみ捨て場に捨てられるという事件が起こり
ロス市警(無理やりな設定だな 笑)殺人課の
刑事ウィル・ドーマー(アル・パチーノ)と
ハップ・エクハート(マーティン・ドノヴァン)が
事件解決のためやってきます
ふたりを迎えたのは、学生時代からドーマーを尊敬している
新人刑事のエリー(ヒラリー・スワンク)
ドーマーは(白夜で眠れないため)休む間もなく遺体を確認すると
犯人の痕跡が綺麗に消えていることから、犯人がいかに冷静で
さらに死因とは別に複数の古いアザがあることから
ケイが彼氏のランディから暴力を受けていたことを突き止めます
殺人の第一容疑者はランディ
しかしケイの部屋を調べるてみると、高価な服やアクセサリーが見つかり
(本棚にはウィルター・フィンチという作家のミステリー小説)
ランディによるとケイには他にも男がいたと言います(ケイを殴った原因か)
さらに釣り小屋から事件当日ケイが身に着けていたバックが見つかり
ドーマーは犯人が再び現場に訪れる傾向があることを利用し
犯人をおびき寄せるため、新聞に(証拠品の)「バックを探している」という
偽の記事を掲載させるよう命じます
ドーマーの洞察力とアドバイスにいちいち感激するエリー
一方でドーマーはロス市警から内務調査を受けていました
ドーマーには、かっての捜査で少年を虐殺した犯人が証拠不十分のため
釈放されるのを阻止しようと証拠を捏造した過去があったのです
そのことを唯一知る相棒のハップは
内務課に(正義感と保身のため)真実を報告するつもりだと
ドーマーに打ち明けます
そのことは凶悪犯を再び世の中に送り出すことになると
猛烈に反対するドーマー
新聞記事を読んだ犯人が現れることを祈り
釣り小屋を張りこむドーマー、ハップ、地元警察官たち
案の定バックを探しに犯人がやってきたものの、すぐに異変に気付き逃走
犯人を追うものの現場は濃霧に覆われ、木々が生い茂り険しい足元
やっと犯人を見つけドーマーが発砲
駆け寄ったドーマーが見たのは倒れたハップの姿でした
「口封じのために撃ったのか」と、そのまま息絶えてしまうハップ
しかも近くには犯人が落としたと思われる銃
ドーマーはとっさに落ちていた銃を隠し、銃声を聞いてやってきたエリーに
(犯人に)ハップが撃たれたと嘘をつきます
日の落ちない夜と、自らの不正への罪悪感で不眠症となってしまうドーマー
(唯一理解してくれるのは宿の女主人だけ)
そんな中、犯人と思われる人物から「真相を知っている」という電話があり
さらにケイの部屋にあったアクセサリーを買ったのが
小説家のウォルター・フィンチ(ロビン・ウィリアムズ)だと判明します
ケイ殺害の第2容疑者
ドーマーがウォルターの家を訪ねると
ウォルターは意外にもドーマーを快く歓迎し
自分がなぜケイを殺したのかを打ち明けます
ウォルターの小説のいちファンのケイと知り合い
若くて可愛い女子高生との付き合いは、ウォルターに純粋な恋心と
作品への創作意欲を沸せます
彼女が欲しがるもの、なんでもプレゼント
紳士的に付き合い、お金も時間も使って待った
なのに彼女を求めたときの答えは
売れないオヤジ作家が、JKと付き合おうとかマジで笑える
(正確な字幕ではありません 笑)気が付いたら殺していたと
さらにハップを撃ち殺したのを見たことを黙秘する代わり
ケイを殺害したのは恋人のランディに仕立てるよう持ちかけます
しかもウォルターはそれらの会話を全てテープに録音しており
ドーマーは応じるしかありませんでした
ドーマーはランディの部屋に忍び込み
隠し持っていたウォルターの銃を潜ませます
(死んだ犬に発砲してまで証拠を捏造するプロ根性)
ランディはケイとハップの殺害容疑で逮捕、事件は解決となり
ドーマーはロスへ帰ることにします
その頃ドーマーに言われた通り、報告書を見直していたエリーが
いくつかの不審な点に気づきます
犯人が逃げた方向とハップが受けた銃創の角度の違い
殺害現場で見つかったワルサー9ミリの弾丸
それはドーマーが予備の銃として使っていたものでした
エリーはもう一度ウォルターに聞き取りをするため、彼の家に向かいます
そのことを知らされたドーマーは飛行機に乗るのをやめ
現場に駆け付けると、エリーを殺そうとしていたウォルターと相撃ち
ウォルターは死に(死体になっても薄ら笑いで水中に沈んでいく演技の上手さよ)
ドーマーはエリーに真相を打ち明けようとします
エリーがドーマーをかばうため、ハップの死は事故だったと
証拠品の弾丸を捨てようとすると
「道を見失うな」と叫ぶドーマー
ドーマーはかっての自分をエリーに見ていたのです
犯罪撲滅のため、悪人を成敗し弱者を救うことを信念に
仕事に燃えていた若かりし日
でも凶悪犯を逮捕しようとするあまり、事件を捏造
道を誤ってしまった
自分はもう二度とやり直せない
でもエリーにだけはそうなって欲しくない
不眠症の男がやっと眠れたとき、それは息絶えたときでした
【解説】映画.COMより
「メメント」のクリストファー・ノーランの長編第3作は97年の同名ノルウェー映画のリメイク。製作総指揮にスティーブン・ソダーバーグとジョージ・クルーニーが参加。白夜の季節のアラスカの小さな町で、全裸の少女の猟奇殺人事件が発生、ロサンゼルス警察のベテラン警部ドーマーと相棒は捜査に赴く。が、ドーマーは警察上層部から彼の内偵を命じられていた相棒を事故死させ不眠症に陥り、猟奇殺人犯は彼の弱みを知り取引きを申し出る。
2002年製作/119分/アメリカ
原題:Insomnia
配給:日本ヘラルド映画
劇場公開日:2002年9月7日