女は女である(1961)

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原題も「UNE FEMME EST UNE FEMME」(女性は女性です)
ミシェル・ルグランによる、歌わないミュージカル(笑)

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ゴダールアンナ・カリーナまだ新婚で一番ハッピーだったとき
アンナ・カリーナは着せ替え人形の如く衣装を変え、最高に可愛い
わがままも、喧嘩も、浮気も最後には許してしまうというオチなのだけど

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挿入歌に使われているシャルル・アズナヴール
「Tu t'laisses aller」(邦題”のらくらもの”1960年発売)が
なによりもゴダールの女性に対する自己投影に近い気がします

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やがてカリーナとの関係に悩み、それは作風にも現れ
2年後には「軽蔑」(1963)になり
そして「気狂いピエロ」(1965)の年にカリーナと離婚
でもこの頃がゴダールにとってもカリーナにとっても黄金期

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作風は当時としては前衛的な
音声のぶつ切りにショート・カットの連続という手法を使い
高く評価されたそうです
いかにも映画ヲタク的なセリフも楽しく
知ってる映画ネタが出ると思わずニヤりとしてしまう

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今でいえば東村アキコさんの漫画のようなネタの使い方
面白いのは東村アキコさんのほうなんですけど(笑)

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物語は今すぐ子どもが欲しい女(アンナ・カリーナ)と
結婚する気も、父親になる自信もない彼氏(ジャン・クロード・ブリアリ)
彼氏は同じアパートに住む知り合いの男(ジャン・ポール・ベルモンド)に
子作りを頼み、他の女の子と呑みに行く

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女は悔しさのあまり彼氏の提案を受け入れ
好きでもない男とベッドを共にしてしまうのです
(セックスしたかどうかはわからない)

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やっかいな女だと、お払い箱にしようとしても
いざほかの男に盗られると思うと、居ても立ってもいられない
嫉妬心で気が狂いそうになり、今度は彼女が帰るのをひたすら祈るのです

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なんて遠回りで、面倒で、時間の無駄なんだ(笑)
いくら才能があっても、付き合う女がキレてしまい
ヒステリーになってしまうのもわからなくもない(笑)

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とはいえ、ゴダールの代表作のひとつですし
ゴダールを知る入門編として良いのではないでしょうか

 


【解説とあらすじ】KINENOTEより
勝手にしやがれ」で一躍名をあげた若いヌーベル・バーグの監督ジャン・リュック・ゴダールが自ら脚本を書き演出したコメディ。撮影はラウール・クタール、美術はべルナール・エヴァンと新進の技術者が担当。音楽はべテランのミシェル・ルグラン。出演者は新人アンナ・カリーナと、ジャン・クロード・ブリアリ、ジャン・ポール・べルモンドなど。イーストマンカラー・フランスコープ。
パリの下町の小さな本屋の店に働くエミール(ジャン・クロード・ブリアリ)はストリップ・ガールのアンジェラ(アンナ・カリーナ)と同棲している。そのアンジェラが、どうしたはずみか急に赤ん坊が欲しいと言い出す。そのことで、二人はどうも意見が合わず、喧嘩がたえない。男のエミールにしてみれば、子供はいらないし、正式な結婚なんかしない方が都合がいいからだ。どうしても子供を生むと意地になったアンジェラは他の男に頼んでつくってもらうと、おだやかならぬ宣告をする。本当のところアンジェラを愛しているエミールはこの言葉に動揺するが、いまさらあとへは引けない。勝手にしろ、というしかないのだ。彼女はついに、同じアパートの下の部屋に住むパーキング・メーター係りのアルフレッド(ジャン・ポール・ベルモンド)に頼むと言い出す。アルフレッドはかねてからアンジェラに色目をつかっていたのだ。そして、ある日、アンジェラはとうとう心を決めてアルフレッドと寝てしまったのである。夜おそくエミールの許に帰って来たアンジェラ。二人は黙々として枕をならべる。やがてエミールが口を切る。「ほんとにあいつの子供ができたかどうか分らないよ。だからためしにぼくの子供をつくってみようよ」エミールはアンジェラを抱く。愛している女に子供を生ませるのは当然なんだと思いながら。