気狂いピエロ(1965) アンナ(1966) デジタルリマスター版

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仕事以外のあらゆる行事が中止になって
スポーツクラブも休館だし、暇ができたので(笑)
はじめて池袋の「新文芸坐」に行ってみました

名作2本立てて1450円は交通費を入れてもお得
しかもポップコーンは袋菓子で150円(他にパンなど軽食あり)
飲み物も自動販売機でコンビニ程度の価格で良心的
ただラブホや風俗店が見え隠れする場所にあるので
グーグルマップ見ながら到着するまでちょっと不安になりましたが(笑)

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朝イチ、1本目はゴダールの「気狂いピエロ
私も10代の頃、何を思ったか
ボードレールプラトンを読んだことがありますが
全くと言っていいほど理解できませんでした

ヒロインが「私だって韻を踏めるのよ」というセリフがありますが
日常会話で”韻”が必要な意味がわからない

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本作ではベルモンドがバスタブでベラスケス論=ディエゴ・ベラスケス
(17世紀スペインバロック期に最も活躍した宮廷画家)の朗読から始まり
ピエ・ニクレにルノワールピカソの絵
ボードレールやフォークナーやランボーの詩

かっての恋人アンナ・カリーナと、殺人や詐欺を繰り返し逃避行
ドライブにクルーズ、ギャングが現れ簡単に消えていく

愛した彼女は、自分を利用しただけの裏切り者だった
女とその男を殺し、ダイナマイトを顔に巻き付け爆死
大学でフランス文学や英国文学でも学んだならとともかく
わかります?
これ、あなたわかります?(笑)

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だけど、こんな文学ヲタクの戯言だけど
ときどき”はっ”とするセリフがあったり
映像センスは抜群に良いのよね


しかも自分は醜男なのに、女の子はとびきり可愛く撮る
ゴダールはつまらなくて面倒でも、美女好きの天才

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一方「アンナ」はゴダールと思いきや、ゴダールではなく(笑)

日本では知られていない、ピエール・コラルニック監督の

フレンチ・ポップ・ミュージカルコメディで
フランス映画初のカラーテレビ番組

これはもうVOGUE(ヴォーグ)かELLE(エル)か
ページをめくるように歌って踊るファッション雑誌

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すべてがお洒落、お洒落
眼鏡っ娘アンナ・カリーナが可愛い可愛い
ぜひイマドキの若いお嬢さんにも
ファッションバイブルにもしてほしいと思います

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ストーリーは単純で
広告代理店の社長セルジュ(ジャン=クロード・ブリアリ)が
写真に偶然写っていた女の子、アンナに一目惚れ
町中にポスター貼り探すけれど見つからない

なんとアンナは同じ会社で、広告に着色する作業をする社員でした
だけど眼鏡っ娘だから気づかない
一方のアンナはセルジュが自分を探していることを知っていました
アンナもセルジュだんだんと好きになっていくけれど
そのことは内緒

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女子って運命を大事にするのよね(笑)
運命の人ならきっと見つけてくれるはず

だけど男はバカ
気付くのが遅すぎる
本物の恋はすれ違い

本当に好きな人とは結ばれない哀しさ

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マリアンヌ・フェイスフルが社交場で1曲歌うシーンも貴重
たった数分のワン・シーンかツー・シーンだけどオーラが凄い(笑)
もしかしたら、これが「あの胸にもういちど」(1968)への
抜擢に繋がったのかも知れません

とにかく映像もファッションもお洒落、お洒落

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 まさしく動くファッション雑誌、女の子必見です

 

【解説】allcinemaより
気狂いピエロ
 ジャン=リュック・ゴダールの描く、「勝手にしやがれ」と並ぶヌーヴェル・ヴァーグの代表的作品。映画的文法に基づいたストーリーというものはなく、既成の様々な映画の要素を混ぜ合わせ、光・色・音等を交差させて、引用で組み立てられた作品。「勝手にしやがれ」のジャン=ポール・ベルモンドを主演にして、ただただ破滅へと向かってゆく主人公の姿を描いた本作は、今にしてなおファンの間では“伝説”とされる、最も過激で刹那的なアナーキー映画である。主人公が顔中にダイナマイトを巻き付けて自爆するラストシーンは圧巻であり、同時に“美しい”映画史に残る名場面。原作はライオネル・ホワイトの『十一時の悪魔』

 

アンナ
抜群のポップ感覚で送る、1960年代のフランスを舞台にしたミュージカル・ドラマ。セルジュはしがない広告会社を経営する好青年。ある日、彼は一枚の広告写真に惹かれ、そこに写っていたアンナという美女に一目惚れする。彼は彼女を見つけ出そうと必死に奔走するが、アンナ本人はセルジュの会社に職を得てすでに働きはじめていたのだった。随所に散りばめられた当時のポップ・カルチャーがみどころ。なお本作は元々フランス国営テレビ初のカラー番組として製作されたテレビドラマで、日本では98年に劇場公開(世界初)となった。