聖衣(1953)

f:id:burizitto:20210208203209j:plain

原題は「THE ROBE (ローブ)


ハリウッド初のシネマスコープ作品

横縦比は2.35:1聖衣2.55:1   今更どうでもいいがな

として話題となり、アメリカだけでなく日本でも大ヒットしたそうです

f:id:burizitto:20210208203129j:plain
しかも監督はヘンリー・コスター

音楽はアルフレッド・ニューマン

レオン・シャムロイのカメラ

主演はリチャード・バートンジーン・シモンズという豪華スタッフ

f:id:burizitto:20210208203249j:plain
が、今となっては語られない映画のひとつ(笑)


理由としては、スペクタクル史劇の大作にもかかわらず

十戒」のような大掛かりな奇跡は起こらず

ベン・ハー」のような派手な戦闘シーンもない

f:id:burizitto:20210208203312p:plain
どちらかといえば忠実にキリスト教義を唱えたプロパガンダ映画で

作り手の誠意は感じるけど、

日本人には印象が薄かったのかも知れません

f:id:burizitto:20210208203333j:plain
ストーリーはローマ帝国護民官マーセラス(リチャード・バートン)が

エスを磔(はりつけ)にしたことで激しい苦悩に襲われるというもの

やがて奴隷ディミトリアスや、エスに魂を救われたという女性ミリアム

エスの弟子だったペトロからの

「赦し」と「隣人を愛せ」という教えによってクリスチャンに目覚め

皇帝カリギュラ(ジェイ・ロビンソン)に処刑されるまでが描かれています

f:id:burizitto:20210208203349j:plain
そこで「聖衣」(キリストが磔のとき身にまとっていたローブ)が

重要なアイテムとして登場しますが、その布に魔力があるというより

それがきっかけで主人公の良心への葛藤が生まれるというもの

f:id:burizitto:20210208203408j:plain
そのうえカリギュラは単純な愚帝一直線に描かれているので

難解さが一切ないのがわかりやすい(笑)

f:id:burizitto:20210208203436j:plain
でもカリギュラの立場になってみれば

新興宗教の教祖様と貧しい人々が一体となり

あちこちで集会や運動を行っていたら、実際恐ろしいだろうし

先祖代々伝わっている自分たちの宗教を守ろうとしたのは

あたりまえだったのかも知れない

f:id:burizitto:20210208203452j:plain
奴隷制度を批判して殉教したマーセラス

でもそのキリスト教の国が最近になっても

奴隷法違反で摘発されているのは皮肉な話よね

 

 

【解説】allcinema より

構想に十年、当時の値打ちで製作費450万ドルをかけた大作で、ハリウッドがテレビ界への対抗手段として打ち出したシネマスコープが初めて導入された記念すべき第一作。これにより20世紀FOXはアカデミー特別賞を受賞した。タイベリアス皇帝治下のローマ。キリストを処刑したローマの護民官マーセラスは、その後良心の呵責から恐怖に脅え、深い苦しみに溺れる。が、かつて奴隷として使いキリスト処刑後、姿を消したギリシア人デメテリオの導きにより神の心に触れ、宣教を志すようになる。R・バートン、J・シモンズなど豪華な顔ぶれによる聖書物語。アカデミー美術賞、衣装デザイン賞受賞。「ディミトリアスと闘士」に続く