エデン、その後(1970)

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原題は「L'éden et après」(エデンとアフター)
“『不思議の国のアリス』と『O嬢の物語』の恐るべき邂逅“と
評価されたロブ=グリエ初のカラー作品

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アートフィルムとして傑作、冒頭から素晴らしいですね
サディスティックだけど、ギリギリしか見せないし
セックスシーンそのものもないので、女性でも抵抗なく見れると思います
ただし、寝落ちしてしまう人も多いようです(笑)

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相変わらず女優の選球眼はたいしたものもの
女の子を縛って、目隠しして、檻に閉じ込めるのも
女の子をより美しく、セクシーに見せるため

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ロブ=グリエは人形好きのペドフィリア(小児愛者)だったそうですが
意外にも実生活は真面目で(笑)妻(カトリーヌ・ロブ=グリエ)一筋
そんなロブ=グリエが唯一寝ていたのが本作に出演していた女優
(女優名は明かされていません)なのだそうです
しかし浮気を許容しあっていたので、夫婦の関係が壊れることはなかったそうです
さすがおフランスですね

 

【ここからネタバレあらすじ】

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モンドリアンの迷路のような「カフェ・エデン」で
大学生のヴィオレットは友人たちと、SM儀式や殺人といった
ごっこ遊び」に興じていました、でも楽しくはない

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ある日、デュシュマンと名乗る謎の男がやってきて
学生たちに魔法の粉の与え、学生たちも刺激を求めてその粉を舐め
混沌の世界へと誘われていくようになります

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しかしそれにも飽きてきた若者たちは
ヴィオレットの持つ高価な絵画を売って、旅に出る計画します
デュシュマンもその絵を狙うひとり

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ヴィオレットの部屋から絵画は消え
彼女は消えた絵画とデュシュマンを探しにチュニジアを訪れます
そこでアラブ人に誘拐され、目隠しされ監禁されてしまいます

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チュニジアって綺麗で魅力的な国ですね
青いドアの真っ白い箱家、白い岩、白い砂浜に青い海のコントラスト

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そんな美しい場所で血だらけのバスタブ
レズビアン(分身)
SMプレイ中の女の子たちのヌードやセミ・ヌード
お決まりの誰かが死んだり、生き返ったり(笑)

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そして再びふりだしに戻り
すべては「ごっこ遊び」だったというオチ

【ネタバレあらすじ終了】

 

ロブ=グリエカタルシスは必要ない(笑)
ここまで同じことを繰り返す姿勢は、ある意味清々しい

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それでもロブ=グリエの作品には、レイプや拷問のような性嗜好の
有害なイメージを少なくしたいという試みがあったようです
それをただの前衛映画に終わらせなかったのは
彼がどんな監督より卓越した画力の持ち主だったからでしょう

 


【解説】映画.comより
ヌーヴォー・ロマン」の旗手と呼ばれたフランスの作家で前衛的な作品を多数手がけた映画監督でもあるアラン・ロブ=グリエの監督第4作。カフェ・エデンにたむろするパリの大学生たち。退廃的な遊戯や儀式に興ずる彼らの前に、謎の男が姿を現す。男が差し出した麻薬らしき粉末を摂取したバイオレットは、死や性愛をめぐる様々な幻覚に襲われる。ロブ=グリエ監督にとって初のカラー作品で、めくるめくエロティックな幻想を極彩色の映像で表現した。バイオレット役に「あの胸にもう一度」のカトリーヌ・ジュールダン。日本では、特集上映「アラン・ロブ=グリエ レトロスペクティブ」(18年11月23日~、東京・シアター・イメージフォーラム)で劇場初公開。