囚われの美女(1983)

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タイトルはマグリットの「LA BELLE CAPTIVE」(囚われの美女 )から
ルネ・マグリット(1898~1967 68歳没)とはベルギー生まれの
シュルレアリスム運動(無意識の探求・表出による人間の全体性の回復)の重要人物
現実ではありえない夢の中の不合理性を突き詰めた画家

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ザ・ビートルズが、自ら1968年に興したレコードレーベル
アップル・レコードのデザインは、ポール・マッカートニーが所有する
マグリットの絵が使用され、猥褻か芸術か物議を呼んだそうです

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話はそれましたが(笑)
マグリットの「囚われの女」を見れば
アラン・ロブ=グリエがオマージュを捧げていたことがわかります
マグリットの絵画のように、海辺に額縁を置くことで虚構を生み
額縁は取れますが赤い幕は残り、手前にあったものが遠くだったりする
まさしく夢の中の不合理性

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それでもロブ=グリエのなかでは最もわかりやすい作品だと思います
過激なシーンはほぼないですし、時系に連続性があり
一応ストーリーもある(笑)
日本では唯一の、ロブ=グリエの劇場公開作品です

 

【ここからネタバレあらすじ】

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男はダンスクラブで踊る金髪の美女に心を奪われます
ロブ=グリエは音楽にも精通しているご様子 笑)
しかし彼女は場所も電話番号も教えてくれない、名前も失ったという
そこにボスのサラから電話がきて目を離した隙に美女は消えてしまいます

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サラからの指令は、ある大物に今晩中に伝言の書いた手紙を渡すということ
車を走らせ任務に向かう途中、道端でさきほどの美女が
血を流し後ろ手に縛られ倒れていました

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医者を呼ぼうと近くの屋敷に助けを求めに行くと
黒いタキシードの怪しい男たち、 突然裸になる女
次の日目が覚めると、屋敷の中は荒れ誰もいませんでした

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手紙を渡すはずの大物のところに行けば、男はすでに死んでいて
売店の新聞で美女も殺されていたことを知る

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果たして美女は実在したのか
残されたのは彼女を縛り付けていたチェーンと
血のついた片方のサンダルだけ

【ネタバレあらすじ終了】

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「快楽の漸進的横滑り」(1974)もですが
片方の靴はシンデレラ(消えた理想の女性)の象徴
これは冥界の美女を探し続ける
(よく言えば)ロマンチック・ホラーなのだと思います
それとも高度すぎるギャグなのか(笑)

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これでベベちゃんのロブ=グリエ特集は終わり
とにかく、美女、美女、美女は堪能できます

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ひとこと感想は、アート系映画を6作連続で見るのは
さすがに疲れる、でした(笑)


【解説】映画.comより
フランスで第2次大戦後に巻き起こった文学界のムーブメント「ヌーヴォー・ロマン」の旗手といわれる作家アラン・ロブ=グリエが監督・脚本を手がけ、シュルレアリスム画家ルネ・マグリットの多数の絵画をモチーフに描いた不条理サスペンス。デューク・エリントンのジャズナンバーが流れる場末のナイトクラブ。なまめかしく踊るブロンド美女を、黒いスーツ姿の男が見つめている。その男バルテルは、地下組織で情報の運び屋をしている。バルテルが目を離した隙に、女は姿を消してしまい……。出演は「逃げ去る恋」のダニエル・メグイシュ、「婚約者の友人」のシリエル・クレール。日本では1989年6月に劇場公開。