クォ・ヴァディス(1951)

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「よく生きるだけでは不十分 よく死なねば」

 

原題の「QUO VADIS 」とはラテン語で”どこに行くのか?”の意味で

ローマを離れたペテロがイエスと出会った時に問いかけた言葉

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ローマ史劇としては初のカラー作品

十戒(1956)ベン・ハー(1959)などの

一連の歴史スペクタクル・ブームの走りだったそうですが

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ラブストーリーやホームドラマで有名なマービン・ルロイらしく

ブリタニア遠征からローマに戻ったマーカス将軍(ロバート・テイラー)と

リギアの元王女で奴隷の身のリジア(デボラ・カー)という

ふたりの架空の人物の恋が軸足で

そこに暴君ネロ(ピーター・ユスティノフ)のローマ帝国

キリスト教徒との戦いが描かれていきます

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脚本はやや物足りないのですが

暴君ネロが超マザコンな「冬彦さん」タイプなので

わかりやすくマジでむかつく(笑)

もしかしたら「冬彦さん」は ピーター・ユスティノフ

モデルだったのかも知れません(笑)

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大量のエキストラを動員した暴動やローマの炎上

豹やライオンを使った迫力あるシーン

リジアのボディガード、ウルスス(本物のヘビー級ボクサー)が

猛牛と格闘するシーンは圧巻

カメラはロバート・サーティース

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マニアには、エリザベス・テイラーキリスト教信者の囚人アレナ)のカメオ出演

まだ無名時代のソフィア・ローレンリジアの奴隷

見つけ出すというお楽しみもあります(笑)

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1世紀前葉、ローマ神が信仰されているローマ

英国遠征を終えたマーカス将軍は皇帝ネロとの引見を延期されている間

リジアの王女リジア(デボラ・カー)と知り合い心奪われます

が、リジアが禁断のキリスト教信奉者だと知ります

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それでもふたりは激しく愛し合い、結婚の約束をしますが

マーカスはリジアが信仰を捨てる気持ちのないことに耐えきれず

ネロの妃ポッペアの誘惑に身を捧げてしまいます

(簡単に浮気するマーカスもいいかげんなヤツだがな)

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その頃ネロは、ネロポリスという新しい首都を建設するため

ローマを灰燼(かいじん)に帰すため火を放ち

キリスト教に放火の罪をきせようとしていました

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ローマが燃えていると知ったマーカスは、戦車で現場に向かい

群衆を避難させ、リジアを見つけ出し助けますが

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ネロはキリスト教徒に更なる弾圧を加えようと

彼らを捕らえ闘技場に引き出し猛獣の餌食にしようとします

マーカスとリジアも捕らえられ、獄中でキリスト教の結婚式を挙げるふたり

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いよいよリジアが猛牛の餌食になろうとした時

ボディガードのウルススは牛の首をねじ伏せて倒します

立腹したネロはマーカスとリジアを殺せと叫びますが

民衆はネロこそ罪人だと非難します

錯乱したネロはポッペアを絞め殺し

愛人アクテ(キリスト教徒のユダヤ人奴隷)の短剣で自殺
マーカスとリジアとウルススはかってのマーカスの部下に助けられ

シチリアへと旅立つのでした

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これじゃあ、ローマ帝国が滅びるのもあたりまえ(笑)


キリスト教徒側から見れば、悪虐非道な暴君に描かれてるネロですが

史実では外交や公共事業などで治世を行なっていた時期もあったというのは

なんとなくヒトラーを思い出しますね

しかもローマ軍の敬礼の仕方までナチスそっくり!(映画上の演出かもしれない)

意外と退屈することなく3時間楽しめました




【解説】KINENOTEより

MGMがイタリアのチネチッタ撮影所で作った1952年度作品で、ヘンリック・シェンキーウィッチの原作を映画化したテクニカラーの古代史劇。登場人物3万、セット115 と称される大作で、監督は「百万$の人魚」のマーヴィン・ルロイ(サイレント時代イタリアで三度映画化されている)。脚本はジョン・リー・メイン「ショウ・ボート(1951)」、S・N・ベールマン「哀愁」、ソニア・レヴィーン「アメリカ交響楽」の3人が共同執筆し、音楽は「三つの恋の物語」のミクロス・ローザ、撮影は「悪人と美女」のロバート・サーティースと「印度の放浪児」のウィリアム・V・スコールの担当。主演は「黒騎士」のロバート・テイラーと「ゼンダ城の虜(1952)」のデボラ・カーで、「ンリー五世」のレオ・ゲン、英国の俳優・監督・脚本家のピーター・ユスチノフ、英国女優パトリシア・ラファン、「黒騎士」のフィンレイ・カリー、エイブラハム・ソフィア、マリナ・バーティ、バティ・ベア、フェリックス・エイルマーらが助演。