原題は「THE ROBE」 (ローブ)
ハリウッド初のシネマスコープ作品
(横縦比は2.35:1「聖衣」は2.55:1 ← 今更どうでもいいがな)
として話題となり、アメリカだけでなく日本でも大ヒットしたそうです
しかも監督はヘンリー・コスター
音楽はアルフレッド・ニューマン
レオン・シャムロイのカメラ
主演はリチャード・バートンにジーン・シモンズという豪華スタッフ
が、今となっては語られない映画のひとつ(笑)
理由としては、スペクタクル史劇の大作にもかかわらず
「十戒」のような大掛かりな奇跡は起こらず
「ベン・ハー」のような派手な戦闘シーンもない
どちらかといえば忠実にキリスト教義を唱えたプロパガンダ映画で
作り手の誠意は感じるけど、
日本人には印象が薄かったのかも知れません
ストーリーはローマ帝国の護民官マーセラス(リチャード・バートン)が
イエスを磔(はりつけ)にしたことで激しい苦悩に襲われるというもの
やがて奴隷ディミトリアスや、イエスに魂を救われたという女性ミリアム
イエスの弟子だったペトロからの
「赦し」と「隣人を愛せ」という教えによってクリスチャンに目覚め
皇帝カリギュラ(ジェイ・ロビンソン)に処刑されるまでが描かれています
そこで「聖衣」(キリストが磔のとき身にまとっていたローブ)が
重要なアイテムとして登場しますが、その布に魔力があるというより
それがきっかけで主人公の良心への葛藤が生まれるというもの
そのうえカリギュラは単純な愚帝一直線に描かれているので
難解さが一切ないのがわかりやすい(笑)
でもカリギュラの立場になってみれば
新興宗教の教祖様と貧しい人々が一体となり
あちこちで集会や運動を行っていたら、実際恐ろしいだろうし
先祖代々伝わっている自分たちの宗教を守ろうとしたのは
あたりまえだったのかも知れない
奴隷制度を批判して殉教したマーセラス
でもそのキリスト教の国が最近になっても
奴隷法違反で摘発されているのは皮肉な話よね
【解説】allcinema より
構想に十年、当時の値打ちで製作費450万ドルをかけた大作で、ハリウッドがテレビ界への対抗手段として打ち出したシネマスコープが初めて導入された記念すべき第一作。これにより20世紀FOXはアカデミー特別賞を受賞した。タイベリアス皇帝治下のローマ。キリストを処刑したローマの護民官マーセラスは、その後良心の呵責から恐怖に脅え、深い苦しみに溺れる。が、かつて奴隷として使いキリスト処刑後、姿を消したギリシア人デメテリオの導きにより神の心に触れ、宣教を志すようになる。R・バートン、J・シモンズなど豪華な顔ぶれによる聖書物語。アカデミー美術賞、衣装デザイン賞受賞。「ディミトリアスと闘士」に続く