1976年9月6日、MiG-25(ミグ25)が函館空港に着陸し
亡命を求めたミグ25事件(ベレンコ中尉亡命事件)
クレイグ・トーマスは、この事件にヒントを得て小説を書き
翌年には出版されたベストセラーの映画化
しかも特殊効果はジョン・ダイクストラ
カメラはブルース・サーティス
音楽はモーリス・ジャール
監督、演出、主演はクリント・イーストウッドと
一流の名前が並んでいます
が、内容も低空飛行(笑)
今となっては古臭い特撮に、リアリティのなさ
だけどこういう映画ってミリタリー・ファンにとっては
たまらない魅力があるのよね(笑)
イギリス秘密諜報局は、ソ連が最新鋭の戦闘機
ミグ31(ファイヤーフォックス)を完成させたという情報を入手
それは最高速度マッハ6、アンチ・レーダー・システムを持ち
思考誘導兵器装置を装備する驚異的なジェット機で
NATOがこれを開発するには10年以上かかるといいます
NATOはミグ31のを奪取する作戦を立てます
そこで呼ばれたのがベトナム戦争の退役軍人
ミッチェル・ガント(クリント・イーストウッド)
彼は優秀なパイロットで、ロシア語に堪能で
ソ連軍の戦闘機にも精通しています
ただベトナム戦のPTSDに悩まされていました
当然、諜報局とNATOの申し出を断ることは出来ず(笑)
輸出業者になりすましてモスクワのシェレメティエボ空港に降り立ちます
そこで待っていたのはソ連在住のユダヤ人協力者たちでした
ここらへんの入国から、基地にあるファイヤーフォックスの
格納庫に爆弾を仕掛けるあたりまではスパイ映画らしくなかなかよろしい
だけどセキュリティが甘すぎるし
書記長も、ソ連兵も、KGBもちょっとお間抜け(笑)
ただ凄いのはロシア人とかドイツ人って映画でこれだけ
アメリカからひどい扱い受けているのに
おおやけに反発したり映画の悪口を言わないことだよな
(もしかしたら本国で公開はしないのかもしれないけど)
隣国の要人の発言にいちいち反応して、すぐに記者会見する
どこかの国の官房長官とは大違い
どさくさに紛れて簡単にファイヤーホックスに乗り込み
ブツブツと独り言を呟き続ける
イーストウッドの姿には笑ってしまいますが(笑)
それを追うソ連空軍のパイロットが操縦するファイヤーフォックス2号機
ドックファイト(空中戦闘)も”ロシア語”で脳波操作する
思考誘導装置が活かされていればもっと面白くなったでしょうね
いくらロシア語に堪能でも、母国語であるソ連軍パイロットのほうが
当然優位なはずですから
まあ、今や巨匠と呼ばれるイーストウッドも
こんな作品も作っていたということで(笑)
制作年は1982年、 80年モスクワ、84年ロサンゼルスと
米ソが互いにオリンピックまでボイコットした冷戦真っただ中
逆に言えば冷戦がなかったら、スパイ映画も
作られることはなかったのでしょう
高い製作費で真面目に作ったB級スパイ&スカイアクション
映画としての評価は低いとは思いますが
一部のミリタリー・ファンやガン・マニア
プラモデル・ファンには超オススメ
もちろん私もイーストウッド様に軍服萌えでございました(笑)
【解説】allcinemaより
レーダーには機影を残さずマッハ6で飛び、思考誘導装置によって兵器を放てるソ連最新鋭戦闘機、コードネーム・ファイヤーフォックス。その戦闘機の奪取を命じられたパイロットの死闘を描いたC・トーマスの原作を、イーストウッドが製作・監督・主演で作り上げたサスペンス大作。スカイ・アクションに仕上げるよりも、ポリティカル・フィクションぽくしたかったのか、その丁寧な演出とじわじわと展開される物語は完全に逆効果で、前半の冗長さは娯楽作品としては致命的。その緩やかなテンポは、奪ったファイヤーフォックスが活躍する後半でも続き、全体的に大味な印象は免れない。ジョン・ダイクストラ率いる“アポジー”によるSFXも上出来とは言えず。オリジナルは136分で96年に全長版LDが発売(Blu-rayも同じく136分)。ビデオ、DVDは短縮版の124分。