「皆、グリーンマイルを歩いているのだ」
”グリーンマイル”とは刑務所で死刑囚が最期に歩く緑色の通路のこと
三時間強とあって、さすがに何度も見ようとは思いませんが(笑)
スティーブン・キング原作作品では「スタンド・バイ・ミー」と
「ショーシャンクの空に」に並ぶ好きな作品
とにかく脇を固める俳優が素晴らしい
鼠までが見事な演技を魅せてくれます(笑)
ポール(トム・ハンクス)はコールド・マウンテン刑務所の看守主任
そこに双子の少女殺しの罪で、黒人の大男
ジョン・コフィー(マイケルクラーク・ダンカン)がやって来ました
「飲むコーヒーと似ていますが、スペルは違います」
つまらない、意味がわからないと酷評する人も多いようですが
コフィーはキングのイメージするキリスト
どこからきたのかわからない、心優しい超能力者
他人の辛さや痛みを共有し、病気の人を救います
同時に愛を利用して悪事を働く人間は決して許さず、制裁を下します
やがて疲れ、絶望していました
この世は不条理で、正しさや、優しさが報われるより
ずる賢い人間が優位に立つことのほうが多い
コフィーは虐められ恨まれ無実の罪で死刑を宣告されています
だけどその刑務所で、はじめて自分に優しくしてくれた人々に出会います
だからパーシー(ダグ・ハッチソン)が踏み潰された
デル(マイケル・ジェッター)の可愛がる鼠、ミスター・ジングルスを助け
ポールの尿道結石や、所長(ジェームズ・クロムウェル)の
妻メリンダ(パトリシア・クラークソン)の病気を治すのです
好きなエピソードは自分の死刑執行が近づき
ミスター・ジングルスを心配するデルに
副主任のブルータス(デヴィッド・モース)が
鼠たちが幸せに暮らす「ネズミの園」の話をするところ
もちろんそんなお伽の国があるわけないことをみんな知ってます
だけどブルータスのデルを思いやる気持ちに心を打たれるのです
しかしデルを嫌うパーシーはそんな和やかムードが気に入らない
ポールにデルの死刑執行人をさせてくれと依頼します
そうしたらもう迷惑はかけないし、違う部署に移動願いを出すと言うのです
そしてデルの死刑の日、パーシーはリハーサル通りにせず
わざと乾いたままのスポンジで電流を流させデルを惨死させるのです
刑務所中を漂う焦げた死臭に歓喜するワイルド・ジム(サム・ロックウェル)
数多くの強盗と殺人を犯した凶悪犯で
彼こそが双子の少女をレイプし惨殺した真犯人でした
コフィーは双子の少女と、デルの痛みと苦しみを感じ泣いていました
ポールに連れ出されたコフィーは全てを察し、所長の妻の部屋に行き
メリンダから吸い取った病気をパーシーの体内に吐き出します
その瞬間、生気も正気も失ってしまったパーシーはワイルド・ジムを撃ち殺し
別の部署ではなく精神病院へ送られます
コールド・マウンテン刑務所の看守たちのなかには
コフィーの超能力を疑う者はもう誰もいませんでした
もしかしたら彼らは、マタイやヨハネやマルコとルカなのかも知れません
(12使途いたかどうかは未確認 笑)
パーシーとワイルド・ジムは、イエスと共に磔になった罪人
デュスマスとゲスタスだろうか
コフィーの死刑執行の日、集まったのはコフィーが双子の少女殺しだと信じ
恨み続けている両親と多くの人々でし本当は少女たちを救うためにやってきた
だけどどんな強いパワーを持っていても、できないこともある
それは死人を蘇えさせること(それは悪魔の仕事だから・・たぶん 笑)
コフィーは電気椅子の上で憎まれながら死んでいき
若い看守のディーン(バリー・ペッパー)は哀しみに耐えきれず涙します
そしてポールとミスター・ジングルスは、永遠と思える命を与えられます
それは何を意味するのか
私は「奇跡」は本当にあると伝えるためだと思います
普通に見ても、感動するシーンやセリフが多くありますが
(尿道結石が治って激しい夜の生活を取り戻せたとか ← そこか?笑)
「キリストの磔刑(たっけい)」をかみ砕き、親しみをもたせ
ここまでわかりやすくした手腕はさすが
明日から自分はもっとやさしくなれる、そんな映画でしょう
【解説】allcinemaより
「ショーシャンクの空に」のフランク・ダラボン監督&スティーブン・キング脚本コンビが放つ感動作。トム・ハンクス主演。1935年。大恐慌時代のアメリカ、ジョージア州のコールド・マウンテン刑務所の死刑囚舎房で看守を務めていたポールのもとに、少女2人をレイプし殺害した罪により投獄された、巨体の黒人死刑囚コフィーが送られてくる。しかし、コフィーの性格はその巨体に似合わず臆病で物静かだった。そのころポールは重い尿道炎に冒されていて、ある日、ポールは激痛の為、舎房内で倒れてしまう。が、そのとき、コフィーが不思議な力でポールの尿道炎を治して……。
さすがは元々ホラー系のコンビ。ただ泣かせるだけの感動作と思って観ると、予想に反してエグい描写に思わず驚く。奇跡の力に頼った分だけ「ショーシャンク」に比べるとドラマが弱いが、それでも3時間を越える長尺を一気に見せる秀作。トム・ハンクスはもとより、脇を固める俳優も個性的で印象深い。