原題は「The Great Gilly Hopkins」(華麗なるギリー・ホプキンズ)
この邦題はいい(下手な副題がついていないのもいい)
原作は「テラビシアにかける橋」の児童文学作家
キャサリン・パターソンの「ガラスの家族」(偕成社)
古典的な児童文学を現代風にしたような
何てことない内容なのですが、凄く良い映画でした
見やすくて、わかりやすい
終盤は涙がこぼれ
観終わった後には爽やかな気分にもなります
問題ばかり起こし、里親の元を転々としている12歳の少女ギリーは
ベテラン里親のトロッターさん(キャシー・ベイツ )に預けられます
(ソーシャルワーカー役が見た目ジョニー・デップ 笑)
そこには同じ里子で(過去の虐待のせいで)あまり喋れない
ウィリアム・アーネスト(W.E.)も住んでいました
そして夕食を共にする隣人で盲目の黒人ミスター・ランドルフ
このギリーが本当に曲者で、反抗的なクソガキ
間違いなく誰でもギリーのことが大嫌いになる
そんなギリーの願いはひとつ、サンフランシスコに住む
一度もあったことのない実の母親コートニーと暮らすことでした
そのために母親の住所に
トロッターさんからも、担任のハリス先生からも虐待を受け
ウィリアム・アーネストは頭がおかしい
ミスター・ランドルフの家は不衛生なごみ屋敷
もう耐えられなので、サンフランシスコまで行く
旅費を送って欲しいという嘘の手紙を出すのです
ついにはミスター・ランドルフの家と
トロッターさんの財布からお金を盗み
サンフランシスコ行きのバスに乗り場に向かいますが
当然、補導されてしまいます
私も小学校で週1回、放課後教育ボランティアをしていますが
こういう手に負えない子って、必ずいるんですね
自分の居場所を見つけられず、他人を困らせてばかりいる
やはりそういう子のほとんどが
ギリーのように家庭に問題を抱えていて
家には帰りたくない、だけど勉強も嫌だ
そのうち悪い仲間とつるんで、悪事をしていくようになる
場合もあるのですが
トロッターさんの意見は違う
子どもには誰にでもある間違いと言う
ミスター・ランドルフもギリーを責めず
バイトで家の手伝いをしてくれと頼むだけ
担任のハリス先生はギリーの国語力を高く評価し
差別的な発言を書いたカードを贈っても
今まで抱えていたストレスが解消したと大笑い
ウィリアム・アーネストは本当は頭がよく
通学路が同じで鬱陶しいと思っていたアグネスも
ただ親切でやさしいだけだったのだと知る
自分はこんなにも周りの人間から守られていたんだ
今までの行動の過ちに気づき
ギリーに本当の家族、本物の友達が出来たとき
ギリーの祖母(グレン・クローズ)がやってきて
ギリーは祖母の家に行くことになるのです
母親に送った「虐待されている」の手紙のせいで
トロッターさんは里子を預ることができなくなってしまったのです
ウィリアム・アーネストも家を出されるかも知れない
ギリーは自分の行動を悔やみ、「あの手紙は嘘だった」と訴えますが
役所で決まってたことを覆すのはもちろん無理な話
でも祖母もとてもいい人なんですね
娘とは疎遠で、娘が子どもを産んだことさえ知らず後悔してるのでしょう
ギリーに良い教育、良い環境を与えようと努力します
そしてギリーのため、娘を呼び寄せるのです
夢に見た、大好きな大好きなお母さん
やっと会えた、やっと会えた、やっと会えた
でも再会したその場所でコートニーは祖母に
「お金を貰ったから来た」だけとぶちまけるのです
ギリーはショックのあまりタクシーで
ミスター・ランドルフの家に戻ってしまいます
この作品良いところは「正しい行いとは何か」がテーマだと思うんですね
子育てや教育やしつけは、まわりの大人も協力すべきだし
差別や虐めはいけない
失敗を責めず「長所を褒める」重要さ
だけど決しておしつけがましくない
日本未公開らしいのですけど、これほんと
文部科学省推薦にしていいくらいの出来で(笑)
クソ娘の成長ぶりにとことん感動しますし
主演者も一流ばかりなので見ごたえがある
他人と関わっていくって、本当に難しいこと
それでも誠意のある行動を続けていくことが
大切なのだと教えてくれる
子どもだけでなく、多くの大人にも見てほしい
「お気に入り」を献上させていただきます
【解説】映画.comより
アメリカの人気児童文学作家キャサリン・パターソンの小説「ガラスの家族」を、「やさしい本泥棒」のソフィー・ネリッセ主演で実写映画化。行く先々で問題を起こすせいで里親のもとを転々としている12歳の少女ギリー。いつか本当の母親と暮らすことを夢見る彼女は、新しい養母トロッターさんのもとや転入先の学校でも反抗的な態度ばかり取ってしまう。そんなある日、実母から手紙を受け取ったギリーは、母が暮らしているというサンフランシスコへ行くことを決意。心優しい盲目の隣人ランドルフさんからお金を盗んで大陸横断バス乗り場へと向かうが……。「ミザリー」のキャシー・ベイツ、「ヘルプ 心がつなぐストーリー」のオクタビア・スペンサー、「危険な情事」のグレン・クローズら名女優たちが脇を固める。監督は「101」のスティーブン・ヘレク。WOWOW放送時のタイトルは「ギリー・ホプキンズの不機嫌な日常」。