「この道は人生と同じ 先は見えなくともベストを尽くす」
原題は「A Walk in the Woods」(森の中の散歩)
原作は1998 年に発表されたビル・ブライソンのノンフィクション紀行本
これを見たなら誰もが、ポール・ニューマンの生前に
レッドフォードと共演してほしかった思うはず
レッドフォード本人も制作が決定した2007年のインタビューで
ニューマンと一緒に最後の映画を撮ってほしかったとコメントしたそうです
残念ながらその時すでにニューマンは癌と診断されていて
撮影できる状態ではありませんでした
あと5年早く映画の制作が決まっていればと悔やまれます
「アパラチアン・トレイル」とはアメリカ東部のジョージア州から
メイン州にかけて14州にまたがる約3,500kmの自然歩道
年間訪問者は約400万人、踏破するのは一割
春の雪解けにスタートし、最終地点のメイン州カタディン山が閉鎖される
10月15日までゴールすることを目指すそうです(最速制覇は45日)
当時46歳だったビル・ブライソンを
世界一爽やかな爺(当時)齢80のレッドフォードが扮します
三浦 雄一郎じゃあるまいし(笑)
実際の撮影は大変だったことでしょう
相棒はレッドフォードより4歳若い ニック・ノルティ
【ここからネタバレあらすじ】
人気紀行作家のビル・ブライソンは、故郷アメリカに帰り
妻(エマ・トンプソン)や孫たちと穏やかに過ごしていましたが
いつか「アパラチアン・トレイル」に挑戦したいと思っていました
過酷な旅に奥さんは猛反対、しかし熱意に負けてしまい
ひとりで行くのだけは禁止だといいます
そこでブライソンはかっての友人たちを誘いますが、なにしろ高齢(笑)
病気を理由に断られてしまいます
そこにやってきたのが、40年前仲違いして音信不通だったカッツ
だけど太っているし、足は悪いし、本当にアンタ大丈夫?って感じ(笑)
案の定、ハイキングでは他のハイカーやボーイスカウトに追い抜かれ
ふたりはかなりのスローペース
おまけにお喋りなウザイ女ハイカーに付きまとわれる始末
ふたりは朝早く起きて、彼女を置いて出発し
若い男女が運転する車に拾ってもらい次の町に入ります
「アパラチアン・トレイル」って登山とは違って
コース中に町があって、モーテルやダイナーで休憩したり
スーパーなどで食料や物資の補給
ランドリーで溜まった洗濯物をするなど
かなりフレキシブル(柔軟性がある)
ブライソンはモーテルの女性経営者とちょっとイイ感じになり
(メアリー・スティーンバージェンに堕ちない爺はいない 笑)
カッツはランドリーで太ったマダムと話が弾んでデートの約束
だけどマダムの旦那がバットを持ってモーテルまでカッツを襲いにきた
慌てたふたりは荷物をまとめ窓から逃げ出します
再びトレイルを歩き始めるブライソンとカッツ
どんなにドタバタで、何があっても、カッツがアバウトすぎるので(笑)
喧嘩にもならないのがいい(笑)
だけどカッツにもアルコール中毒で苦しんでいた時期がありました
絶景を眺めながら、最後の酒瓶の中身を捨てる
大自然の前では、死ぬほど辛かった自分の悩みでさえ
所詮小さなもの
その夜(か、どうかわからんが)2頭の巨大なクマが現れ
次の日(か、どうかわからんが)
「熟練ハイカーのみ」という標識を見落としたふたりは
勾配のきつい道にさしかかり、やがて崖沿いを歩くハメになり
ついに数メートル下の崖下へ落ちてしまいます
はるか下には川、救助を呼ぶ手立てもない
シャツとズボンでロープを作ってみたけれど登れるはずもない(笑)
だけどそこにあったのは、絶望を忘れるくらい素晴らしい景色と
満天の星空
そして翌朝、序盤にも現れた若いマッチョ自慢なふたり組が
崖下のふたりを発見し救出、救助隊にバギーで運ばれ
結局ふたりはトレイルをリタイアするのです
だけど、踏破した人間だけがヒーローなわけじゃない
たとえ成功しなくても、自分だけのやりたいことを
やり遂げることだって生きていくのには大切なこと
旅の終わりは、バス乗り場で別れ
やがてカッツから届いた絵葉書にホロリとくる
【ネタバレあらすじ終了】
とにかく、キャンプやハイキングが好きなアウトドア派には見てほしい
主人公同様に「アパラチアン・トレイル」に挑戦したくなること
間違いありません
【解説】allcinemaより
人気ノンフィクション作家ビル・ブライソンのベストセラー紀行本『ビル・ブライソンの究極のアウトドア体験 北米アパラチア自然歩道を行く』をロバート・レッドフォードとニック・ノルティの共演で映画化したコメディ・ドラマ。全長約3500kmの“アパラチアン・トレイル”踏破という無謀な冒険に挑戦した悪友2人が、老体に鞭打ちながら繰り広げる珍道中の行方をユーモラスに綴る。監督は「旅するジーンズと16歳の夏」「だれもがクジラを愛してる。」のケン・クワピス。
長年英国で暮らしていた紀行作家のビルは、故郷の米国へ戻り、ほぼセミリタイア状態で悠々自適の生活を送っていた。しかし平穏な毎日に物足りなさを感じていた彼は、近くを通る北米有数の自然歩道“アパラチアン・トレイル”を踏破したいとの欲望がふつふつと湧き上がる。しかし全長は3500kmにも及び、順調に進んでも半年はかかる過酷な行程。最低でも同行者がいなければ許可できないという妻を納得させるため、一緒に旅してくれる仲間を探すもなかなか見つからない。そんな中、40年来音信不通となっていたかつての悪友カッツが旅の相棒を買って出る。こうして老境を迎えたオジサン2人は、いざ過酷なロングトレイルへとその一歩を踏み出すのだったが…。